株主優待というのは、上場企業が株主に対して自社サービスの利用券や割引券、自社商品、そのほか商品等を提供する優待です。

日本で独自に発展してきた株主に対する還元制度で、近年も多くの企業が優待制度を導入しています。2025年のデータでも、株主優待の新規導入企業が175社に対して廃止企業が68社と、導入が廃止を大きく上回る状況が続いており、依然として個人投資家にとって魅力的な制度です。

特に株主優待は個人投資家にとっては人気が高く、優待が充実した企業の株価は、たとえ業績が悪化しても株主からの支持により株価の下支えになっているといわれています。

今回はそんな株主優待について、投資初心者の方にもわかりやすく「株主優待とは何か?」「受け取るにはどのような形で株を買えばいいのか?」「保有期間のルールは?」といった基本から、最新の制度変更や知っておくべきリスクまでをわかりやすく解説していきます。

そもそも株主優待とは何か?

株主優待とは企業が自社の株主に対して自社製品や割引券、サービス券などを提供してくれる特典の一つです。BtoC(消費者向け)の会社でなくても、株主でいてくれることに感謝を込めてギフト券やカタログギフトなどを提供している企業もあります。

日本では株主優待制度が特に充実しており、上場企業の多くが優待制度を用意しています。

この株主優待制度は日本独自のもので、米国企業などで株主優待のような制度を設けている会社はごく少数です。日本独自の制度とは言え、日本株に投資をするのであればうまく活用したい制度ですね。

もらえる株主優待は会社によって異なります。

  • 自社製品の詰め合わせセット
  • 自社で使える無料券、割引券、サービス券
  • クオカードや図書カードなどの金券
  • お米や地域の特産品など

上記のような内容が中心です。中には投資額に対して5%、10%相当の価値があるような優待をくれる、いわゆる優待利回りが高い会社も多くあります。

株主優待をもらうには株を買って株主になる

当たり前ですが、株主優待は「株主」のための優待です。株主になるにはどうすればいいか?それはその会社の株式を購入する必要があります。

株を買ったら損をするのが怖い……という方へ

近年の上場企業は100株単位で株が買えるうえ、株式分割などにより投資額が数万円、10万円程度で買える会社も増えています。手軽に少額から投資ができる環境は整っています。

ただ、確かに株価は変動します。銘柄によっては大きく下げるケースもあるかもしれません。その一方で、特に株主優待を目当てに投資をする場合は数年~10年以上という長期投資を前提に考えればよいので、日々の価格変動は気にしすぎないというのも一つの手です。

株はどこで買えるのか?まずは証券会社に口座開設

株式は「証券会社」と呼ばれる金融機関を通じて購入することになります。銀行では投資信託は購入できますが、個別の株式を売買することはできません。

証券会社に口座を作るなら圧倒的に「ネット証券」が手数料も安くお勧めです。どの証券会社がいいか迷っている方は「株主優待を目的としたときの証券会社の選び方とお勧めのネット証券」などを参考にしてもよいでしょう。

どこでもいいからとにかく良いところを教えてくれというのであれば、ネット証券でも口座数が最大の「SBI証券」がお勧めです。後述しますが株主優待に関する検索機能などの情報も非常に充実しています。

新NISA口座を活用した株主優待投資

2024年に新NISA(少額投資非課税制度)が恒久化・拡充されて以降、NISAの「成長投資枠」を利用して株主優待銘柄を購入する個人投資家が増加しています。
NISA口座で株式を購入すれば、株主優待品をもらいながら、配当金や株を売却した際の利益が非課税になるという大きなメリットがあります。ただし、後述する一時的に株を保有する「優待クロス取引」はNISA口座では行うことができない点には注意が必要です。

株主優待はどんなものがあるか?また、優待月を確認する

株主優待や配当金はそれぞれの企業が定めている「権利確定日」という日に株主として登録されている人に対して提供されます。

何月が権利確定日なのかは会社によって変わります。最も多いのは3月、続いて9月、12月、6月と続きます。年1回だけの会社もあれば、半年ごとに年2回提供する会社もあります。

詳しい株主優待の情報は前述の「SBI証券」に口座を開設すると詳しい株主優待検索や情報ページがあるので便利です。下の画像はSBI証券の情報ページのキャプチャです。優待内容や最低必要な資金、優待利回り、優待内容などで検索出来て便利です。

sbi-yutai

また、人気の優待については「株主優待人気ランキング」などをご覧いただければどんな会社があるのかが分かるかと思います。

<最新の株主優待人気ランキング(例)>

  1. イオン(イオンオーナーズカードによるキャッシュバック等)
  2. すかいらーくホールディングス(飲食割引カード)
  3. 日本マクドナルドホールディングス(商品引換券)
  4. 日清食品ホールディングス(自社グループ商品詰め合わせ)
  5. 日本たばこ産業・JT(自社グループ商品等 ※廃止予定の発表あり)
  6. 日本ハム(自社グループ商品カタログ)
  7. ダイドーグループホールディングス(自社グループ商品詰め合わせ)
  8. コロワイド(自社店舗で使える優待ポイント)
  9. ANAホールディングス(国内線搭乗割引券など)
  10. ヤマダホールディングス(買物優待券)

※かつて不動の人気1位だったオリックスは優待を廃止しています。人気銘柄でも制度変更があるため最新情報の確認が必須です。

権利付き最終日と権利落ちを理解して期限までに株を買う

株主優待の権利を獲得するには「どの日までに株を買っておく必要があり、どの日以降なら売ってもよいのか?」ということをしっかりと把握しておく必要があります。

日本の株式市場には「受け渡し日」という決済ルールがあり、株を買っても受け渡し日までは株主として正式に名簿に登録されません。
2024年11月25日より株式の決済期間が短縮され(T+2決済)、株式の受け渡し日は「売買日から2営業日後」となりました。

そのため、月末が権利確定日の会社の場合、その「1営業日前(権利付き最終日)」までに株を買っておかないと、月末に株主として名簿に載りません。権利付き最終日の翌日である「権利落ち日」以降であれば、株を売却しても優待品は送られてきます。

なお、以下の記事では毎年の最終日、権利落ち日を紹介しています。

<2022年版>配当金・株主優待の権利確定日カレンダー。いつ買えば、いつ受け取れるのか?2022年版の配当金や株主優待の権利確定日(権利付き最終日・権利落ち日)+貸株料・逆日歩日数についてまとめていきます。 配当金や株...

株主優待はいつごろ届く?

会社によってバラバラですが、権利確定日から2か月~3か月くらいは少なくとも待つ必要があります。食べ物のように旬があるものの場合はタイミングがさらに遅れることもあります。気長に到着を待ちましょう。

株主優待投資で知っておきたいリスクと優待投資のコツ

最後に、株主優待投資といっても株式投資です。元本が保証されているわけではないので、余裕資金で投資をすることが大切です。

また、一般的に、こうした人気の高い優待株は、権利落ち日に株価が下落します

単純に権利付き最終日に株を買って、翌日売るという戦略は通常通用しないのでご注意ください。どちらかというと人気の株主優待の場合は、権利確定日に近づくにしたがって値上がりしていき、権利落ちになると下がり、また権利確定日が近づくと上昇していくという傾向があります。

遅くとも1か月前くらいに投資をするようにするとよいかと思います。ただし、これは相場全体の動きとも絡みますので、必ずそうすることで損失を避けられるというわけではありません。

株主優待の株の買い時はいつ?期限ぎりぎりは高値掴みのリスクあり株主優待を目的に株式投資をするとき、優待銘柄をいつごろ仕込むか?というのは大きなテーマです。優待自体は権利付き最終日までに購入すれば、そ...

上級者向けの株主優待投資(優待クロス)

株式投資についての理解度が高い人向けですが、信用取引(一般信用取引)の空売りなどを活用して、株主優待だけをゲットするような投資方法もあります。

全くのノーリスクというわけではないので注意が必要ですが、詳しく知りたい方は「株主優待のタダ取り(クロス取引・つなぎ売り)して無料で株主優待だけを受け取る方法」もご覧ください。

また、制度信用取引を利用した優待クロス取引は高額な逆日歩(ぎゃくひぶ)という手数料支払いリスクを抱えている点を忘れてはいけません。

長期保有優遇制度の普及と注意点

近年は、上記の優待クロス取引のようにすぐに株を売却してしまう短期株主への対策として、「長期保有優遇制度」を導入する企業が増えています。これは、株式を一定期間(例えば1年以上、3年以上など)継続して保有した株主に対して、優待内容をグレードアップする仕組みです。

注意点として、単に年月が経てばよいわけではなく、「半期ごと(年2回)の権利確定日における株主名簿に、同一の株主番号で連続して記載されること」など、厳格な条件が設けられていることが多くなっています。

こうした長期保有を前提とした株主優待制度を採用している会社では、権利月だけ株を保有する優待クロス取引は使えません。

長期保有で優待内容がアップする株主優待株と小額投資で保有期間を延ばす裏ワザ最近で株主優待銘柄の中に“長期保有(継続保有)”で株主優待の内容がグレードアップする優待株が増えています。1年以上、2年以上、3年以上と...

株主優待によって適正株価を超える優待バブル銘柄も?

個人投資家にとっては楽しい株主優待ですが、過度な優待によって優待バブルともいえる銘柄も登場しています。

優待利回りが注目されることによって、その優待利回りをベースに株価水準が構成されているような銘柄もあります。PERやPBRなどの収益性・財務上の指標からは説明できない水準に株価が上昇しているケースです。

こうした銘柄は優待によるメリットを享受できる個人株主にとってはメリットが大きいですが、優待の恩恵が小さいため機関投資家(大口投資家)からは評価が低くなる傾向があります。

株主優待は突然終了することがあることは大きなリスク要因

株主優待という制度は、基本的に会社側がいつでも変更や廃止ができる(取締役会決議による)ということを理解しておいてください。

特に、2022年の東京証券取引所の市場再編やコーポレートガバナンス改革以降、「外国人投資家や機関投資家を含めた株主全体への公平な還元」が強く求められるようになりました。その結果、これまで人気の高かった大企業が株主優待を廃止し、配当金(増配)での利益還元へと転換する動きが目立っています。

過去に長年人気ランキング1位だったオリックスや、九州地盤のコスモス薬品なども、公平な利益還元の観点から優待を廃止し、配当へ集約する方針へと切り替えました。

人気の株主優待銘柄が優待廃止を発表した場合、優待目当てで高く維持されていた株価が急落する恐れがあります。優待人気銘柄への投資は「優待廃止リスク」と隣り合わせであることを忘れてはいけません。

保有する株数と優待内容はしっかりと把握しておくべき

株主優待における優待内容は配当金のように、保有株数に対してきれいに比例して増えていくわけではありません。たとえば「マクドナルドの株主優待」では株数に応じて下記の優待となっています。

  • 100株以上:1冊
  • 300株以上:3冊
  • 500株以上:5冊

注意したいのは、100株の時は1冊ですが、200株買っても1冊しかもらえず、300株にして初めて3冊もらえるということです。この会社の場合、中途半端に200株だけ株を買うというのは優待効率の面から少し勿体ないことになります。

このように、保有株数と優待内容の区切りは事前にしっかりとチェックしたいところです。

持株は家族で分散する方がいい場合もある

上記のマクドナルドの場合、100株、300株、500株という株数ならいずれも持ち株数に比例して株主優待がもらえます。ただ、多くの会社は、「保有株数が増えるほど利回り(優待効率)が渋くなっていく」という傾向があります。

たとえば、外食系の株主優待として人気の高い「吉野家ホールディングスの株主優待」の基準(※変更後)を見てみましょう。

  • 100株以上:500円券×4枚(年間4,000円相当)
  • 200株以上:500円券×10枚(年間10,000円相当)
  • 1,000株以上:500円券×12枚(年間12,000円相当)
  • 2,000株以上:500円券×24枚(年間24,000円相当)

100株では年間4,000円相当ですが、200株になると年間10,000円相当に大きく優遇されます。しかし、1,000株保有しても年間12,000円相当にとどまり、投資額に比例して増えるわけではありません。

このような場合、1,000株を1人で保有して年間12,000円相当をもらうよりも、最も優待効率の良い200株を家族5人それぞれの口座で分散して保有すれば、合計1,000株の投資で年間50,000円相当(10,000円×5人)の優待をもらうことができます。

こうした利回りが低下する株は一人でたくさん持つのではなく、家族で分散して持つようにすると非常に効果的です。

こちらについては「優待利回りを高めるための株主優待銘柄への家族での投資方法」でも詳しく紹介しています。

以上、株主優待で得をする。株主優待ゲットで節約・お小遣い。というお話でした。

ABOUT ME
アバター画像
ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
【おすすめ】楽天モバイル三木谷キャンペーン

今、一番おすすめのモバイル回線は「楽天モバイル」です。

今は『楽天モバイル』が最強。楽天リンクを使えば通話かけ放題だし、パケットも使い放題で月々3,168円。データ通信をあんまり使わない人は1,078円で回線を維持できます。
さらに、家族と一緒なら110円OFF。

今なら三木谷社長からの特別リンクから回線を作ると、他社からMNPで14,000ポイント。新規契約なら11,000ポイントもらえるぶっ壊れキャンペーン中。

>>三木谷キャンペーン申し込みはこちら