銀行振込の誤振込を組戻しで返金する手続きのイメージ

銀行振込で口座番号、受取人、金額を間違えたら、まず振込元銀行のアプリやネットバンキングで取引状況を確認してください。予約中なら自分で取消できる場合があり、実行済みなら振込元銀行へ「組戻し」を依頼します。

誤振込に気づいた直後の3手

  1. 取引画面と振込完了メールを保存する
  2. 「予約中」「処理不能」「完了」のどれかを確認する
  3. 完了なら、振込元銀行の公式窓口へすぐ連絡する

着金済みの組戻しには、原則として受取人の承諾が必要です。銀行が相手の口座から強制的に引き落とす手続きではありません。

詐欺にだまされて振り込んだ場合は別対応

SNS投資詐欺、ロマンス詐欺、架空請求などは、単なる入力ミスとして組戻しだけを待たず、振込元銀行に加えて振込先金融機関と警察へ直ちに連絡します。詳しくは後半で説明します。

振込先を間違えたら最初の5分でやること

慌てて正しい相手へもう一度振り込む前に、誤った振込の状態を確認します。誤振込分が自動返金されるのか、別人へ着金したのか分からないまま再送すると、一時的に二重の資金が必要になります。

図解:取引状況で最初の行動を決める

予約中・未実行

アプリやネットバンキングの「予約取消」を探す。取消期限を過ぎていたら銀行へ連絡。

処理不能・口座なし

自動返金の表示と入出金明細を確認。振込手数料は戻らないことが多い。

完了・別人へ着金

振込元銀行へ組戻しを依頼。着金後は原則として受取人の承諾が必要。

ことら送金

取消はできない。利用アプリの事業者へ相談し、連絡できる相手には返金を依頼。

表示名は銀行ごとに異なります。「完了」「受付済み」だけで判断できないときは、振込元銀行へ確認してください。

振込記録をスクリーンショットで残す

取引照会画面、振込完了メール、ATM利用明細票には、受付番号、振込日時、金額、振込先銀行・支店、口座番号、受取人名などが載っています。銀行へ連絡するときに必要になるため、画面が消える前に保存します。

銀行へ伝える情報

  • 振込をした日時と方法(アプリ、ATM、窓口など)
  • 振込金額と受付番号
  • 振込元口座
  • 誤った振込先の銀行、支店、口座番号、受取人名
  • 本来振り込みたかった内容と、どこを間違えたか

夜間や休日でも「翌営業日まで何もしない」は避ける

銀行によっては、アプリで予約取消ができたり、休日も電話で組戻しを受け付けたりします。まず公式アプリや銀行公式サイトに記載された連絡先を確認し、その時点で使える窓口へ連絡してください。窓口手続きしかできない場合は、必要書類をそろえて次の営業開始時に手続きします。

組戻しが必要かを4つのケースで判断

1.予約振込がまだ実行されていない

振込指定日が将来で、取引照会に「予約中」と表示されていれば、アプリやネットバンキングから無料で取り消せる場合があります。取消可能な期限は銀行によって異なります。取消ボタンがない、または期限を過ぎている場合は、すぐ振込元銀行へ連絡します。

2.口座番号や名義が一致せず、入金できなかった

入力した口座が存在しないなどの理由で入金できなければ、振込資金が振込元口座へ自動で戻る場合があります。このとき、元の振込手数料は返金されないのが一般的です。

ただし、口座番号を1桁間違えても、その番号が別人の有効な口座なら着金する可能性があります。「間違えたから自動的に戻る」と決めつけず、取引状況と口座残高を確認します。

3.存在する別人の口座へ着金した

振込元銀行へ組戻しを依頼します。振込元銀行から振込先銀行を通じて受取人へ連絡し、受取人が承諾すれば資金が返却されます。原則として、受取人が承諾しない、連絡がつかない、口座に返せる残高がないといった場合は組戻しが成立しません。

銀行は個人情報保護のため、知らない受取人の住所や電話番号を振込人へ教えることは通常ありません。SNSなどで口座名義人を探して接触するより、銀行間の正式な手続きを先に進めます。

4.相手は正しいが金額を間違えた

家賃、取引先への支払い、家族への送金など、連絡先と本人確認ができている相手なら、銀行の組戻しより直接相談した方が早く、手数料を抑えられる場合があります。

間違い 実務的な対応 注意点
多く振り込んだ 差額だけ返してもらう、または組戻し 返金日、金額、口座をメールなどで合意して記録する
少なく振り込んだ 相手へ連絡し、不足分を追加送金 請求番号や名義を付け、二つの振込をひも付けてもらう
二重に振り込んだ 一件分の返金を依頼 どちらの受付番号を返金対象にするか明確にする

知らない相手から「間違えて振り込んだので、別の口座へ返してほしい」と連絡が来た場合は、言われた口座へ送金しないでください。自分の銀行へ連絡し、入金の事実と安全な返金方法を確認します。

組戻し手続きの流れ

図解:着金済みの資金が戻るまで

振込人が振込元銀行へ依頼
振込元銀行から振込先銀行へ連絡
振込先銀行が受取人の意思を確認
承諾と返却可能な資金があれば返金

銀行は受取人の意思確認を仲介します。組戻しを依頼すれば必ず返金されるという仕組みではありません。

申込先は「振込先銀行」ではなく振込元銀行

基本の窓口は、自分が振込を依頼した銀行です。振込先銀行へ直接連絡しても、振込人本人の確認や取引情報を持たないため、振込元銀行を通すよう案内されることがあります。

受付方法は電話、アプリ、ウェブ、店舗窓口など銀行と振込方法によって異なります。ATMや窓口で現金振込をした場合は、利用明細票、本人確認書類、印鑑などを求められることがあるため、電話で必要物を確認してから出向くと二度手間を防げます。

受取人の承諾が必要

着金後は、受取人が銀行に対して振込金相当の預金債権を持つことになるため、銀行が振込人の申出だけで一方的に残高を減らすことはできません。みずほ銀行も、入金済みで受取人の承諾が得られない場合は返却できないと案内しています。

組戻しは「銀行による強制回収」ではない

銀行は、誤振込の連絡と返金意思の確認を銀行間で進めます。承諾が得られなければ、次の段階は受取人への返還請求を検討することになります。

組戻しの手数料と返金までの期間

組戻し手数料は銀行ごとに違います。2026年8月20日に個人向けの公式情報を確認した代表例は次の通りです。

銀行 組戻し手数料の例 確認ポイント
三井住友銀行 660円 組戻・再振込・変更の取扱手数料
ゆうちょ銀行 660円 組戻し・訂正とも各660円
三菱UFJ銀行 880円 元の振込手数料は返金されない
みずほ銀行 880円 組戻し不成立でも手数料は返金されない
楽天銀行 880円 受取人の出金許可が必要
PayPay銀行 1,100円 受取人の応諾が必要

上表は個人向け通常振込の代表例です。口座や取引方法によって扱いが異なる場合があるため、依頼時に利用銀行の最新料金を確認してください。

費用は組戻し手数料だけではありません。最初の振込手数料が戻らず、正しい相手へ再送するときに新しい振込手数料が必要になることがあります。組戻しが不成立でも手数料を返さない銀行がある一方、取扱いが異なる銀行もあるため、申込み前に確認します。

返金までの日数に一律の基準はありません。受取人へすぐ連絡がつけば早く進む場合もありますが、PayPay銀行は最大1か月ほどかかる場合があると案内しています。銀行からの連絡状況、受取人の回答、休日などで前後します。

少額の誤振込は「手数料と回収額」を比較する

ここが組戻しの実用上の悩みどころです。たとえば500円を誤振込し、組戻し手数料が880円なら、手続きだけで回収額を上回ります。

費用を抑える判断順

  1. 予約取消や自動返金の対象ではないか確認する
  2. 本人確認できる既知の相手なら、差額返金を相談する
  3. 知らない相手なら、安全を優先して銀行経由にする
  4. 組戻し費用と回収額を比較して依頼するか決める

ただし、高額であれば迷っている時間そのものが回収リスクになります。費用比較は銀行へ連絡した上で行い、「考えてから後日連絡しよう」と先延ばしにしない方が安全です。

正しい支払先への再送は、誤振込の状態を確認してから

家賃や取引代金など期限のある支払いは、本来の相手へ事情を説明し、再送時刻を相談します。誤振込が不成立で自動返金されるのか、着金済みで長期化するのかによって、必要な手元資金が変わります。

どうしてもすぐ再送する場合は、誤振込と正しい振込の両方の受付番号を保存してください。後から「どちらを返してもらうか」が曖昧になるのを防げます。

受取人が返金を拒否・連絡がつかない場合

受取人の承諾がなければ、銀行は組戻しを成立させられません。しかし、それだけで受取人が誤振込金を自由に取得できるわけではありません。原因となる取引がない誤振込は、一般に民法703条の不当利得返還請求の問題になります。

ここでいう請求先は原則として受取人です。「振込人に現金の所有権が残っているから銀行が返す」という単純な関係ではありません。相手、口座の状態、相殺、使われた金額などで法的な評価が変わる可能性があります。

段階 検討する行動 向いている場面
1 銀行へ相手の回答状況を確認 連絡待ちか、明確な拒否かを切り分ける
2 既知の相手へ書面やメールで請求 本人と連絡先が確認でき、誤振込の証拠がある
3 弁護士、司法書士、法テラス等へ相談 高額、相手不明、拒否、口座差押えの検討が必要
4 民事調停、支払督促、訴訟などを検討 回収見込みと費用・時間を比較して進める

いきなり「口座を凍結できる」とは限りません

保全手続きや強制執行には、法的要件、相手の特定、担保や費用が関わります。金額が大きい、相手が資金を動かすおそれがある場合は、一般論を頼りに自己判断せず早めに専門家へ相談してください。

間違って振り込まれた受取人側の対応

身に覚えのない入金を見つけたら、使ったり別口座へ移したりせず、自分の銀行へ連絡します。誤振込だと分かっていながら払い戻しや送金をすると、返還義務だけでなく刑事上の問題になる可能性があります。成立する犯罪は操作方法や具体的な事情で異なるため、「ATMなら必ず窃盗罪」のように一律ではありません。

受取人側の安全な返金ルール

  • 入金分を使わず、そのままにする
  • 知らない人からの電話やSNSの指示には従わない
  • 銀行の公式番号へ自分からかけ、組戻し依頼の有無を確認する
  • 既知の相手へ直接返す場合も、本人確認、金額、返金先、記録を残す

特に「間違えたので別名義の口座へ返して」「返金前に手数料を払って」といった依頼は危険です。入金が犯罪収益だった場合、別口座へ動かすことでトラブルに巻き込まれるおそれがあります。

ことら送金を間違えた場合

ことら公式FAQは、誤って送金した場合でも送金の取消はできないと案内しています。通常の銀行振込と同じ組戻しを前提にはできません。

  1. 利用したアプリの取引履歴と受取人名を保存する
  2. アプリを提供する銀行・事業者の公式窓口へすぐ相談する
  3. 電話番号やメールアドレスを知っている相手なら、本人確認をした上で返金を依頼する

ことら送金は1件10万円以下で、送金前に受取人名を確認できる仕組みがあります。携帯電話番号の持ち主が変わることもあるため、初回は表示名を読み上げてもらうなど、相手と照合してから確定すると安全です。

詐欺に振り込んだ場合は組戻しだけを待たない

SNS投資詐欺、ロマンス詐欺、還付金詐欺、架空請求など、だまされて送金した場合は入力ミスとは別のルートです。金融庁は、警察と振込先金融機関への連絡を案内しています。

  1. 自分の銀行へ詐欺被害の疑いを伝える
  2. 振込先金融機関の詐欺被害窓口へ連絡する
  3. 警察署または警察相談専用電話「#9110」へ相談する
  4. 振込記録、相手とのメッセージ、広告、URL、電話番号を保存する

振り込め詐欺救済法により、犯罪利用口座に残っている資金から被害回復分配金を受け取れる可能性があります。ただし、全額返る保証はなく、犯人が引き出した後では回収が難しくなります。時間を置かずに連絡してください。

振込間違いを減らす4つの仕組み

登録済み振込先を使い、不要な宛先は消す

毎回口座番号を手入力せず、確認済みの振込先を登録します。退去済みの大家、古い取引先、解約済み口座などは候補から削除し、似た名前を選び間違えないようにします。

受取人名を「最後の照合キー」にする

銀行名と口座番号が合っていても、確定画面に表示される受取人名が想定と違えば中止します。法人は会社名の前後に略称が付くことがあるため、請求書に記載された名義と照合します。

高額送金は少額テストの条件を先に合意する

初めての相手へ高額を送る場合は、相手が対応できるなら少額を先に送り、着金確認後に残額を振り込む方法があります。ただし、振込手数料が2回かかる、請求額との照合が難しくなることがあるため、相手と事前に合意して使います。

確定ボタンの前に「名義・金額・口座」の順で声に出す

一度入力した数字を見直すだけでは、同じ思い込みで誤りを見逃しがちです。受取人名、金額、口座番号の下4桁を請求書と交互に読み上げると、確認作業を変えられます。

よくある質問

口座番号を間違えたら必ず返金されますか?

存在しない口座なら自動返金される場合がありますが、その番号が別人の有効な口座なら着金します。着金後の組戻しには原則として受取人の承諾が必要で、必ず返金されるわけではありません。

組戻しはいつまで依頼できますか?

受付期限や申込方法は銀行によって異なります。期限ぎりぎりまで待つ利点はなく、相手への連絡や残高確保の面でも気づいた時点で依頼するのが基本です。

振込先の相手へ謝礼を払う必要はありますか?

通常、返金の条件として謝礼を支払う義務が当然に生じるわけではありません。知人や取引先へ手間をかけたお詫びをするかは関係性に応じて判断します。不明な相手から謝礼や手数料を要求された場合は、直接支払わず銀行へ相談してください。

銀行へ連絡すれば相手の口座を凍結できますか?

単なる誤振込の組戻しは、詐欺口座の取引停止や裁判上の差押えとは別です。銀行へ相談しても、振込人の申出だけで当然に口座全体が凍結されるわけではありません。

まとめ

振込間違いに気づいたら、取引状況を確認し、証跡を保存して、実行済みなら振込元銀行へすぐ連絡します。予約中は取消、口座不存在なら自動返金、別人へ着金済みなら組戻しという分岐です。

組戻しは受取人の承諾が必要で、手数料を払っても不成立になる場合があります。既知の相手なら記録を残した直接返金、未知の相手なら銀行経由と使い分け、詐欺被害なら振込先金融機関と警察にも直ちに連絡してください。

参考:みずほ銀行「組戻しとは何ですか」ことら「よくある質問」金融庁「振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ」(2026年8月20日確認)

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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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