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生命保険の予定利率の仕組みと他の運用商品との利回り比較

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生命保険会社などの保険商品を見る場合、たとえば貯蓄性の高い保険で「予定利率2%」というように高金利の予定利率をしめしており、この利率なら定期預金や債券で運用するよりもはるかにお得じゃないか!と思うような商品パンフレットも存在します。

しかしながら、生命保険等の「予定利率」と預金や債券などの「金利・利息」とを一緒に比較してはいけません。今回は「予定利率の落とし穴」について見ていきたいと思います。

予定利率が高く見えてしまう落とし穴

その落とし穴というのは「予定利率は貯蓄部分相当にしか関係しない」という点です。

結構、こうした点を知らずに、予定利率だけをみて、それじゃあ貯金代わりに保険に入ろうかしら、という方が多いようですので今回は注意喚起を兼ねてエントリーしていきます。

 

予定利率とは何か?

予定利率とは、生命保険会社が契約者に対して約束する運用利回りです。

上記のような保険は死亡時に保険金が出るだけでなく、貯蓄性もある保険となっています。たとえば、学資保険や養老保険は満期になると一定額の満期保険金を受け取れるような仕組みになっています。

このような貯蓄性の高い保険において、その「貯蓄部分」に対して約束している利回りが予定利率となります。

 

生命保険の保険料は3つに分けられる

予定利率を詳しく見る前に生命保険の保険料は3つに分けられているということを理解しなくてはいけません。

死亡保険料 被保険者の死亡リスクに対応して支払う保険金のための保険料
たとえば1年の死亡リスクが0.1%で死亡保険金が3000万円なら年3万円という金額が死亡保険料となる
貯蓄保険料 満期保険金や将来の死亡リスクのために貯蓄される保険料部分。この貯蓄保険料として積み立てられている部分は予定利率による運用利回りが約束される。
付加保険料 保険会社が事業を継続するための諸経費に充てる部分。従業員給与や土地建物の維持管理費、保険会社の儲けとなる部分。

こんな感じなっています。

はい、見ていただくとわかるように「予定利率」が関係しているのは上記の「貯蓄保険料」の部分だけなんですね。

たとえば、予定利率が2%という貯蓄型の保険があるとします。この保険に払っている保険料全額に2%の利子が付くというのではなく、その保険料の一部に対して2%の利子が付くというイメージになります。

いくら貯蓄型の保険であっても、保険である以上は何かしらの保険にお金が使われています。また、付加保険料(保険会社の経費)はゼロではありません。

それを差し引かれた後の積み立て部分に対して予定利率で運用されるので、最終的に受け取れる金額とは異なるわけです。

なので、保険を使って運用(貯蓄)というのであれば、単純に予定利率だけを見るのではなく、満期時にいくらもらうことができるのか?ということを見る必要があります。

 

実際の利回り計算は満期保険金(シミュレーション)から逆算

じゃあ、実際にその学資保険や終身保険、養老保険などの保険でいったいいくらくらいの利回りが期待できるのか?ということになりますよね。
これを知りたいなら、満期保険金として受け取れる金額と毎月の保険料で逆算することが可能です。

詳しいやり方は下記の記事でもまとめています。

[bloglink url=”https://money-lifehack.com/insurance/8274″]

 

具体的にはエクセルのRATE関数を使うことで簡単に計算可能です。

20年(240か月)の積立で120%という保険商品の利率を見ていきましょう。
毎月の積立額:2万円
20年間の総積立額:480万円
満期時の受取金:528万円(110%)

=RATE(運用期間,定期支払額,現在価値,将来価値)
=RATE(240,-20000,0,5280000)*12=0.942%

というわけで、仮に20年運用した場合の1年あたりの利回りは0.942%ということになります。

定期預金や株式投資、投資信託といったほかの金融商品と貯蓄型の保険とを比較するのであればこうして利回りを再計算してやる必要があるわけです。

 

もちろん、予定利率が高い保険のほうがいいに決まっている

ただし、保険を評価する際には予定利率が高い保険の方が有利であるのは確かです。貯蓄性の高い保険であれば、それだけ利回りも高くなります。

また、死亡保障が手厚いタイプの保険でも、終身保険などの場合、今払っている保険料には将来の死亡リスクの保険料が貯蓄保険料として扱われているため、結果的に保険料を安くすることができています。

 

過去の保険はお宝保険

日本で販売されている貯蓄型保険の予定利率については、年を経るごとに下落しています。

以下は生命保険会社が予定利率を決める際の参考指標ともいえる、金融庁の標準利率の推移です。

標準利率
~平成11年(1999年)3月 2.75%
平成11年(1999年)4月~ 2.00%
平成13年(2001年)4月~ 1.50%
平成25年(2013年)4月~ 1.00%
平成29年(2017年)4月~ 0.25%

このように、どんどん下がっています。このため、予定利率もこれに合わせるようにして下落しています。特に2016年にマイナス金利が導入されたことで、生保会社の運用力が低下し、予定利率も大きく低下しています。

[bloglink url=”https://money-lifehack.com/insurance/5153″]

1999年~2000年以前くらいの保険は予定利率がかなり高く設定されているため、この時期の保険は「お宝保険」と呼ばれています。

 

予定利率は投資商品の比較には役立たないが、保険同士の比較には役立つ

予定利率についてまとめます。

  • 予定利率は保険会社が契約者に約束した利回り
  • 予定利率が高い保険ほど、お得な保険になっている
  • 一方で投資や資産運用で考える場合、予定利率ではなく、最終的な受取額から逆算する必要がある

 

いかがでしょうか?意外と生命保険の販売員の方でも正確に理解していない場合があるので、勧誘を受けた場合などは注意して投資判断をしましょう。
世の中にノーリスクでうまい話ってのはないのです。

また、予定利率については固定金利ですが、「保険会社の業績によっては見直すことができる」といように法改正されました。そのため、保険会社が経営不振になった場合には、強制的に見直されるリスクがのこります。この点も考えておく必要がありますね。

 

以上、生命保険の予定利率の仕組みと他の運用商品との利回り比較