パーキンソンの法則というものをご存知でしょうか?イギリスの経済学者のシリル・ノースコート・パーキンソン氏が著書の「パーキンソンの法則 進歩の追求」の中で提唱した法則です。
第1法則は「仕事の量は完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」というものです。そして、第2法則が「支出の額は収入の額に達するまで膨張する」というというものです。
どちらも本質は同じですが、第1法則は主にお仕事に、第2法則は無駄遣いと貯金にかかわってくるお話で現代社会でも通用する内容となっています。それでは、パーキンソンの法則について見ていきましょう。
パーキンソンの法則とは何か?
パーキンソンの法則は冒頭のように、第1法則と第2法則があります。
- 仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
- 支出の額は収入の額に達するまで膨張する
著書自体は古いですが、翻訳された本や関連本も出版されていますので、気になる方はご購入ください。
パーキンソンの第1法則は仕事術・組織術
パーキンソンの第1法則「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」というものは仕事術や組織術にかかわってくる考え方です。
- 組織は人が増えると増えただけ不要な仕事を作り組織が無駄に肥大化する
- 納期の猶予があると猶予がある分だけ完成品の提出が遅くなる
- 夏休みの宿題は毎年8月31日に終わる
おおよそ、上記のような考え方になります。あるある、と思ってしまう方も多いのではないでしょうか。そうなってしまう原因(要因)としては以下のようなことがあげられるかと思います。
- 人が増えると折衝のため、あるいは仕事のための仕事が増える
- 期限に余裕があると、あれもこれもと重要度の高くないタスクを組み込む
- 納期に余裕があると集中できない
こうした問題の解決については、「与えられた時間ではなく、自分自身で細かくデッドラインを作り実行していく」というのが一つ。そのうえで、人にはこういう傾向があるものだと理解し、自分の仕事において「時間の引き延ばしをしていないかチェックする」という姿勢が重要になるのではないかと思います。
パーキンソンの第2法則はお金の使い方に関する部分
パーキンソンの第2法則「支出の額は収入の額に達するまで膨張する」というのは、お金の使い方に関する問題です。
入ってくるお金が増えれば出ていくお金も増えるというのは、当たり前といえば当たり前なのですが、パーキンソンの第2法則でいう「支出は収入の額まで膨張する」というのであれば大きな問題です。
月の収入が20万円の人が、あと5万円収入が増えたら貯金できるのに……と思っても、実際に収入が25万円に増えたら、増えただけ使ってしまうというお話です。
結局のところ、稼いだお金を使うだけの生活をしてしまうことによって、結局のところお金が残らないというわけです。
節約は必要、貯金も必要だと理解している人は多いはずですが、それがなかなか難しいというのがパーキンソンの法則というわけなのです。お金を手元に残したいのであれば、単に「稼ぐ」ということだけを考えていてもダメだというわけですね。
お金は稼ぐことだけを考えていてもダメ
上記の記事では、年収が1000万円を超えている家庭であっても、貯金ができているという話どころか、むしろ借金している人が3割もいるという調査結果について記事にしました。
世帯年収が1000万円というのは、日本人の平均を見てもかなりの高収入なはずです。それにも関わらず、貯金ができているどころか、むしろ借金しているというのはどういうことなのでしょうか?これこそが、パーキンソンの第2法則に従って、支出が膨張した結果といえそうです。
パーキンソンの法則に打ち勝って貯金するにはどうしたらいい?
じゃあ、このパーキンソンの第2法則に打ち勝って、支出の膨張を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?
- 月の生活費を先に決めてしまう
- 収入のうち、貯金したい金額を先に使えるお金から取り除く
このあたりが有効な手段となります。支出が使えるお金の上限まで膨張するなら、最初から使えるお金をギリギリまで減らしてやればいいわけです。
実際に、この二つの項目は貯金術としては広く知られている話です。
貯金術としては、余ったお金を貯金するのではなく、最初に貯金したいお金を引いて、その残りで生活するようするというのが基本とされています。給料天引きで貯蓄できる仕組みや、自動引き落とし(積立定期預金)などを活用するという方法が有効です。
先取貯金・天引貯金の方法と特徴
実際にはどのような先取貯金・天引き貯金があるでしょうか。いくつかまとめていますので、自分に合ったものをご選択ください。
天引貯蓄の種類 | 特徴やメリット、デメリット |
---|---|
社内預金・財形貯蓄 | 勤務先に制度があれば利用できる。給料から直接天引きされるので強制力が強い。社内預金制度があれば高利回りのケースも。 |
従業員持ち株会 | 勤務先に制度があれば利用できる。投資先は「株式」なので株価の変動によって損失が発生することもあるが、通常の株購入よりも有利になっていることもある。 ただし、過度な勤務先の株保有は「仕事」と「資産」の両方を勤務先にゆだねることになり、リスク分散の観点からは、過度な配分は危険。 |
積立定期預金 | 多くの銀行で利用できる預金方法。毎月一定額を指定日に定期預金とすることができます。金利(利回り)は現状、ほぼ期待できない。 |
投資信託の積立など積立投資 | 一部のネット証券等で利用可能。積み立てを定期預金ではなく、投資信託などの投資商品で行う方法。運用のリスクはあるものの、預金と比較すると高いリターンが期待できる。 |
個人型確定拠出年金 | 老後の年金を自分で積み立てていく方法。あくまでも「老後資金」となるが、掛け金は全額所得控除になるなど税制上のメリットは極めて大きい。 運用は定期預金のほか、投資信託が中心 |
まとめ、漠然とした貯蓄はやりにくいと理解すべき
今回はパーキンソンの法則というものを例に挙げましたが、このような「法則」といわれるほどに、貯金をするというのは、その重要性がわかっていても難しいものです。だからこそ強制的・自動的に貯金ができるようなシステムを設計したほうがうまくいきます。
特に、収入はあるのになかなか貯金ができない……という方は大いに参考にしてもらえればと思います。
以上、無駄遣いが増えるのは収入が増えたせい?パーキンソンの法則とは?というお話でした。
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