PayPayポイント運用というサービスがあります。2020年4月16日にスタートしたものでスマホ決済サービス(QRコード決済)のPayPay残高の一つである「PayPayポイント(旧:PayPayボーナス)」を使って、アプリ内で疑似的に投資体験ができるサービスとなっています。
PayPayポイント残高を利用してリアルタイムで投資・引出が可能となっており、米国株投資に手軽に取り組むことができるようになっています。こちらではそんなPayPayポイント運用サービスについてその特徴や活用方法、注意点などを紹介していきます。
現在はポイント追加時に手数料(1%相当)が必要となり、個人的にはほぼオワコンといえるポイント運用サービスとなっています。それでも人気あるみたいですが、かなり割の悪い運用サービスです。
PayPayポイント運用とは?
PayPayポイントを利用したポイント運用(疑似的にポイントを運用して、その運用結果に応じてポイント数が変動するサービス)となっています。厳密にいえばPayPayボーナスは残高であってポイントとは違うのかもしれませんが、チャージしてたまるものではなく、決済やキャンペーン等でたまるものなので扱いとしてはポイントと同じです。
ポイントを運用できるサービスというものは2022年現在では多数のサービスがあります。
- dポイント投資
- StockPoint
- 楽天ポイント運用
- Pontaポイント運用
- 永久不滅ポイント運用
などですね。それぞれポイントを運用することで、株価の上下などによってポイントが変動してポイントが増減します。手軽に投資体験ができるサービスとして近年いろいろなポイント運用サービスがあります。
なお、PayPay残高には「PayPay残高の3つの種類」で紹介したように3つの種類がありますが、この中でも「PayPayボーナス」のみとなっています。他の種類の残高は投資できません。ちなみにサービスの提供は1000円から米国株投資ができることで知られている「PayPay証券(旧:One Tap Buy)」が提供しています。
PayPayポイント運用の始め方
PayPayのアプリから始めることができます。
ホーム画面に「ポイント運用」というアイコンが追加されているので、それをタップして規約に同意したら始めることができます。証券口座は不要ですぐに開始することができます。
PayPayアプリをお持ちでない方はAppStoreやGooglePlayなどからダウンロードの上ご利用ください。
PayPayポイント運用の仕組み
PayPayポイント運用は「チャレンジコース」と「スタンダードコース」「テクノロジーコース」「逆チャレンジコース」「金コース」の5つのコースがあり、それぞれにPayPayポイントを振り分けて運用します。
・スタンダードコース
PayPayポイント運用のノーマルな運用プランです。S&P500という株価指数に連動するETF「SPDR S&P 500(SPY)」に対して投資をするイメージとなります。S&P500とはアメリカを代表する500社の企業の株価を時価総額で加重平均して指数にしたものです。難しそうに見えるかもしれませんが、認識としてはアメリカの株式市場全体に投資をするというようなイメージを持ってもらって構いません。
・チャレンジコース
ハイリスク・ハイリターンタイプの運用となります。Direxion Daily S&P 500 Bull 3X Shares(SPXL)というETFに連動するようになっています。こちらはS&P500という株価指数の3倍幅で変動するように作られています。つまり、スタンダードコースの3倍変動コースです。
・逆チャレンジコース
チャレンジコースとは反対にS&P500の株価指数の-3倍幅で変動します。S&P500が上昇すれば3倍の値幅で下がり、S&P500が下落すれば3倍の値幅で上昇します。
・テクノロジーコース
米国のハイテク企業中心の株価指数「ナスダック(NASDAQ)」に連動するように作られている運用コースです。ETFはQQQ(Invesco QQQ Trust Series 1)に連動するように作られています。
・金コース
GOLDの価格に連動します。
24時間リアルタイムで運用され変動する
PayPayポイント運用はリアルタイムとなっていて、ほぼ24時間変動しています(土日は変動せず)。
アメリカの株価指数ですが、米国株の取引時間外でも価格は変動しているので、いつでも取引をすることができるようになっています。少し詳しく書くと、米国の株取引時間は日本時間だと22時30分~翌5時(サマータイム中、冬時間中は1時間遅れる)となっています。この時間中にチャレンジコースやスタンダードコースの変動対象である「S&P500」は変動しています。
ところが、その時間が終わった後でも先物取引やCFD取引などの別の形でS&P500の取引が行われているため、それを基にPayPayポイント運用は価格を計算してサービスを提供しているものと考えられます。
PayPayポイント運用はやるべき?おすすめできる?
ポイント運用をする特別なメリットがあるというわけではありませんが、ただ、S&P500に手軽に投資できるというのは面白いサービスだと思います。日本時間でもリアルタイムに変動するようになっているので、運用をする面白みはあると思います。
ただし、2022年3月より100ポイント以上を追加するときには1%の手数料が徴収されるようになってしまいました(99ポイント以下なら無料だけど手間がかかりすぎる)。これによって運用上のメリットはほとんどなくなり、むしろポイント運用ならではの問題によって利用価値はむしろマイナスに下がりました。
1%の手数料は割高
PayPayポイント運用は運用追加時に1%分の手数料がかかります。
「資産運用・投資で重要な手数料(コスト)の引き下げ!手数料は100%発生するマイナスリターン」の記事でも紹介したように手数料は資産運用において大きなインパクトを持ちます。
ちなみに1%の手数料は証券会社を通じての米国株投資と比較して高すぎるというほどではありませんが、後述するPayPayポイント運用の権利落ちを考えると長期投資に向かないため、結果として出し入れが増えてしまい無駄なコストを支払う機会が多くなります。
PayPayポイント運用は権利落ち分だけ損をする
PayPayポイント運用では、ETFであるSPY、SPXLに連動するようになっています。ところがこの二つのETFは分配金(配当金)がでます。一方でPayPayポイント運用のようなポイント運用サービスの場合、この分配金は出ません。なので、PayPayを運用したままにして分配金の権利付き落ち日を迎えると分配金分損をしてしまいます。
権利落ちが発生するタイミングの前に一旦引出をすれば回避できます。
権利落ちによって発生する損失はスタンダードコースで1.4%程度、チャレンジコースで0.4%程度、テクノロジーコースで0.4%程度です。
これも確実に発生するマイナスのリターンなので回避したいところですが、前述のようにPayPayポイント運用では追加時に手数料が必要になりますので、権利落ち回避との間でジレンマが発生します。結論から言うと、権利落ちのコストを甘んじて受けるほうが効率的ということになります。
つまり、普通に投資をするよりも確実にリターンが下がる運用方法となります。この時点で個人的にPayPayポイント運用を利用する価値はゼロになりました。
PayPayポイント運用はオワコン
というわけで、PayPayポイント運用は個人的にはオワコン(終わったコンテンツ)です。
長期投資をすると権利落ちによってマイナスリターンが発生する。一方でそれを回避しようとすると証券会社で株を売買するよりも高い手数料が発生する。といった具合で、わざわざポイント運用する意味ある?といったレベルです。
PayPayポイント運用をするくらいなら、普通に米国ETFを買えばいいと思いますし、ポイント運用をしたいという場合でもdポイント投資や永久不滅ポイント運用といったような他サービスを利用するほうが良いです。
せめて、PayPayポイント運用におけるコース変更(スイッチング)が手数料無料だったりすると利用価値は出てくると思うんですけどね。
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