所得税・住民税 PR

所得税・住民税における所得控除と税額控除の違いは何か?

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tax所得税や住民税という税制は私たちの所得(1年間の収入から経費を差し引いたもの)に対してかかる税金となっています。この所得税や住民税においては、その減税手段として「所得控除」や「税額控除」といった仕組みが用意されている場合があります。

たとえば、人気のふるさと納税や個人型確定拠出年金は実施することで「所得控除」によって税金が安くなります。住宅ローンを組んでいる人で一定の条件を満たせば住宅ローン減税(控除)が利用できますがこちらは「税額控除」となります。

今回はそんな税制における所得控除と税額控除の仕組みやそれぞれの違いをわかりやすくまとめていきたいと思います。

所得税の計算方法を理解しよう

まず、控除について考えるとき所得税の計算の仕組みを知る必要があります。

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上記の記事でも紹介していますが、税金は以下のようにして決まります。

  1. 収入-必要経費=所得
  2. 所得-所得控除=課税所得
  3. 課税所得×税率=税額
  4. 税額-税額控除=実際の納税額

この記事のタイトルでもある“所得控除”と“税額控除”は所得税(税金)を計算するときに、引き算をする場所が違うということになります。

たとえばサラリーマンの場合、必要経費は「給与所得控除」そして所得控除としては「基礎控除」「社会保険料控除」「配偶者控除」「不要控除」「生命保険料控除」などがあります。

それを引いた金額が「課税所得」となりそれに税率を掛けたものが税額です。最後にこの税額から「税額控除」を差し引くことで実際に納付する税金が決まるということになります。

 

所得控除の効果は控除額×税率

住民税(所得割)は一律10%ですが、日本の所得税は累進税率(超過累進税率)を採用しており、課税所得額が大きくなるほど税率も高くなるように設定されています。

仮に課税所得が500万円であれば、20%が所得税率となります。

そのため、所得控除による税効果は「控除額×(10%+20%)」となります。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

 

税額から直接差し引ける税額控除

上記の式で計算されるのが所得税額や住民税額となります。

ただし、これで終わりではありません。ここから差し引くことができる控除があります。それが「税額控除」です。

代表的な税額控除としては住宅ローンを組んで家を購入した時の住宅ローン減税があります。年度末のローン残高の1%が税額控除の対象となります。また、近年人気が急上昇している「ふるさと納税」も税額控除の一つです。

たとえば、所得が400万円の人は「4,000,000円×20%-427,500円=37万円」が所得税額となります。
この人が仮に2000万円の住宅ローン残高がある場合、1%の20万円が税額控除です。すると、37万円の所得税額から20万円を差し引くことができます。すると支払う税額は17万円にまで圧縮されます。

これが税額控除です。

 

所得控除の種類と特徴

所得控除というのは所得額から差し引くことができる控除です。代表的なものとしては以下のようなものがあります。

  • 基礎控除(全員が使える控除)
  • 社会保険料控除(払った健康保険料や年金保険料を引ける)
  • 配偶者控除(所得のない配偶者を扶養している場合の控除)
  • 扶養控除(子供や親族を扶養している場合の控除)
  • 生命保険料(生命保険料の一部を引ける控除)
  • 医療費控除(一定以上の医療費を差し引ける控除)
  • 特定支出控除(サラリーマンで特定の支出をしたときの控除)

 

所得控除による影響は高所得者ほど大きい

所得控除というのは税金を計算するための所得を差し引くいというものです。一方の税額控除は計算された税額から一定額を差し引くことができるというものです。

この違いをもう少し深く考えてみましょう。

たとえば、所得控除として38万円を差し引くことができるとしましょう。この所得控除による影響は所得税率によって変わってきます。

  • 5%:1.9万円の減税効果
  • 10%:3.8万円の減税効果
  • 20%:7.6万円の減税効果
  • 23%:8.74万円の減税効果
  • 33%:12.54万円の減税効果
  • 40%:15.2万円の減税効果
  • 45%:17.1万円の減税効果

このように、同じ金額の所得控除であってもそれを利用することによる恩恵は適用される限界税率が高い人(所得が高い人)ほど有利になるということになります。

個人型確定拠出年金

などは、自分がやる気になれば誰でも利用できる税制(制度)です。このような制度は所得が高い人ほど実施することでより恩恵が受けられるというわけです。

もっとも、高所得者はずるいというわけではないです。単に高所得者ほど高い税率で税金を納めているので制度を利用すればその分だけたくさん戻ってくるというだけの話です。

 

税額控除の種類と特徴

税額控除というのは、納めるべき税金を計算したあとで、税金の金額自体を差し引くことができる控除となっています。代表的なものとしては以下のようなものがあります。

  • 住宅ローン控除(住宅ローン残高の一定割合を控除できる)
  • 寄附金控除(寄付した金額の一部を控除できる。「ふるさと納税」など)
  • 配当控除
  • 外国税額控除(海外投資で二重課税された税金の調整のための控除)

主に、税額控除は寄付の促進マイホームの取得といった社会政策を実現することを目的とした補助金的な役割の控除や二重課税を防ぐ目的で実施されます。

 

同じ控除額なら所得控除より税額控除の方が節税になる

たとえば所得控除30万円と税額控除10万円ならどちらがうれしいでしょうか?

所得控除とうのは「税率」を掛ける前の金額です。なので30万円控除されても税率が20%なら減税額は30万円×20%となり6万円になります。一方で税額控除なら10万円がダイレクトに節税されます。

同じ控除額なら税額控除の方がメリットが大きいです。

一方で、税額控除の場合は所得税率との関係はありません。あくまでも計算された税率から一定額を差し引くという形になります。

そのため、住宅ローン控除(減税)のようなケースでは、2000万円の住宅ローンを組んでいれば皆が20万円の税額控除を受けることができます。こちらの制度は所得税率に対しては中立といえます。

 

税額控除は引くものが無いというケースはダメ

注意点として挙げられるのは、税額控除はあくまでも支払う税金があるときに使える制度ということです。たとえば、そもそも収入が無い方などは引くことができる税金がそもそもゼロなので、差し引けません。

差し引くことができないならその分、お金が払われるというものではありませんのでご注意ください。引けないもんのが無い時はダメというわけです。

代表的なものの一つが住宅ローン控除ですね。こちらは住宅ローン残高の1%相当を税額控除できる制度です。

仮に4000万円の住宅ローンを組んでいるなら1%の40万円の減税にできるわけです。40万円を差し引けない場合はその分は消えてしまいます。

昨今の住宅ローン金利の水準を考えると「住宅ローンを借りただけお金がもらえる。金利と減税の逆ざや(実質マイナス金利)を活用」でも指摘したように住宅ローンを借りていることで逆にお金をもらっているマイナス金利状態にすることだってできています。

こうした税額控除が利用できるのはある程度所得がないと無理です。そもそも4000万円の住宅ローンを借りれるという時点でそれなりの所得がないと無理というのもりますし……。こういうことを利用して税金を安くできるのは高所得者の方ほど有利になります。

 

ふるさと納税は税額控除だけど控除できる金額は課税所得で変わってくる

人気のふるさと納税も「寄付金控除」という税額控除のシステムを利用しています。寄付したお金は税額控除という形で控除されます。

ただし、ふるさと納税で寄付をすることができる上限額は「住民税所得割額の約2割」となっています。所得割額というのは課税所得の大きさで変わります。つまり高所得者ほど、寄付できる上限額が大きくなるというわけで、こちらの制度においても減税される金額は税額控除ですが、高所得者ほどより有利になります。

ちなみに「ふるさと納税の限度額の目安。年収や過去の住民税から計算する方法」で寄付可能な目安額を紹介していますが、年間の所得が200万円ならおよそ5万円くらいですが、所得が1000万円だと35万円くらい寄付が可能になります。

 

以上、所得税における所得控除と税額控除の違いは何かということをまとめてみました。

ABOUT ME
ふかちゃん
マネーライフハックの編集長 兼 管理人です。節約やマネー術などについての情報発信を2004年から続けています。
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