2015年10月より、国民一人一人に「個人番号(マイナンバー)」という12桁の番号が附番されています。
この個人番号のことをマイナンバーと言い、これに関する制度全般についてマイナンバー制度と呼んでいます。
すでに全国民に対して個人番号が通知カード(紙のカード)で通知されており、住民票などにも記載されています。
まずは社会保障や税、災害時などに活用されますが、将来的には利用の範囲が拡大されていくことになっています。このマイナンバーについて、最低限知っておきたい基本のきを紹介していきたいと思います。
マイナンバーって言っているけど、そもそも何?という方にとって参考になれば幸いです。
マイナンバー(個人番号)とは?
マイナンバー(個人番号)とは、産まれたばかりの赤ちゃんから老人まですべての日本国民に割り当てられる識別番号です。この番号は所得税、社会保険料、雇用保険料といった現在は別々に管理されている税・社会保障分野などが一元管理(ひも付け)されるようになります。
また、災害時の生活支援金の支給などの際にも利用されます。
また、将来的には証券口座、銀行口座、生命保険(年金保険)、不動産、自動車等の一部の動産等に関する情報もマイナンバーにひも付けされる可能性もあります。
手続きの簡略化などでのメリットもある一方で、国にとって資産や収入などが丸裸にされてしまうという話や情報漏洩に対する悪用の懸念などがデメリットとして挙げられます。
マイナンバーは何に使われるものなの?
この番号は今後様々な場面で求められることになります。まず利用されるのは「社会保険」「税」「災害」の3分野の限定された形で利用されます。
社会保険 | 国民年金、厚生年金、雇用保険、生活保護、介護保険などの事務。年金の照会などに番号を利用することができます |
---|---|
税金 | 確定申告、支払調書、源泉徴収等の事務。源泉徴収などで番号が利用されます。また、相続税の申告にも利用が可能になります |
災害 | 被災者に対する生活再建支援金の支給事務などに利用されます |
- 年金の支給
- 失業保険の給付
- ハローワークでの事務
- 児童手当の支給
- 母子家庭や障害者自立支援給付
- 特別児童手当
- 生活保護の決定や実施
- 医療や介護保険料の徴収や保険給付
- 奨学金
- 公営住宅管理
- 確定申告や調書
- 税務当局の事務
- 被災者生活再建支援金の給付
などが具体例として挙げられています。
マイナンバーは変わることがある?
番号漏洩により不正利用の危険性がある場合を除き、原則として一生変わりません。
個人番号の通知カードとマイナンバーカード(個人番号カード)
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個人番号については送られてくる通知カード(緑のペラペラのカード)と写真付きのマイナンバーカードがあります。
通知カードは全員に送付されていますが、マイナンバーカードついては自ら申請をして作ってもらう必要があります。
ただ、制度が導入されて数年たった現在でも普及は全くしておらず、2018年10月現在(導入から約2年)の時点でもカードを取得した人は全体の3割にしか至っていません。
※通知カードは今後廃止が予定されています。
マイナンバーで何が便利になる?
以下のような手続きが簡単になります。マイナンバーカードの発行を前提としています。
- 各種行政手続きのオンライン申請が可能(マイナポータル)
- コンビニで住民票や印鑑証明などが取得可能になる
- 本人確認(認証)が楽になる
こういった点が挙げられます。
住民票や印鑑証明などが頻繁に必要になるという方はマイナンバーカードを作っておけばすぐに取得できるのは便利です。
また、証券会社の口座開設のように「本人確認書類」と「個人番号」の両方が必要な場合、マイナンバーカードがあれば一枚で代用できるのもメリットといえそうです。
2020年以降はポイント機能も?
マイナンバーカードを使ったポイントシステムとしては「自治体ポイント」がすでに存在していますが、マイナンバーカード(写真付きカード)の作成を促すために、マイナンバーカードを作成の上、キャッシュレス決済を利用することで25%相当のポイント還元をする仕組みを作るという事です。
2021年3月以降は保険証としても利用可能に
改正健康保険法等が成立して、2021年3月からマイナンバーカードの保険証利用の仕組みを検討することになりました。
マイナンバーカードのICチップを通じてオンライン認証する仕組みのようです。
マイナンバーはどこで収集されてどのように使われる?
マイナンバー(個人番号)の制度がスタートし、様々な場面でマイナンバーの提出が必要になっています。
企業におけるマイナンバーの収集
企業は従業員の健康保険や厚生年金(社会保険)や源泉徴収票の作成を多ないますが、これらの手続きのために2016年よりマイナンバーが必要になっています。
企業は従業員と従業員が扶養する家族のマイナンバーを集める必要があります。正社員だけでなく、アルバイトやパートでも必要です。
なお、会社は収集する必要がありますが、労働者にとっては義務化されていませんので提出の拒否をすることは可能です。
金融機関におけるマイナンバーの取り扱いと義務化
- 銀行
- 証券会社
- 保険会社
それぞれでマイナンバー(個人番号)の提出が必要になっています。ただし、完全義務化とはなっていません。
新規口座開設 | 既存口座 | |
---|---|---|
銀行とマイナンバー | 2018年1月より「任意」での提出となっています。2021年からは義務化される予定 | 2021年より義務化予定 |
証券会社とマイナンバー | 2016年1月より義務化 | 2019年1月までに提出義務となっていましたが、集まらず2021年12月末まで延長 |
保険とマイナンバー | ①受け取った保険金・解約返戻金の一時金が100万円を超える場合 ②年間の年金支払額が20万円を超える場合 など |
新規口座への義務化については比較的容易な面もありますが、証券会社のマイナンバー登録については完全義務化の期限を過ぎても収集が難しいという状況があるようです。
面倒なだけという方も多いかもしれませんが、個人番号(マイナンバー)を金融機関と紐づけする事については抵抗感が強い方も多いのでしょうね。
マイナンバーで何が補足されるようになるのか?
マイナンバーの導入は課税当局にとっては悲願ともいえるものです。
前述のようにサラリーマンの場合、職場からマイナンバーの提出が求められます。これによって収入がガラス張りとなります。
たとえば、複数の事業所で副業的に働いているような場合にはそうした収入も補足されやすくなります。
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また、銀行や証券会社、保険会社などでもマイナンバーが登録されることによって資産も補足しやすくなるわけです。
こうした制度は脱税や不正受給といった問題を解決する手段となる一方で、プライバシーが丸裸になるという懸念や漏えいした時の問題も存在します。
収入や資産の状況が政府によって監視されるということに疑問を持つ方も多いようです。
プライバシーと管理の兼ね合いは重要
たとえば、2020年にはマイナンバー(個人番号)を利用したポイント還元(プレミアム付与)も計画されているようですが、これが現実になった場合、消費までも個人番号を通じて管理しようと思えばできるわけです。
私自身もマイナンバーカードと紐づけされた電子マネーとか恐怖を覚えます。
ガラス張りにされることは不正を防止することはできるのかもしれませんが、一方で故人のプライバシーとの問題の兼ね合いがあるわけです。
公権力を持つ政府にこの人はこういうものを買っているという事が知られてしまうわけです。
漏洩や悪用といった問題がないかも不安
また、そうしたセンシティブな情報を扱うため、漏洩等の問題は気になるところです。マイナンバーを悪用して、銀行口座を開設されて犯罪行為に使われて嫌疑を被るなんてことはありそうです。
また、個人情報の漏洩などによって、前述のような極めて重要な情報が漏洩したら大問題となります。
マイナンバー制度をめぐってはこのような点も注目されているわけです。
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