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給与所得控除の縮小が進む。サラリーマンは大増税になる可能性

2017年11月現在においてサラリーマンの給与所得控除の見直しが審議されています。実現すれば、日本の納税者の中でも大部分を占めているサラリーマンにとっては大幅な増税となる可能性があります。

報道では高所得者に対する増税という雰囲気が出ておりますが、発表内容を見る限り収入がさほど多くないサラリーマンにとっても増税となる可能性が大です。

実際に税制調査会に出されている資料を読む限り、普通のサラリーマンも確実に標的になっていると思われます。今回はそんな資料を基に、給与所得控除の見直しが行われたらどうなるのか?ということを見ていきたいと思います。

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そもそも給与所得控除って何?

給与所得控除というのは、サラリーマン(会社員)の方が利用できる税金(所得税・住民税)の計算でつかう、計算上の必要経費です。

通常、所得税・住民税を計算するときは「所得」に対して税金がかかりますが、この所得は“収入(額面収入)からその収入を得るためにかかった必要経費を差し引いたもの”です。

たとえば、お店屋さんなら、売上から仕入れやお店の家賃、電気代などの経費を引いたものが「所得」となります。

サラリーマンの場合も給料をもらうために個人的な必要経費を払っているわけですが、それをいちいち計算して申告させると大変なので「給与所得控除」という形で決めているわけです。計算式は以下のようになっています。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 2,200,000円(上限)

※平成29年1月1日以降

たとえば、年収400万円なら「400万円×0.2+54万円=134万円」が給与所得控除となります。これを年収(額面収入)から差し引いた400万円-134万円=266万円が「所得」となります。

ここから各種「所得控除(基礎控除や社会保険料控除など)」を差し引いたものが「課税所得」。これに税率をかけて所得税や住民税の税額が決まってくるわけです。

最後にここから「税額控除」を行って、最終的な納税額が確定します。

額面収入(年収・給与)と手取り、所得の違いを理解しよう
2014-04-17 18:02
よく寄せられる質問で混同されることが多いものに「収入(年収)」と「手取り」と「所得」の違いがあります。これら3つについてごっちゃになっているという方も少なくはないと思います。
リンク

 

給与所得控除は高すぎる?

給与所得控除についての見直しについては平成29年10月23日の税制調査会の説明資料によって明らかにされています。

表題としては「働き方の多様化を踏まえた個人所得課税のあり方」というもので、財務省としては給与所得控除は過大であると論じているわけです。

ちなみに資料は「PDF」で公開されているので、気になる方は原文をご覧ください。

スマホ等でご覧の方は小さくて読めないと思いますので、少し書き出していきます。上の資料はサラリーマン世帯の年収別の勤務に関連すると経費ではないかと指摘される支出額を示したものです。

  • 衣料品
  • 身の回り品
  • 理容洗濯
  • 文具
  • 新聞図書
  • こづかい
  • 付き合い費

年収別なんですが、年収400万、600万、1000万の3ケースをぬきだしてみます。

年収400万円 年収600万円 年収1000万円
衣料品 8,604円 19,744円 40,183円
身の回り品 6,433円 12,460円 20,053円
理容洗濯 6,170円 10,158円 20,807円
文具 976円 1,737円 2,218円
新聞図書 25,468円 36,621円 59,101円
こづかい 80,990円 148,336円 233,058円
付き合い費 3,618円 10,205円 22,646円
合計額 132,259円 239,261円 398,066円

たとえば年収1000万円でも仕事に使っている経費(と思われる金額)は40万円くらいしかないのに、給与所得控除で220万円と5.5倍も経費扱いにしているのはおかしいというのが財務省の主張です。

ちなみにこの話だと年収400万円でも必要経費(想定)が13万円なのに給与所得控除は134万円と10倍以上も経費扱いにしているのはおかしいということになります。

 

本当にこのくらいしか経費使ってないのか?

たとえば年収600万円の人の理容洗濯は10,158円というのは少なすぎやしませんか?ヘアカットとクリーニング代ってことですよね。

ちなみに、この税制調査会の資料は総務省の家計調査(2016年)がベースになっているという事なので元データを洗っていきます。

理髪料:4,147円
洗濯代:6,011円
合計:10,158円

うん、数字が合いますね。ってことは年収600万円クラスの人は1000円カットのお店に年4回(3か月に1度)くらい行ってるのがこの世の平均何ですかね?

衣料品にしても、背広服の項目で見ると6,732円です。その他、ズボン、コート、ワイシャツ、シャツなどが財務省は衣料品代としているようです。普通に着てたら3年くらいが寿命と考えても2万円くらいのスーツしか買えない計算になってしまいます。

この家計調査自体は全国の8000世帯をサンプルとしたもので、決して統計自体が間違っているとは思いませんが、その数字の取り上げ方です。元データのエクセルファイルは「総務省の家計調査(2016年)」にありますので、余裕のある方は見ていただければと思いますが、数字の取り上げ方がかなり厳しいものになっているように思われます。

 

給与所得控除が減額されると税金はどう増税される?

こうした議論において給与所得控除が仮に大幅に減額されるとどうなるか?という話ですが、それだけだと大幅な増税になります。

実際に上記であげたようなサラリーマンに対する給与所得控除を大幅に減らしたり、あるいは廃止したりするのは影響が大きすぎてありえない話になると思います。

給与所得控除の上限額の縮小といったところが基本軸で進んでいるようです

ちなみに、高所得者の給与所得控除についてはすでに何年にも分けて見直しが行われています。

  • 2013年:給与所得控除に上限(1500万円超に245万円固定)
  • 2016年:同上限を引き下げ(1200万円超は230万円固定)
  • 2017年:同上限を引き下げ(1000万円超は220万円固定)
  • 2020年:同上限を引き下げ+一律10万削減(850万円超は195万円固定)

ちなみに2020年の一律10万円の引き下げは同時に基礎控除の10万円引き上げが行われるので年収850万円以下の層への影響はありません。一方で年収850万円以上の人にとっては大きな増税となります。

また、フリーランスや個人事業主は基礎控除引き上げ分だけ減税となります。詳しい内容は下記の記事をご参照ください。

2020年からの所得税改革の中身。年収850万円超のサラリーマンは増税へ
2017-12-07 16:25
2018年度の税制改正として所得税改革についての合意がなされました。基本的には全体で1000億円超の増税となる見込みです。増税の対象になるのは年収850万円を超えるサラリーマンです
リンク

 

給与所得控除は“過大に”控除されているのか?

自営業の方などと比べてサラリーマンは給与所得控除が過大なのか?と言われたらそういう面は確かにあると思います。一方でサラリーマンと自営業の間では、所得捕捉に差があるのも現実です。

クロヨンという言葉がありますが、これは所得捕捉率のスラングです。実際の収入のうち税務当局に補足されている割合が9:6:4というものです。9割:サラリーマン、6割:自営業者、4割:農林水産業者といわれています。

似た言葉にトーゴーサンピン(10:5:3:1)というのもあります。内容は同じで最後のピン(1)は政治家になります。

税務当局はこうしたことを認めていませんが、ほぼ確実に捕捉されていて課税される給与所得者(サラリーマン)と、収入の一部が補足されていな人とを比較するのは公平か?という疑問もあります。

財源が不足しているという状況はわかりますが、取りやすいところから取るという姿勢ではなく、サラリーマン以外のクロヨン問題などを解消していくことも併せて重要になると思います。せっかくマイナンバーを導入しているのですし、しっかりとやってほしいところです。

あとは、国民に痛みを押し付けるのであれば、国もしっかりとした経費削減などを実施してもらわないといけません。

サラリーマンの税金にとってはかなり大きな影響がある項目なので、気になって書いてみました。

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