401K・確定拠出年金 PR

主婦が個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入するメリット、デメリット

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老後の年金資産を有利に積み上げていくことができるiDeCo(個人型確定拠出年金)が人気を集めています。

従来、加入できる対象に主婦(専業主婦・第3号被保険者)は含まれていなかったのですが、2017年1月より主婦や公務員、企業年金加入者も401kに加入することができるようになりました。そうしたこともあって、主婦の方でも老後のために個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入しようか悩んでいらっしゃる方もいるかもしれません。

はたして専業主婦、主婦も401kに加入するのが得なのか、損なのか?主婦と401kについてのメリット、デメリットを分析していきます。

確定拠出年金とは何か?

確定拠出年金は国民年金や厚生年金などの公的年金の上乗せ年金として利用可能な年金です。
企業年金の一種として運用されている企業型401kと個人の意思で加入することができる個人型確定拠出型年金(iDeCo)があります。

個人型確定拠出型年金(iDeCo)は自営業者(第1号被保険者)と企業年金がないサラリーマン(第2号被保険者)が加入できる年金制度として運用されていました。掛け金の全額が所得控除の対象となることや運用益が非課税といったメリットがあり、近年加入者を増やしています。

個人型確定拠出年金の仕組みやメリット、デメリットについては「個人型確定拠出年金のメリット・デメリット」でまとめているのでこちらをご覧ください。

そんなiDeCo(イデコ)が2017年1月よりこれまで加入することができなかった主婦・公務員・企業年金のあるサラリーマンも加入できるようになり、基本的にだれでも加入することができる年金になります。

それを受けて、2017年1月解禁の主婦(専業主婦)がiDeCo(イデコ)を利用するメリットがあるのかどうかを調べてみました。

 

主婦が加入できる個人型確定拠出年金(iDeCo)

なお、今回の主婦というくくりはサラリーマンや公務員の妻である第3号被保険者という意味で使用させていただきます。ご主人が個人事業主のように第1号被保険者である場合、妻も第1号被保険者となります。

そのケースでは主婦であっても個人事業主と同じ条件でiDeCoに加入できることになります。

 

第3号被保険者とは?

第3号被保険者は第2号被保険者(社会保険に加入しているサラリーマン・公務員)の配偶者の内、勤務先(パート先)の社会保険に加入しておらず、年間の収入見込みが130万円以下の方を指します。

第3号被保険者は第2号被保険者の社会保険上の被扶養者であり、健康保険料や国民年金保険料が事実上免除されています。こちら「年金の第3号被保険者制度の問題点とその廃止議論」でも指摘しているように主婦優遇だと批判もありますが、今のところ改正される予定はありません。

 

主婦(第3号被保険者)のiDeCo

さて、話が脱線しましたのでiDeCoに戻します。第3号被保険者の場合、2016年までは個人型確定拠出年金に加入することはできませんでしたが、2017年1月以降は加入できるようになります。

月々の掛け金上限額は23,000円で最大276,000円まで掛金を拠出することができます。この範囲内であれば全額所得控除されます。

 

主婦がiDeCo(イデコ)に加入するメリット

まずはメリットからまとめていきたいと思います。大きなメリットとして挙げられるのは運用期間中の運用益等が非課税になるということ。

パート収入などがある方は税制面のメリットがありますが、こちらのメリットはほとんど享受できないはずです。

 

運用中の運用益が非課税

確定拠出年金(401k)の場合、掛け金の運用益に対する課税は非課税となります。2014年からスタートしたNISA(小額投資非課税制度)でも同様の効果は見込めますが、NISAの場合は運用年数が5年間と制限されているのに対して401kの場合は長期間非課税の効果が継続するので福利効果も考えると非課税の効果は大きいといえます。

 

配偶者控除の拡大で主婦でもiDeCoを活かせる?

主婦(第3号被保険者)というのは、パートとして働く場合、年収106万円以下(大企業でのパートの場合)または年収130万円以下となります。

一方、2018年からは配偶者控除が150万円まで増額されることが決まりました。
そのた、103万円(所得税の最低課税点)からの差額についてはiDeCoの所得控除を利用することで節税が可能です。

 

1)一定の大企業でパートをしている場合

106万円以下で働けば社会保険に加入せずに済みます。なので103万円との差額の約3万円分だけ所得控除が利用できます。うーん。少なすぎる……。

 

2)そのほかの会社でパートしている場合

収入見込み130万円が社会保険の扶養から外れる収入になりますので130万円までは働くことができます。この場合は103万円との差額である27万円までの部分は所得控除が利用できます。

 

ただし、実際の所得控除による節税効果はそもそもの税率が低い(所得税5%+住民税10%)ということで税効果は収入が高い人(所得税の税率が高い人)よりは低くなります。

 

主婦がiDeCo(イデコ)の加入するデメリットやもったいないポイント

続いては主婦が個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用するときの注意点やデメリットなどをまとめていきますね。

 

掛け金が非課税となる効果がないにも関わらず受取時は課税対象

確定拠出年金の大きなメリットは掛け金が全額非課税(所得控除)となるという点です。一方で主婦の場合、所得控除される所得がないので、拠出金の非課税メリットはありません。一方で401kの場合、将来年金として受け取る場合には受け取った年金は収入の扱いになります。

通常のサラリーマンなどの場合「拠出時の非課税による税効果>年金受取時の税負担」となるので税効果があるといえるのですが、主婦の場合は非課税メリットがないまま、将来は課税収入として扱われる可能性があるので、税金の二重負担となる恐れがあります。

ただし、現実問題として、401kの受け取り時には一時金なら退職所得となり、控除も大きいです。
主婦の場合は会社から多額の退職金が出るケースも少ないでしょうから、課税されることを現時点で心配する必要はないでしょう。

ただし、将来の確定拠出年金(iDeCo)の退職所得としての扱いが変更されるリスクはあります。

 

所得控除の効果が出るほどパートやアルバイトで働くと社会保険がかかる

じゃあ、いっそのこと所得控除の効果がでるほどパートやアルバイトで働くと考えるかもしれません。

配偶者控除の問題は2018年以降は150万円までは使えるようになるので気にする必要はないですが、社会保険の問題は付いて回ります。

企業の場合は106万円以上、中小企業の場合でも130万円以上の年収があると社会保険上の扶養から外れてしまいます。
参考:主婦が働くときの103万円、130万円(106万円)の壁の存在
参考:2016年から社会保険の年収の壁が106万円の壁に変更される

 

ちなみに、個人型確定拠出年金の掛け金分が所得控除されるからその分、パートでたくさん稼いでも社会扶養から外れないと考えている方もいるかもしれませんが、社会保険は「収入」で扶養の判断をするので、いくら個人型確定拠出年金の掛け金を払ってもだめです。

。詳しくは「子供や配偶者のアルバイト。103万円以上なら扶養控除(配偶者控除)、扶養手当が利用できない」でも説明しています。

これらの扶養から外れると配偶者の所得控除が使えなくなったり、社会保険料の負担が生じるなどして401kによる税効果などよりもはるかに大きな税金や社会保険料負担が生じる可能性があります。

 

妻がiDeCo(イデコ)に加入するけど、掛け金は夫が支払い、夫の所得控除とすることができるか?

国民年金などの場合、「収入がない子供の国民年金保険料は親が払うことで所得税・住民税が安くなる」であげたように世帯主の所得控除とできる制度があるのですが、iDeCo(イデコ)の場合は認められていないようです。

※年金は社会保険料控除ですが、個人型確定拠出年金(iDeCo)は小規模企業共済等掛金控除であるため。

 

401kで払った掛金で働きすぎても扶養に戻れるか?

コメントで質問をもらったので追記します。

たとえば、年間のパート収入が140万円になったけど、401kで掛け金を20万円以上払った場合は、その分、課税所得が減るので社会保険上の扶養に入れるのではないですか?という質問を受けましたが、これはダメです。

あくまでも額面収入が130万円(大企業なら106万円)を超えたら扶養から外れます

また、夫(配偶者)の所得税上の扶養についても同様です。

たとえば、配偶者控除を受けられるのは所得が60万円以下(2017年1月~)です。これは「額面収入-給与所得控除による所得が60万円以下」という意味であり、その金額が150万円というわけです。

そのあとの所得控除でいくら課税所得を減らしても扶養からは外れます。なお、確定拠出年金などの所得控除を差し引いたあとの所得は「課税所得」といいます。

この辺りについては「収入(年収・給与)と手取り、所得の違いを理解しよう」の記事でも説明しているのでご参照ください。

 

主婦ならiDeCo(イデコ)よりもNISA?

以上から考えると主婦の老後のための運用を考えるのであれば、全額所得控除というメリットを活かすことができない主婦にとってはメリットが薄いといえます。

唯一の運用上のメリットである「運用期間中の非課税」という点もNISA(小額投資非課税制度)という節税対策が利用できる現状を考えると、それだけで401kを利用するほどのメリットがあるとは思えません。

主婦の年金の在り方などが抜本的に見直される可能性はありますので、そうなったときには活用できるかもしれませんが、現時点で考えると主婦がわざわざ401k(個人型確定拠出年金・個人型DC)に加入するメリットはさほど大きくないと考えられます。

むしろ、掛け金の果実が将来的に年金として課税される可能性があるということを考えると、現時点では401kを利用するよりもNISA(少額投資非課税制度)を利用するほうが向いていると考えられます。

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2018年登場のつみたてNISAはより主婦向け?

ちなみに、NISAについては2018年1月より「つみたてNISA」という年間の掛金は40万円までだけど20年間運用益が非課税になる長期投資に向きのNISAが登場します。

運用期間(非課税期間)も一般NISA(5年)よりもはるかに長いため、iDeCoと同じように老後のお金を貯めるのにかなり適しています。

iDeCo(個人型確定拠出年金)をやるくらいなら私は、こちらのつみたてNISAで運用するほうが主婦の方にとってはメリットが大きいと思います。

[bloglink url=”https://money-lifehack.com/tax/7237″]

 

実際には主婦のiDeCo加入者はそれなりにいる模様

上のグラフは企業年金連合会の調査によるiDeCo加入者とその分類です。平成29年(2017年)に基準が緩和されたことによって、第3号被保険者の加入者も増加しています。

 

以上、主婦がiDeCo(イデコ)に加入するメリット、デメリットについての考察でした。