ネット証券各社においてプチ株、S株、ワン株といった名称の「単元未満株取引」という取引が利用可能になっています。これは名前の通り単元株数未満の株を売買できるサービスです。少額から株式投資が可能な売買サービスですが、今回はこれらのメリット、デメリットをまとめていきます。
また、類似サービスであるミニ株(株式ミニ投資)やるいとう(株式累積投資)との違いも合わせてまとめていきます。
単元株、単元未満株とは何か?
まず、国内で売買される株式には「単元株数」というものが決まっています。たとえば、任天堂の株なら100株が単元株となっており、この株式を売買するときは100株単位でしか買えません。たとえば株価が1株30000円だとするとその100倍の300万円が最低取引金額となるわけです。
このように、単元株での売買となると銘柄によっては投資のために多額の資金が必要になってしまいます。プチ株、S株、ワン株といった単元未満株取引は、単元株数が100株の任天堂株を1株単位で売買することができるというサービスです。
ちなみに、単元株数は会社によって異なります。過去はバラバラで1000株、100株、10株、1株といったように会社によって単元株はバラバラでした。直近では東証が100株を単元株とするという方針を出しており、多くの会社が1単元=100株としています。
単元未満株のしくみ
単元未満株というのは、たとえば100株を1単元とする会社における100株未満の株のことです。端株と呼ぶこともあります。通常は発生しないわけですが、この単元未満株(端株)が発生することがあります。
代表的なケースは企業合併でしょうか。
A社とB社が合併することになった場合、既存株主は合併後の会社の株をもらうことがになりますが、その時の株数が単元株になるとは限りません。
100株を保有しており、合併後の会社の株との交換比率が1:1.05といった場合、105株の保有となります。1単元が100株とすると5株分の単元未満株(端株)を保有するということになってしまいます。
通常は単元未満株は売買できない
基本的に証券会社を通じて行う株式の売買は単元株単位(株式の場合は100株単位)となります。100株に満たない単元未満株というのは市場で売買することはできません。ただし、それでは株主が困るため、こうした100株未満の株式(単元未満株)や1株未満の端株については、預けている証券会社を通じてその会社の株式の取扱事務をしている信託銀行へ「買取請求」を行うことにより現金化することができます。
一部のネット証券では単元未満株をベースに売買できる
ただし、一部のネット証券では、「プチ株、S株、ワン株、ひとかぶ、ひな株」などの名称で単元未満株の売買を行うサービスを提供しています。通常は取引できませんが、こうしたサービスを行っている証券会社なら売買可能です。特殊ではあるものの、最近はスマホを使った株取引も増えており、こうした単元未満株取引を中心としてサービスを展開するネット証券も登場しています。
本記事では、単元未満株取引についてはこうしたネット証券の単元未満株取引サービスについて紹介していきます。
単元未満株取引のメリット
長所は先ほどあげた通り、少ない株数(少額)で株投資ができるという点です。単元株数が多く株価水準が高い株は、最低投資単位が大きくなってしまいますので、単元未満株取引を活用することによって少額の投資が可能となります。数百円単位で投資ができるということになりますので、必要な資金も少額で済みます。
投資経験を積む、投資を勉強するという意味でも単元未満株取引はおすすめできます。
単元未満株取引のデメリット・問題点
単元未満株取引のデメリットや問題点は大きく「手数料問題」と「株主としての権利問題」の二つがあります。
単元未満株取引は手数料が高い(最近は無料化も)
最近のネット証券の株式売買の手数料率はおおよそ0.1%以下にまで下落しています。たとえば、単元未満株取引を提供している証券会社の通常の手数料と比較してみましょう。
単元未満株取引 | 通常株取引 | |
---|---|---|
マネックス証券 | 0.48% (買付時は無料) |
0.10% |
SBI証券 | 無料 | 無料 |
auカブコム証券 | 0.70% | 0.099% |
※通常株取引は100万円取引時の手数料を割合に換算したもの
手数料にすると2倍~10倍程度の手数料差になっています。0.5%程度の単元未満株取引手数料が高すぎるとは言えませんが、安いとは言えません。「資産運用は徹底的に手数料(コスト)を引き下げることを考えよう」でも書いたように手数料というのは投資効率を確実に引き下げる要因となりますので、できるだけ抑えたほうが良いです。
一方で、最近では単元未満株取引を比較的低コストで売買できるサービスも登場し始めており、必ずしも手数料が高すぎるという状況からは変わりつつあります。
単元未満株の株主には株主としての権利が制限される
単元未満株取引によって株を所有したとしても、株主としての権利が一部制限されます。なお、単元未満株取引でも累積投資等によって1単元以上の株を保有する場合は通常通りの株主の権利を有します。たとえば、100株が1単元の会社の株を、単元未満株取引で10株ずつ10回購入した場合は1単元となりますので、通常の株主と同様に扱われます。以下は100株が1単元の会社の株を99株以下しか保有していないケースです。
通常通りの権利があるもの
- 配当金の受け取り(持ち分に応じて受けと取れます)
- 会社が倒産したときの残余財産分配権
通常の株主と違い権利がないもの
- 株主総会への出席や決議に参加することができません。
- 株主優待が受け取れません(※)
※株主優待については多くの会社が1単元以上の株主に対して提供するとルールを定めていることが多く、単元未満株株主に対しては提供されないことが多いです。ただし、一部の企業では単元未満株であっても株主1名につき1つといった形で株主優待を提供してくれる会社もあるようです。こうした銘柄は「隠れ優待銘柄」と呼ばれています。
ネット証券の単元未満株取引(プチ株、S株、ワン株、ひとかぶ、ひな株)を徹底比較
2024年5月現在で単元未満株取引が可能なのは以下の証券会社です。最近はスマホでの株取引サービスが増えてきて取引可能な証券会社が増えましたね。
- SBI証券
- 楽天証券
- auカブコム証券
- マネックス証券
- 大和コネクト証券
この辺りは目的別に使い分けてもらえたらいいかなと思います。中でも「太字」にしている証券会社は単元未満株取引にかなり力を入れている証券会社となっていますので、単元未満株取引を中心に株取引をしたいという方はこれらの証券会社の中からチョイスするのがベストです。
大手ネット証券系のサービスは最低手数料に注意
既存の大手ネット証券「SBI証券」「楽天証券」「マネックス証券」「auカブコム証券」もそれぞれ単元未満株取引が可能です。
SBI証券とマネックス証券は買付時の手数料を無料化してくれているので、長期保有や少しずつ積み立てて行くという前提ならこの両者に強みがあります。
ただ、特段力を入れているわけではないです。手数料はほぼ横並びですが、「最低手数料」がいずれも設定されているため、1株単位のような小額での取引だとかなりのコスト高になってしまいます。積極的にはおすすめできない感じです。
証券会社 | 手数料やサービス特徴 | 最低コスト | 積立 | 自動引落 |
---|---|---|---|---|
SBI証券(S株) | 現在は手数料無料化 | 無料 | × | × |
マネックス証券(ワン株) | 買付時は手数料無料 手数料は0.55%となっています。 ※買付時の手数料が2021年7月より無料化。 |
52円 | × | × |
auカブコム証券(プチ株) | 手数料は0.5%で最低52円となっています。 プレミアム積立(プチ株)という毎月積立にも対応しており、積立回数が増えると手数料の割引(最大50%) |
52円 | 〇 | 〇 |
もっとも、口座開設はタダでできますし、今回紹介した証券会社はいずれもネット上で口座開設手続きができます。それぞれに口座を作っておいて、実際に使ってみるなどして自分に合った証券会社を探すという方法でもよろしいかと思います。
なお、全体的なネット証券選びについては以下の記事も参考にしていただければと思います。
他の少額株式投資サービスとの比較
なお、個別の株式に対する投資について小額投資が可能なサービスはいくつかあります。代表的なものが「株式ミニ投資(ミニ株)」と「株式累積投資(るいとう)」があります。
ミニ株(株式ミニ投資)との比較
プチ株、S株、ワン株(単元未満株取引)と似た取引方法として「株式ミニ投資(ミニ株)」というものもあります。こちらは、単元未満株とは異なり、「単元株数の1/10単位での売買」「株主としては登録されない」「取引できるのは証券会社が選定した銘柄のみ」と比較的規制が大きいです。
個人的にはミニ株をするくらいなら、プチ株、S株、ワン株といった単元未満株取引の方がメリットが大きいと考えています。ミニ株について詳しく知りたい方は「株式ミニ投資(ミニ株)とは?」もご覧ください。
単元未満株取引と株式ミニ投資(ミニ株)、それと通常の株取引とを比較するとこんな感じになります。自由度としてはミニ株よりも単元未満株取引のほうがよさそうな感じになっていますね。
通常取引 | 単元未満株取引 | 株式ミニ投資(ミニ株) | |
---|---|---|---|
取引単位 | 単元株単位 | 1株単位 | 単元株の1/10 |
取引タイミング | ザラバ中(いつでもOK) | 1日2回程度(前場・後場の寄付き価格) | 翌日の寄付価格で約定 |
配当金 | 会社から受け取る | 会社から受け取る | 証券会社経由で受け取る |
るいとう(株式累積投資)との比較
るいとう(株式累積投資)は、毎月一定額(1万円以上)を積み立て投資することができるサービスです。
こちらの特徴は「株数単位ではなく金額単位」であるということです。トヨタの株を毎月1万円ずつ買っていくといった投資ができるわけです。
こうした金額単位での投資は「定額投資法(ドルコスト平均法)」と呼ばれ長期投資における平均取得価格の引き下げ効果がある有用な投資法です。
長期投資に向く投資法といえるのですが、デメリットが大きいです。
- サービスの提供は大手総合証券のみで手数料が高い(1%以上)
- 投資対象の銘柄数が限られる
特に手数料高いというのが残念です。このあたりをネット証券が低コストで始めてくれたらかなり有用な投資といえそうなんですけどね……。
金額単位の定額投資サービス(キンカブ)
SMBC日興証券が提供している「キンカブ」も特徴的です。こちらは前述の「るいとう」のような仕組みを積立投資ではなくスポット投資(都度取引)でできるようになっています。100円単位で投資をすることができるようになっているので、今回紹介した単元未満株取引と同じように小額投資ができます。1株当たりの単価が高い値がさ株でも100株単位で取引できるのがわかりやすいですね。
少しずつ株を買い足していくという面では、単元未満株取引よりもキンカブの方が私はよいと思います。注意点としては100株未満だと株主として名義登録されないという点ですかね。
株の勉強には単元未満株取引は最適な取引ツール
少し、単元未満株取引(プチ株、S株、ワン株)からも脱線しましたが、単元未満株取引は、最初の株の勉強という意味でお勧めできる取引です。
株式投資に限ったことではありませんが、投資は実際にやってみてわかることがたくさんあります。株価の仕組みや注文の出し方や板の読み方といったように株の基本は、教科書やテキストで読むよりも、実際に売買してみるという実践をするほうがはるかにわかりやすいです(つまり、そんなに難しくないってこと)。
普通の株の売買だと金額も大きくなりますが、1株からの売買なら数百円程度です。
損をしたとしても数十円といった単位にしかならないので、勉強に最適です。上手く活用していきましょう。
以上、プチ株、S株、ワン株(単元未満株取引)のメリット・デメリットの紹介記事でした。
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