教育資金贈与、住宅取得資金の贈与など、世代間の資産移転に対する制度が利用されています。一方で、2024年の税制改正や一部制度の終了など、贈与を取り巻くルールは近年大きく変化しています。

高齢者に偏在する資産を若い世代に円滑に移転させることで経済の活性化を図るというのが制度の目的ですが、近年問題になり始めているのが「あげ過ぎ貧乏」というもの。

高齢者が子どもや孫にお金をあげ過ぎて老後破綻するという洒落にならないような事例も多数でているようです。そんなあげ過ぎ貧乏にならないためのポイントや、2026年現在の最新の贈与ルールについて紹介します。

あげ過ぎ貧乏とは何か?

冒頭にも書きましたが、教育資金の贈与に対する非課税制度など、当ブログでも税制面で有利になる資産移転に関する制度を紹介してきました。

まずは2026年現在で利用できる、または過去にあった主要な制度をおさらいしましょう。

制度名 制度内容と現在の状況
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置 祖父母等が孫・子1人あたり1500万円まで教育資金として金融機関に信託等する場合、贈与税が非課税となります。
※2026年3月31日まで延長されています。
結婚・子育て資金の一括贈与
(終了済み)
受贈者1名あたり1000万円までが一括贈与の対象となる制度でしたが、2025年3月31日をもって新規の贈与受付は終了しました。
ジュニアNISA
(終了済み)
親や祖父母などが拠出して子ども名義で非課税運用する制度でしたが、2023年12月31日をもって新規投資は終了しています。

こうした非課税制度が整っていたことで、子供や孫などから「お金が余っているなら(非課税枠を使って)贈与してほしい」と言われ、ついつい多額の贈与をしてしまい、自身の老後の為の蓄えが不足してしまう。

こんな状況の事を「あげ過ぎ貧乏」と呼びます。ついには家庭の蓄えが底をつき、老後破綻へつながるという負の側面もでてきています。

たとえば「老後資金に必要なお金とそれを貯めるための方法」などでも、一般的に2000~3000万円くらいが老後資金としてあれば安心というように紹介しています。

このような「3000万円」といった水準が独り歩きすることで、自分の生活水準などを考えずに「4000万円の預貯金があるから1000万円は生前贈与してもOK」と考えてしまうケースもあるようです。

2000~3000万円というのはあくまで「一般的」なケースであり、月々の消費額が多い家計ならもっと必要になります。特に、沢山の蓄えを老後になって残せている家計は現役世代の収入も大きかったはずで、その水準に応じた消費(生活レベル)をしている可能性が高いです。

そうした家計が「3000万円残れば大丈夫」と考えて安易に生前贈与するのは危険といえるでしょう。

退職後(老後)の資金見積もりを正確に行おう

退職金などのお金がある程度手に入って、預貯金にも余裕がある家計で「あげ過ぎ貧乏」となる事例が多数報告されています。

以下のようなリスクや将来の資金需要をしっかりと考え、それを理解したうえで子どもや孫に資金援助(贈与)するようにしましょう。

  • 長寿リスクを甘く見てはいけない
  • なんだかんだで退職後もお金は使う
  • 老後には思いがけない大きな出費がある(医療・介護など)

長寿リスク・長生きリスク

日本人の寿命は伸び続けています。長生きリスクをカバーしてくれるのは「貯金」と「公的年金(終身年金)」、「終身タイプの企業年金や私的年金(保険会社の年金)」です。

公的年金(国民年金や厚生年金)は死亡するまで一生涯貰える老後のベースとなる収入です。大企業で働き、公的年金(厚生年金)に加えて企業の確定給付年金も十分にあるという方は、余裕度の高い老後設計が可能です。

一方で厚生年金のみという方は相対的に少なくなりますし、国民年金のみだった方(自営業など)はさらに少なくなります。この公的年金のベースが大きい人は長寿リスクに対して備えができているといえます。

逆に、こうした終身年金が少ない人はあくまでも「今ある預金」が頼みの綱となります。貯金は使い切っていけばいずれなくなります。80歳まで生きる前提でのライフプランが90歳、100歳と延びた場合、それだけで数千万円単位の大きな違いになります。余裕を持たせた貯金残高を確保しておくべきです。

なんだかんだで退職後もお金は使う

退職したらつつましい生活をおくる、というイメージを持っている方も少なくないかもしれませんが、現実は高齢者の支出は現役世代と比べて極端に下がるわけではありません。

むしろ、時間が自由になったことで趣味や旅行、交際費などでお金を使う機会が増えることもあります(アクティブシニア)。自分が使いたいと思ったときに十分なお金が無いというのもつらいものです。

老後の大きな出費(住宅・医療・介護)

日々の生活費以外にも、老後の大型の支出も考えておく必要があります。

住宅費用

持ち家の場合は、住宅の補修や高齢化に伴うバリアフリー化工事などでまとまったお金が必要になる場合があります。賃貸の場合、高齢になればなるほど新規で家を借りるのは難しくなり、最終的に有料老人ホーム等に入居する場合、数百万〜数千万円の入居一時金が必要になることもあります。

医療費

老後(定年後)に必要となる医療費は自己負担割合(1割〜3割)を考慮しても決して少なくありません。生命保険文化センターの「2022年度 生活保障に関する調査」によると、入院1日あたりの自己負担額は平均で22,200円に上ります。平均的な入院日数を考慮すると、一度の入院で数十万円前後の費用がかかる可能性があります。

介護費用

厚生労働省の資料(2023年時点)によると、日本人の平均寿命と健康寿命(介護を必要としない期間)の差は以下のようになっています。

平均寿命(2023年) 健康寿命(直近値)
男性 84.0歳 72.7歳
女性 89.3歳 75.4歳

この「寿命と健康寿命の差(男性で約11年、女性で約14年)」が、何らかの介護や支援を必要とする期間の目安です。介護が必要になった時にお金が無くて困らないよう、金銭的な手当は確保しておく必要があります。

2026年版:生前贈与はどうするべきか?最新の税制改正

自分の老後資金をしっかり確保した上で、子や孫へ資産を移転したい場合、2024年の税制改正による大きなルール変更を理解しておく必要があります。

知っておくべき2026年時点の贈与ルール
1. 相続時精算課税制度の使い勝手向上(年110万円の基礎控除新設)
2. 暦年贈与の「持ち戻し期間」の延長(3年から最長7年へ)
3. 必要な都度支払う「直接贈与」の活用

1)暦年贈与か、相続時精算課税か?

年間110万円までの贈与が非課税になる「暦年贈与」は定番ですが、2024年から「相続時精算課税制度」にも年間110万円の基礎控除が新設されました。

これにより、相続時精算課税(累計2,500万円まで課税を繰り延べできる制度)を選択しても、年110万円以下の贈与であれば申告不要で税金もかからなくなり、使い勝手が大幅に向上しています。

2)暦年贈与の「7年持ち戻しルール」に注意

暦年贈与(年110万円の非課税枠)を利用する場合、最も注意すべきなのが「生前贈与の持ち戻し期間の延長」です。

これまでは、贈与者が亡くなる前「3年以内」に行われた暦年贈与のみが相続財産に加算(持ち戻し)されていましたが、2024年の法改正により、この期間が最長7年へと段階的に延長されています。

相続開始の年 持ち戻しの対象期間
2024年〜2026年 亡くなる前3年分(従来通り)
2027年以降〜 徐々に延長(2024年1月1日以降の贈与分が加算対象に)
2031年以降 完全に「亡くなる前7年分」が加算対象

つまり、2026年現在に行う暦年贈与は、将来的に長期間の持ち戻し対象となる可能性が高いため、「少しでも早く、健康なうちから計画的に贈与を始めること」がより重要になっています。

3)学費などの「都度払い(直接贈与)」は非課税

廃止された一括贈与の特例に頼らなくても、子や孫の入学金、授業料、結婚費用などを、「必要な都度、直接支払う」分には原則として贈与税はかかりません(生活費・教育費の非課税規定)。一括で多額の現金を渡すのではなく、必要なタイミングで必要な分だけ援助するというのも、「あげ過ぎ貧乏」を防ぐ賢い方法です。

まとめ:老後資金の確保を最優先に

贈与をするときは下記の点を考えておくべきです。

  • 自分たちの将来の生活費や医療・介護費を高めに見積もって確保しておく
  • 最新の税制(持ち戻し7年ルールや相続時精算課税)を理解し、計画的に行う
  • 一度に多額を渡すのではなく、コントロールできる範囲で少額の暦年贈与や都度払いを利用する

「孫のために」という気持ちは素晴らしいですが、まずはご自身の老後資金が枯渇しないことを最優先に、無理のない範囲で資産移転を検討してください。

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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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