給付型奨学金の条件・金額|2026年の多子世帯無償化と支援区分

2026年8月13日時点の給付型奨学金は、返済不要の奨学金と、大学等の授業料・入学金減免を組み合わせた「高等教育の修学支援新制度」です。
住民税非課税世帯だけの制度ではなく、世帯の税情報に応じた第1〜第4区分、多子世帯の授業料無償化、私立理工農系への支援があります。
一方、「年収600万円以下なら第4区分」「学生のアルバイトが160万円以下なら大丈夫」といった一律の線引きでは判定できません。
この記事では、給付額、授業料減免、所得・資産・学業要件、申請から在学中の見直しまでを整理します。
給付型奨学金の要点
- 給付奨学金と授業料・入学金減免は、原則として一つの申込みで審査される。
- 所得は単純な世帯年収ではなく、本人と生計維持者の住民税情報から計算する。
- 給付奨学金の資産基準は本人・生計維持者の合計5,000万円未満。
- 多子世帯の授業料減免は所得制限なしだが、扶養する子の数と3億円未満の資産基準がある。
- 採用後も毎年区分を見直し、学業基準を満たさなければ警告・停止・廃止になる。
給付型奨学金と授業料減免はセット
高等教育の修学支援新制度には、学生の口座へ毎月振り込まれる「給付奨学金」と、学校へ支払う授業料・入学金を減らす「授業料等減免」があります。
同じ支援区分でも、給付奨学金と授業料減免の金額は別に決まります。
| 支援 | 受け取り方 | 主な使い道 |
|---|---|---|
| 給付奨学金 | 原則として毎月、学生本人の口座へ振込 | 家賃、食費、教材、通学費など |
| 授業料減免 | 学校が授業料・入学金を減免または還付 | 大学等へ納める学費 |
給付月額が0円でも支援が続く場合がある
多子世帯や私立理工農系の第4区分では、給付奨学金が0円でも、授業料等減免だけ受けられる場合があります。
スカラネットの給付月額だけでなく、学校から届く授業料減免の結果も確認してください。
支援区分は住民税情報で判定する
通常の給付奨学金は、第1区分が満額、第2区分が3分の2、第3区分が3分の1、第4区分が4分の1相当です。
ただし、第4区分はすべての中間所得世帯へ一律に給付する区分ではありません。多子世帯や私立理工農系などの対象要件があります。
| 区分 | 支給額算定基準額 | 通常の支援割合 |
|---|---|---|
| 第1区分 | 100円未満 | 満額 |
| 第2区分 | 100円以上25,600円未満 | 3分の2 |
| 第3区分 | 25,600円以上51,300円未満 | 3分の1 |
| 第4区分 | 51,300円以上154,500円未満 | 対象により4分の1相当または授業料減免のみ |
支給額算定基準額は、本人と生計維持者について、課税標準額に一定率を掛け、調整控除額等を差し引いて計算します。
給与収入が同じでも、ひとり親、扶養する家族の数、所得の種類、本人の所得などで結果は変わります。年収目安は事前の概算に使い、最終判断には課税証明書や進学資金シミュレーターを使ってください。
給付奨学金はいくらもらえるか
毎月の給付額は、国公立・私立、大学・短大・専門学校等、自宅通学・自宅外通学で変わります。
通常課程の大学・短期大学・専修学校専門課程の代表例は次のとおりです。
| 学校・通学形態 | 第1区分 | 第2区分 | 第3区分 | 第4区分(多子) |
|---|---|---|---|---|
| 国公立・自宅 | 29,200円 | 19,500円 | 9,800円 | 7,300円 |
| 国公立・自宅外 | 66,700円 | 44,500円 | 22,300円 | 16,700円 |
| 私立・自宅 | 38,300円 | 25,600円 | 12,800円 | 9,600円 |
| 私立・自宅外 | 75,800円 | 50,600円 | 25,300円 | 19,000円 |
生活保護を受けている生計維持者と同居する人、児童養護施設等から通学する人、通信教育課程などは別の金額です。
自宅外月額を受けるには、単に実家を出ているだけでなく、通学距離・時間などJASSOの要件を満たし、賃貸借契約書等の証明書類を提出する必要があります。
第1区分から第2区分へ下がると、月25,200円、12か月で302,400円減ります。
区分変更の通知を見たら、家賃や生活費の不足を年額へ直し、第一種奨学金、学校の減免、アルバイトでどこまで埋めるかを先に決めます。
授業料・入学金の減免上限
第1区分の減免上限は学校種別で決まり、第2区分は3分の2、第3区分は3分の1、第4区分は対象に応じた割合になります。
| 学校 | 入学金の上限 | 授業料の年額上限 |
|---|---|---|
| 国立大学 | 282,000円 | 535,800円 |
| 公立大学 | 約390,000円 | 約536,000円 |
| 私立大学 | 260,000円 | 700,000円 |
公立大学は、地域内・地域外で入学金が異なる場合があります。学校の実際の授業料が上限より低いときは、実際の金額までが減免対象です。
入学金減免を受けるには、入学後おおむね3か月以内など学校が定める期限までの申請が必要です。予約採用候補者でも、入学後の手続きを忘れれば自動適用されません。
多子世帯の大学無償化
2025年度から、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯は、所得制限なしで授業料・入学金減免の対象になりました。
「子どもを3人産んだ世帯」ではなく、判定時点の税情報等で3人以上を同時に扶養している世帯が基本です。
税情報と必要書類で確認
本人と生計維持者の合計
対象校へ在学・申込み
所得にかかわらず上限まで
上の子が就職して税扶養から外れるなど、扶養する子が2人になると、次の見直しで多子世帯支援の対象外になる場合があります。
また、所得制限がないのは授業料等減免です。毎月の給付奨学金は、住民税情報に応じて0円になることがあります。
所得基準以外の3つの条件
1. 資産基準
給付奨学金は、学生本人と生計維持者の資産合計が5,000万円未満であることが必要です。
現金、預貯金、有価証券、投資信託、国債などが対象で、土地・建物などの不動産は通常の申告対象資産に含まれません。住宅ローンなどの負債と相殺はできません。
多子世帯の授業料減免だけを判定する場合は、3億円未満という別の資産基準があります。
2. 学業・学修意欲の基準
予約採用では、高校の評定平均3.5以上、または学修意欲を面談・レポート等で確認できることが代表的な基準です。
進学後の在学採用は、GPA、修得単位数、学修意欲など、在学年数に応じた基準で判定します。
採用後も、卒業延期が確定した場合、修得単位が著しく少ない場合、出席率が低い場合などは、警告、支援停止、廃止の対象になります。
3. 国籍・在留資格と進学時期
日本国籍のほか、永住者、日本人の配偶者等、一定の在留資格を持つ人が対象です。
高校等を初めて卒業した年度の翌年度末から、大学等へ入学するまでの期間にも要件があります。社会人経験後の進学などは、申込前に学校窓口で対象を確認してください。
申し込みから受給までの流れ
- 高校から申込案内と識別番号を受け取る。
- スカラネットで本人・生計維持者・希望奨学金を入力する。
- マイナンバー等を提出する。
- 採用候補者決定通知を受け取る。
- 進学後、学校へ決定通知を提出し、進学届を入力する。
- 授業料減免の学内手続きを期限までに行う。
予約採用に間に合わなかった場合や、入学後に家計が変わった場合は、大学等を通じた在学採用があります。
生計維持者の死亡、非自発的失業、長期療養、災害などで家計が急変した場合は、通常募集とは別に家計急変採用を申請できることがあります。
採用後も毎年支援区分を見直す
給付型奨学金は、一度採用されれば卒業まで同じ金額が続く制度ではありません。
毎年、住民税情報、資産、扶養状況などを使って支援区分を見直します。所得が増えれば区分が下がる一方、所得が減れば上がる場合もあります。
2026年度の区分見直しは、2026年9月4日以降に順次確認でき、10月から新しい区分が適用されます。
確認画面、区分が下がる理由、第一種奨学金への影響は、給付奨学金の支援区分見直しと10月支給の確認方法で詳しく解説しています。
今年の収入減がすぐ反映されるとは限らない
通常の年次判定は前年所得に基づく住民税情報を使います。2026年に収入が急減しても、2026年10月の通常判定へ自動反映されるわけではありません。
JASSOが定める家計急変事由に該当する場合は、学校を通じて別手続きを確認します。
学生アルバイトの「壁」と奨学金は分けて考える
税制や社会保険の扶養基準と、JASSOの家計基準は同じ制度ではありません。
「2026年10月から19〜22歳の学生は年収160万円まで扶養」という一律のルールはありません。税制上の特定扶養親族・特定親族特別控除、健康保険の被扶養者、JASSOの支援区分には、それぞれ異なる年齢・所得・適用時期があります。
アルバイトを増やすときは、次の三つを別々に確認します。
| 制度 | 確認すること |
|---|---|
| 親の所得税・住民税 | 学生の年齢、給与収入、特定親族特別控除の段階 |
| 親の健康保険 | 被扶養者の年間収入見込みと加入健保の確認方法 |
| 給付奨学金 | 本人・生計維持者の住民税情報と多子世帯の扶養判定 |
一つの「壁」だけを見て労働時間を決めると、別制度の負担増を見落とします。給与明細の累計と年末までの見込額を作り、親の勤務先と学校窓口へ早めに確認してください。
貸与型奨学金との併用
給付奨学金だけで生活費が足りない場合、無利子の第一種や有利子の第二種と併用できます。
ただし、給付奨学金と第一種を併用すると、第一種の貸与月額が減額または0円になる「併給調整」があります。
区分が変わると第一種の月額も変わることがあるため、給付と貸与を一つの入金額として見ないでください。
利息、保証料、返還総額を含む違いは、第一種・第二種奨学金の選び方と返還方法で整理しています。
よくある質問
Q. 世帯年収600万円以下なら第4区分ですか?
A. 一律ではありません。第4区分は住民税情報から計算する支給額算定基準額に加え、多子世帯や私立理工農系などの対象要件があります。年収目安だけで判定しないでください。
Q. 多子世帯なら給付奨学金も満額ですか?
A. いいえ。所得制限なしとなるのは授業料等減免です。毎月の給付奨学金は所得区分により減額または0円になることがあります。
Q. 自宅外通学なら自動で自宅外月額になりますか?
A. なりません。通学距離・時間等の要件と、賃貸借契約書などの証明が必要です。審査中は自宅月額で支給され、認定後に差額が支給される場合があります。
Q. 給付奨学金は返済が必要ですか?
A. 原則不要です。ただし、虚偽申告、不正受給、学業成績による遡及取消しなどでは返還を求められる場合があります。
Q. 民間の奨学金と併用できますか?
A. 併用できる制度は多くありますが、民間財団や学校側が併給を制限する場合があります。それぞれの募集要項を確認してください。
申請前と採用後のチェックリスト
- 給付奨学金と授業料減免の両方を申請したか
- 生計維持者、マイナンバー、資産額に入力漏れがないか
- 自宅外通学の証明書類を提出したか
- 多子世帯の扶養人数と追加書類を確認したか
- 入学後の進学届と学校独自の減免手続きを終えたか
- 毎年9月の区分見直しと10月以降の入金額を確認したか
- 給付減額時に第一種の月額も確認したか
参考リンク
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