公的な支援や給付などの際に基準として利用されることが多い「住民税非課税世帯」という言葉があります。
要するに住民税が課税されないほど収入(所得)が少ない家庭(世帯)という意味になります。住民税非課税世帯に対しては様々な補助や助成、健康保険料の減免などがあります。今回はそんな住民税非課税世帯になる為の年収や収入の基準や計算方法などについてわかりやすくまとめていきます。
そもそも住民税とは?
住民税とは地方税の一つで、年間の収入(所得)に応じてかかる税金の一つです。
収入(所得)に対する税金は国の所得税と自治体(都道府県+市区町村)の住民税の二種類があります。
住民税は1月1日時点で住所がある都道府県と市区町村に対して納付する税金です。
住民税の均等割と所得割
住民税はその中でも「均等割(きんとうわり)」と「所得割(しょとくわり)」の二つで構成されています。名前からそれぞれの内容に想像がつくと思いますが、詳しく説明すると以下のとおりとなります。
均等割
住民税の課税対象者が一律で納税する必要がある税額です。2014年~2023年までの標準税率が市町村税が3500円、都道府県税が1500円となっています(年額)。ほとんどの自治体はこの税額となっていますが、環境保全等を目的に税額を追加している自治体もあります。
この均等割は後述する非課税条件を満たさない限りは一律に収める必要があります。
所得割
納税義務者の所得に応じて発生する住民税です。税率は所得に対して10%(市町村6%+都道府県4%)です。
割合になっているため、所得が多い人ほど納税する金額が変わってきます。なお、所得については下記の記事で詳しく説明しています。
住民税非課税世帯とは?
さて、表題の「 住民税非課税世帯とは?」という点は、その世帯全員が住民税非課税となっている状況を指します。たとえば夫婦と子供2人の世帯であれば、4人全員が住民税が非課税となっていれば対象となるわけです。
逆に妻がパートに出て住民税非課税の基準をわずかでも超えてしまえば世帯は住民税非課税世帯ではなくなります。
個人の住民税が非課税となる条件
上記で紹介した住民税に対しては以下の条件を満たしている人は「非課税」となります。非課税となった場合は所得割はもちろん、均等割も非課税となります。
- 生活保護を受給している人
- 未成年者、障がい者、寡婦(夫)で前年合計所得金額が125万円以下の人(給与所得者の場合は204万4000円未満)
- 前年合計所得が各自治体の定める金額以下の人
(3)については東京23区内の場合は扶養なしなら35万円。扶養ありの場合は35万円×(本人・扶養者・控除対象配偶者の合計数)+21万円となります。
少しわかりにくいですよね。所得というのは収入から必要経費を差し引いた金額となります。
たとえば、給与所得者(サラリーマンやアルバイト、パート)の場合は額面給料から給与所得控除という課税上の必要経費を引いた金額が所得です。
この計算に必要となるのは給与明細と下記の表です。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 | |
---|---|---|
1,800,000円以下 | 収入金額×40% 650,000円に満たない場合には650,000円 |
|
1,800,000円超 | 3,600,000円以下 | 収入金額×30%+180,000円 |
3,600,000円超 | 6,600,000円以下 | 収入金額×20%+540,000円 |
6,600,000円超 | 10,000,000円以下 | 収入金額×10%+1,200,000円 |
世帯主と扶養家族の住民税非課税となるための給与額の目安
カテゴリ | 非課税世帯の所得 | 給与収入の額面額(目安) |
---|---|---|
単身・扶養家族 | 35万円 | 100万円(月8.33万円) |
夫婦 | 91万円 | 155万円 |
夫婦子一人 | 126万円 | 205万円 |
夫婦子二人 | 161万円 | 255万円 |
夫婦子三人 | 196万円 | 305万円 |
たとえば、扶養なしの単身者や扶養されている家族の場合は所得が35万円以下なら住民税は非課税です。給与所得者の場合は年収100万円が基準です。月収換算にすれば8.33万円程度ということになります。
続いて、家族を扶養する世帯主の場合、夫婦なら91万円(サラリーマンなら額面155万円程度まで)といったように非課税となる目安金額は高くなります。
非課税世帯という場合、家族全員がこの基準以下なら住民税非課税世帯となります。
例えば、夫婦子二人の家庭で夫がメインに働き、妻がその扶養範囲内で働いている場合の基準は以下のようになります。
夫が給与額面255万円(所得161万円)以下であり、かつ妻のパート収入が額面100万円(所得35万円)以下であれば、その世帯は住民税非課税世帯となるわけです。
所得割がゼロでも均等割が課税されたら非課税世帯ではない
この住民税非課税についてよくある質問として、扶養控除(配偶者控除)や生命保険料控除や医療費控除などで結果的に所得割はゼロになったけど、均等割が課税されているというケースがあります。
たとえば給料が120万円を受け取っているという場合、所得額は55万円となります。
住民税においては基礎控除が33万円が付くほか、生命保険料控除や医療費控除などの控除が利用できます。これらの控除によって最終的な課税所得が0円以下になった場合、税率の10%を掛けても税額はもちろんゼロになります。
そのため、所得割はゼロです。ただし、前述の住民税非課税の条件である所得が35万円いかという条件はみたしていないので均等割は課税されます。
この場合は、いわゆる住民税非課税世帯とは扱われません。なお、住民税における「所得」の考え方については下記の記事でも詳しく紹介していますのでこちらもぜひご一読ください。
副業等で損失出た場合は住民税非課税になる場合もある
たとえば、単身者の方でサラリーマンをしながら、副業として事業を始めてその事業で損失が出たとしましょう。
仮に給料額面が300万円あったとします。この場合の給与所得(額面-給与所得控除)は192万円となります。
この場合、35万円の所得をはるかに超えているので住民税は課税されます。
ただし、この年に副業を始めて事業を始めたのですが大失敗をして160万円の損失が発生したとします。あるいは、マイホームを売却して160万円の売却損がでたというはなしでもかまいません。
これらの場合は、損益通算によって所得を合算することができます。192万円の所得に対して160万円の損益通算可能な損が出ていれば所得は差し引き後、32万円になります。こうしたケースでは住民税非課税となります。
非課税世帯であることを証明する方法
たとえば、保育所などに入所するときになどにに住民税非課税世帯であるということを証明する必要がある場合があります。
この場合、住民税が課税されていないということを証明する「住民税非課税証明書」を役所で発行してもらう必要があります。
ただし、自治体によっては非課税証明書の発行は行っていない場合があります。この場合は「住民税証明書」や「住民税所得証明書」などがそれと同じものにあたります。
取得の方法などについては下記の記事でもまとめています。ちなみに発行は自治体です。税務署でも発行してくれますが、こちらは「所得税」の課税証明書であり、「住民税」ではありませんのでご注意ください。
住民税非課税世帯となった場合どうなる?
住民税非課税世帯は、生活がかなり苦しいものであると判断されるため、様々な負担が軽減される措置が取られています。減免や補助、助成については自治体によって異なるものもありますが、下記のような減免措置を受けることができます。
- 国民健康保険料の減免
- 高額療養費の自己負担限度額の軽減(月35,400円まで)
- NHK受信料の免除(非課税世帯に障がい者がいる場合)
- 保育料の減免(自治体による)
- 健康診断や予防接種等の減免
- がん検診の料金減免
- 入院時の食事代等の自己負担額の減免
- 介護保険サービス料の減免
これら以外にも、たとえば、2014年の消費税増税時には住民税非課税世帯に対して1万円~1.5万円の臨時福祉給付金が支給されたケースもあります。
また、私立幼稚園に行かせている世帯に対する「幼稚園就園奨励補助金」は住民税非課税に対しては金額の増額が行われるなどの助成があります。
住民税非課税世帯における100万円の壁
このように住民税非課税世帯は言い方は悪いですが様々なメリットがあります。そのため、こうした住民税非課税世帯の人にとってはあえて非課税世帯から脱さないというインセンティブが働くわけです。
たとえば、住民税非課税世帯でパートに出ている妻の場合、年間のお給料100万円をちょっとでも超えてしまうと非課税世帯ではなくなってしまいます。そうなると上記のような税金や医療費、保育費などの減免措置が受けられなくなってしまい、逆に負担が増えてしまいます。
労働と税制に関してはいわゆる○○万円の壁というものがあり、収入の逆転現象がしばし起こりますが、住民税非課税世帯に関しては100万円の壁という壁があるわけです。
以上、住民税非課税世帯について、そうなる条件や年収や収入の計算方法、非課税世帯となったときの公的な補助や助成などについてまとめてみました。
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