個人住民税は地方自治体が個人に対して課税する税金です。個人の場合は毎年1月1日時点で居住している都道府県(県民税)と市区町村(市民税)に対して納付され、自治体運営の財源となっています。

さて、今回のテーマの所得割額(所得割)というのは前年の所得に応じて課税される税金です。この所得割額というものは、地方自治体ベースの補助金等の給付や所得制限などにも用いられることが多いです。

今回はその住民税の所得割(所得割額)のしくみについて、2026年の最新情報も交えながら詳しく説明していきます。

住民税の所得割額の計算方法

住民税(個人住民税)の税金は「均等割」と「所得割」という二つで構成されていますが、住民税の所得割額というのは所得に応じて支払う必要がある住民税の金額のことです。

まずは所得割額の計算方法を見ていきましょう。

(前年の所得金額 – 所得控除額) × 税率 – 税額控除 = 所得割額

次に、これらの項目についてひとつひとつ見ていきましょう。

前年の所得金額

所得(しょとく)というのは収入から必要経費を差し引いた金額となります。サラリーマンの場合は給与(額面収入)がありますが、ここから給与所得控除(サラリーマンの必要経費の概算額)を差し引くことができます。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額(2026年現在)
1,625,000円以下 650,000円
1,625,001円〜1,900,000円以下 650,000円
1,900,000円超〜3,600,000円以下 収入金額×30% + 80,000円
3,600,000円超〜6,600,000円以下 収入金額×20% + 440,000円
6,600,000円超〜8,500,000円以下 収入金額×10% + 1,100,000円
8,500,000円超 1,950,000円(上限)

たとえば、前年の年収(額面収入)が300万円という場合、300万円 × 30% + 8万円 = 98万円が給与所得控除額となります。そのため、前年所得額は300万円 - 98万円 = 202万円となります。
自営業の方などは「売上から必要経費を差し引いたもの」がこの所得となります。

2026年現在の最新税制改正の変更点まとめ

2025年の税制改正(令和7年度)により、2026年(令和8年度)の住民税から以下の変更が適用されました。

  • 給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げ(収入190万円以下は一律65万円に)。
  • 特定親族特別控除が新設(19歳〜22歳の大学生年代の子が年収123万円以下であれば扶養の範囲で控除適用)。

なお、住民税の基礎控除は43万円のまま変更ありません。

前年のというところが所得税と違う

ちなみに、この「前年」という部分が所得税と違うところです。所得税は当年の収入に対しての課税となりますが、住民税は前年の収入に対しての税金となります。

2026年1月~12月の1年分の住民税は翌年の2027年に納付することになります。サラリーマンの場合は2027年6月~翌年5月にかけて給料からの天引き(特別徴収)によって納付します。ですから、新卒1年目(前年に所得がない)場合は住民税はかかりません。その一方で会社を辞めた場合で無職になったとしても前年に所得があれば無収入でも住民税を支払う義務が生じます。

高収入の方が仕事を辞めると翌年の住民税の支払が大変!という話はよく耳にしますね。

所得控除額

所得控除とは、納税者個人の様々な状況に応じて差し引くことができる控除額です。

代表的なものとしては基礎控除、社会保険料控除(年金や健康保険料の支払い分)、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除、医療費控除などが挙げられます。

  • 基礎控除(43万円)
  • 社会保険料控除(払った全額)
  • 配偶者控除(33万円)
  • 配偶者特別控除(0-33万円)
  • 扶養控除(33-45万円)
  • 生命保険料控除(1.5万円-7万円)
  • 小規模企業共済等掛金控除(払った金額)
  • 医療費控除

サラリーマンの方の場合は年末調整で対応できるものが多いですが、医療費控除のように確定申告が必要なものもあります。ちなみに控除される金額は所得税の計算とは違います。住民税のほうが所得控除の額が小さいです。そのため、所得税は課税されない人でも、住民税は課税されるというケースがあります。

関連記事:年末調整の控除の種類と必要書類

税率

税率は原則として10%です。なお10%のうち4%が道府県民税・都民税、6%が市町村民税・特別区民税となります(政令指定都市等の場合は比率が異なる場合がありますが合計は10%です)。所得税(5~45%)と違って累進課税ではなく、一律のフラットな課税となっています。

税額控除

税額控除というのは、上記で計算された住民税額から直接差し引くことができる控除となります。代表的なものとしては住宅ローン減税額、寄付金控除(ふるさと納税)などが挙げれます。

関連記事:住宅ローン減税(住宅ローン控除)の仕組みや申告の方法、活用方法のまとめ

関連記事:ふるさと納税で特産品・特典をもらって得をする

所得割額の計算方法

それでは具体的に住民税の所得割額の計算方法について紹介していきます。計算自体は所得税の計算と基本的には同じになります。

年収300万円のサラリーマン。配偶者がパート(扶養範囲内)、社会保険料は年間で44万円というケースで計算例をみていきましょう。

年収300万円
▲給与所得控除:98万円
—————
所得:202万円
▲基礎控除:43万円
▲配偶者控除:33万円
▲社会保険料控除:44万円
—————
課税所得:82万円
—————
所得割額:82万円 × 10% = 8.2万円

ここから、ふるさと納税などの税額控除となる項目があれば差し引きます。

ちなみに、住民税には所得割だけでなく、「均等割」という住民税が課税されている人に対して一律でかかる税金があります。均等割の標準税率は市民税と県民税を合わせて4,000円です。

森林環境税(2024年〜)について
2024年度から、個人住民税の均等割に加えて「森林環境税(国税)」が年額1,000円追加徴収されるようになりました。この結果、2023年度まで東日本大震災復興特別税として臨時加算されていた1,000円が終了した代わりに、森林環境税1,000円が恒久的に徴収されます。2026年現在の均等割合計は引き続き、住民税4,000円 + 森林環境税1,000円 = 年額5,000円となります(標準税率の自治体の場合)。

個人住民税の均等割、所得割とは何か?それぞれの違いと住民税の仕組み、節税するコツ住民税という税金は、お住いの自治体に対して支払う税金です。会社で働いている方なら、特別徴収といってお給料から毎月天引きされているかと思い...

所得割額の通知書類をみたら金額はわかる

サラリーマンの場合は毎年5月~6月ごろに勤務先から「市民税・県民税 特別徴収税額決定通知書」というものがわたされるはずです。

これに住民税の所得割額などが記載されていますのでかならず保管してなくさないようにしましょう。年始に受け取った「源泉徴収票」が所得税に関する計算書類であり、「住民税額通知書」は住民税に関する計算書類となります。

関連記事:知っておきたい源泉徴収票の見方、読み方、使い道

自営業やフリーランスの方などで自分で確定申告をしている人は同様の通知書が、市区町村から郵送で交付されます。
その書類に市と県で別々に「市民税所得割額」「県民税(道府県民税)所得割額」が記載されています。
住民税所得割額という場合は上記の「市民税所得割額」「県民税所得割額」の合計になります。

住民税所得割が関わる給付金・補助制度(2026年版)

所得割額は地方自治体が給付する様々な補助金とも関連があります。住民税の所得割額は、「所得制限の判定ツール」として国・自治体の様々な制度に幅広く使われています。制度によって「所得割額の数値そのもの」を基準とするケースと、「所得割が非課税かどうか」を基準とするケースに大きく分かれます。

2026年現在、住民税所得割が関わる主要な給付金・補助制度をまとめます。

① 保育料(0〜2歳の認可保育所・認定こども園)

3〜5歳は所得に関わらず保育料が無償ですが、0〜2歳は住民税の課税状況で大きく扱いが変わります。

  • 住民税非課税世帯:0〜2歳も無償化の対象(無償上限:月額4万2,000円)
  • 課税世帯:所得割課税額に応じた階層区分で保育料が決まる

保育料の具体的な金額は自治体ごとに市区町村民税所得割額の具体的な数値で細かく区分されます。たとえば大分市の場合、第3子以降の無償化条件として「市区町村民税所得割額が57,700円未満」という基準が設けられています。福岡市では第1子の保育料が最大月額83,200円で、所得割課税額による11段階の階層区分が適用されます。

② 高等学校等就学支援金(高校授業料支援)

2026年度(令和8年度)から所得制限が完全撤廃されました。従来は住民税の所得割額を用いて「課税標準額×6%-調整控除=154,500円未満(年収590万円目安)」かどうかで加算支給の有無が判定されていましたが、2026年度より全世帯に一律で以下が適用されます。

区分 2026年度 支給上限
公立高校(全日制) 年額11万8,800円(全世帯・変更なし)
私立高校(全日制) 年額45万7,200円(全世帯・所得制限撤廃)
通信制高校(私立) 単位数に応じて支給(全世帯対象)

2025年度まであった「年収910万円以上は加算なし」という所得制限が解消され、私立高校の支給上限も大幅に引き上げられました。

③ 小・中学校の就学援助制度

公立小中学校に通う子どもがいる世帯に対し、給食費・学用品費・修学旅行費などを補助する制度です。「要保護」「準要保護」に分かれており、準要保護の認定基準に住民税所得割額が直接使われます。

  • 所得割が非課税 → ほぼ全自治体で対象
  • 「所得割額が一定額以下」という基準を独自設定している自治体も多い
  • 補助内容:給食費全額・修学旅行費・学用品費・体育実技用具費など(年数万円〜十数万円規模)

④ 住民税非課税世帯向けの物価高騰給付金

2024〜2026年にかけて、住民税非課税世帯・均等割のみ課税世帯を対象に国・自治体から繰り返し給付が行われています。

給付の種類 給付額 対象
低所得者給付金(非課税世帯) 10万円 均等割のみ課税世帯も対象
子ども加算 子ども1人あたり5万円 18歳以下の子どもを扶養している世帯
定額減税の調整給付 1万円単位で算出 定額減税の恩恵を受けられない低所得者
自治体独自の物価高給付金 1万円〜3万円 非課税・均等割のみ課税世帯が多い

江戸川区など一部自治体では「所得割課税世帯」まで対象を拡大した物価高給付を実施するケースもあります。

⑤ 住民税所得割が判定に使われるその他の制度

制度 所得割との関係
幼保無償化(0〜2歳) 非課税世帯のみ対象(課税世帯は有料)
奨学金(給付型) 世帯の市区町村民税所得割額で支給区分が決まる
国民健康保険の減額 所得割非課税の基準が軽減の前提条件
高額療養費(限度額) 非課税世帯は限度額が大幅に低くなる
自治体独自の医療費助成 子ども医療費や障害者医療費助成の所得制限に使用
2026年の重要な制度変更ポイント

高校授業料の就学支援金は2026年度から完全に所得制限が撤廃されたため、かつて「住民税所得割額154,500円未満か否か」が大きな分岐点だった家庭への影響が無くなりました。その代わり、保育料・就学援助・給付金の判定では引き続き所得割額が重要な役割を果たしています。

また、2026年度から住民税の非課税ライン自体が引き上げられたため(単身の場合、給与収入の目安が約100万円→約170万円以下に拡大)、非課税世帯に分類される範囲が広がり、上記の各種給付・補助の恩恵を受けられる世帯が増えます。

所得というのは簡単にコントロールできるものではありませんが、調整できる所得があるのであればこうした補助金等との関係もしっかりと調べておくと損をしないかもしれません。

iDeCo(イデコ)は所得控除なので掛金分だけ所得を減らせる

単純な方法でいえば、個人型確定拠出年金(iDeCo)があげられます。iDeCo(イデコ)は小規模企業共済等掛金控除として全額が所得控除の対象となります。

加入区分 2026年現在の月額上限 年額上限
自営業者(第1号被保険者) 6.8万円 81.6万円
会社員(企業年金なし) 2.3万円 27.6万円
会社員(企業型DC・DB加入) 2万円(2024年12月〜改正) 24万円
専業主婦・第3号被保険者 2.3万円 27.6万円
公務員 2万円 24万円

※2026年12月以降は会社員の上限が最大月6.2万円(企業掛金との合算)に拡大予定です。

上限額の範囲内で掛け金をかけることで、その分だけ所得額を差し引くことができ、結果として住民税の所得割額を小さくすることができます。金額も大きいのでiDeCo(イデコ)を利用した所得圧縮はかなり有効な手段です。

給料
▲給与所得控除
—–
所得
▲所得控除(iDeCo掛金
—–
課税所得
×税率(住民税なら10%)
—–
住民税所得割額

iDeCoの掛金は住民税所得割額を決める“課税所得”を決定するものなので、iDeCoの掛金×10%分の所得割額圧縮効果があるといえます。年間で6万円の掛金を払えば6,000円分の所得割額が小さくなります。

【2026年改正対応】iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とは何か?おすすめする理由とメリット・デメリット確定拠出年金というのは、将来給付される年金額が運用次第で変動する年金です。確定拠出年金は企業型と個人型があり、今回はその中でも自営業者や...
2026年最新版!iDeCo(個人型確定拠出年金)おすすめ証券会社・金融機関を徹底比較2017年の制度改正以降、利用可能な範囲が拡大し続けている個人型確定拠出年金(iDeCo)。制度自体は強力な節税メリットを持ちますが、か...

※ちなみにiDeCo(個人型確定拠出年金)は単年のみの加入はできません。最低月額として5,000円の納付が必要になりますので、短期的な節税(住民税所得割額の圧縮)を考えているのであれば、あまりお勧めできるものではないといえます。

ふるさと納税や住宅ローン減税は“税額控除”なのでダメ

同じような節税の手段として「ふるさと納税」もあげられます。こちらは、一定の範囲内で所得割額自体を減らすことができます(税額控除)。

ただ、補助金や給付金などに関して、通常自治体は税額控除前の所得割額でみるので、税額を減らすだけなら有効ですが、補助金や給付金のために利用するのであれば意味がありません。

ふるさと納税をわかりやすく説明。お礼の品で得をする仕組み、寄付の計算方法 ふるさと納税という制度をご存じでしょうか?この制度は自分が応援したい自治体などに寄付をすることで個人住民税の一部が控除される仕組...

以上、住民税の所得割額とは?補助金などの所得制限によく利用される所得割額の仕組みでした。

ABOUT ME
アバター画像
ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
【おすすめ】楽天モバイル三木谷キャンペーン

今、一番おすすめのモバイル回線は「楽天モバイル」です。

今は『楽天モバイル』が最強。楽天リンクを使えば通話かけ放題だし、パケットも使い放題で月々3,168円。データ通信をあんまり使わない人は1,078円で回線を維持できます。
さらに、家族と一緒なら110円OFF。

今なら三木谷社長からの特別リンクから回線を作ると、他社からMNPで14,000ポイント。新規契約なら11,000ポイントもらえるぶっ壊れキャンペーン中。

>>三木谷キャンペーン申し込みはこちら