副業をしていること(副業収入があること)が勤務先にばれる大きな理由は「住民税」によるものが大きいです。この時に、副業をしていることを勤務先にばれないようにするには、確定申告をする時に住民税の普通徴収を選択(自分で納付に○を付ける)することで、勤務先に請求がいかないので、住民税の面からばれることは無くなります。
ただし、この住民税の普通徴収については、それで申告しても特別徴収として扱われるケースが少なくありません。そのため、今回はそんな副業収入がある方の普通徴収、特別徴収の仕組みとばれるケースを紹介していきます。
住民税の特別徴収の仕組みと副業がばれる理由
サラリーマンは基本的に住民税を勤務先の収入から特別徴収(天引き)されるようになっています。この特別徴収は原則として、サラリーマンとしての収入以外があった場合はその分の住民税もまとめて天引きされるようになっています。
このとき、勤務先の給与担当者(経理担当者)は思うわけです。
「あれ、AさんとBさんは給料が同じはずなのに住民税の税額がAさんの方が多いぞ。ということはAさんはBさんよりも所得が大きい。給料は同じなのにAさんの方が所得が大きいということは、Aさんはもしかして他に収入があるのでは?」
こうして副業をしていることがばれるわけです。
副業がばれない普通徴収の選択
これを回避する方法は「住民税の納付を普通徴収にする」というものです。
副業収入がある場合は、必ず確定申告をしているはずです。このときの申告書に住民税の項目があり
○給与から天引き(特別徴収)
○自分で納付(普通徴収)
というように丸を付けるところがあります。この時に、自分で納付の方に丸を付けておけば申告した所得に対する住民税は勤務先の特別徴収ではなく、普通徴収としてあなたの住所宛てに納付所が届くようになるのでそちらで納付すればよくなります。
ただし、この普通徴収を選択しても、特別徴収として扱われてしまうことがあるのです。
普通徴収を選択しても特別徴収される3つのケース
以下に該当するケースでは、確定申告で普通徴収(住民税を自分で納付する)を選択したとしても特別徴収されてしまいます。
1) 副業が給与収入の場合
勤務先とは別にアルバイトのような給与としての収入があった場合です。申告書にも書かれていますが、普通徴収ができるのは「給与・公的年金等にかかる所得以外」となっています。つまり給与所得としてダブルワークをしている場合は普通徴収を選択しても特別徴収扱いとなるケースがあります。
「ケース」と書いたのはこの対応が市区町村でまちまちだからです。給与収入であっても普通徴収として扱ってくれるところもあるようです(例外規定の適用)。ただし、全体的な流れとしてダブルワークによる副業収入については特別徴収扱いとするという自治体が増えているような状況のようです。
給与所得についてはこれまで無申告だった人も多いかもしれませんが、2016年からは勤務先(バイト先にも)マイナンバーの提出が義務付けられたことで無申告については税務署から指摘されるリスクが大きく高まります。
この無申告によるペナルティ(追徴課税等)の方が勤務先に副業がばれた時のリスクよりもはるかに大きいと思われますので、ご注意ください。
2) ふるさと納税や住宅ローン減税などの控除がある場合
これもケースバイケースなのですが、「副業所得によって生じる住民税額<ふるさと納税等の税額控除の金額」となる場合には、普通徴収されずに特別徴収の対象となることがあります。
特に、2015年からはふるさと納税の枠が拡大した上、ワンストップ特例制度によって住民税からの控除が大きくなるケースが多い為、こちらも注意したいところです。
なお、こちらについては「ふるさと納税で住民税が下がれば副業がばれないというのは本当?」でもっと詳しく解説しています。
3) 赤字申告した場合
副業事業や不動産経営などで所得がプラスではなくマイナスになった場合も普通徴収は利用できません。
そもそも「赤字」といいうことは住民税を還付する必要があります。給与所得などで特別徴収額がある場合には、そちらを小さくすることで還付しようとします。
たとえば、給与の住民税が年間で10万円あるとして、事業所得の赤字によって還付金額が3万円生じているというような場合には勤務先の特別徴収額を年7万円にすることで還付とします。
住民税が高いのではなく、低いことによってばれてしまうというわけですね。
ちなみに、上記以外の理由として大きいのは、担当者の見落としなどもあるようです。住民税を徴収する市区町村からすれば特別徴収の形で「確実」に徴税できる仕組みを使う方が楽ですし…
副業関連のサイトなどでは、普通徴収を選択しておけばOK!といった記述をしているところもありますが、普通徴収を選択していれば確実に住民税から勤務先に副業がばれることはないというわけではありません。
ケースバイケースということは忘れないようにしておきましょう。
ネット副業のように比較的名義を自由にできそうなタイプの仕事なら「副業の名義の問題とリスク。妻や夫、両親名義で副業するのは問題か?」でも紹介したように名義を妻(家族)にするというのも一つの手かもしれません。
副業がばれるのは税金だけじゃない……
また、副業バレは何も住民税(特別徴収)だけでバレるわけではありません。密告のように知り合いや同僚経由でばれるというケースも少なくありません。この辺りについては「副業禁止の会社での副業における注意点」や「副業をする時に気をつけたい税金と会社への対応」でもまとめているのでこちらもぜひご一読ください。
以上、副業収入で住民税を普通徴収にしても勤務先に特別徴収されるケースを紹介しました。
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