相続税は2015年(平成27年)1月1日より大幅に改正されます。この改正内容は増税と言える内容となっており、これまでは金持ちの税制と言われた相続税はより一般の方にも関係がある税制となりました。
今回は相続税の増税においてどのような点が改正されるのか?またどのように考えるべきかをまとめていきます。
ちなみに、増税後ですが、相続税申告をした人の割合は全体の4.4%から8.0%。東京に限れば9.7%から15.7%にまで上昇しています(2014年と2015年の比較)。
相続税という税金はこれまで「お金持ちへの課税」というものでしたが、課税最低点の引き下げで多くの方に関係するようになってきたようです。
2015年以降の相続税の大きな変更点
2015年1月より日本の相続税制度が大きく変更されます。
全体としては課税最低点が引き下げられることによって、相続税は増税されることになります。
変更される点は以下の通りです。
- 基礎控除の引き下げ
- 相続税率の変更
- 未成年者控除・障害者控除の引き上げ
- 小規模宅地等の特例の対象となる面積の拡大
基礎控除の引下げ
相続税というのは財産を相続した場合、かならずかかるわけではありません。相続財産が一定金額を超えて発生することになります。その一定額内を決める基準の一つが「基礎控除」と呼ばれます。
これが引き下げられるというのが今回の相続税改正において一番インパクトが大きい項目といえます。
旧相続税の基礎控除
相続1件あたり5000万円
法定相続人1名あたり1000万円
2015年1月1日以降の相続税基礎控除
相続1件あたり3000万円
法定相続人1名あたり600万円
これまでは妻と子2人の相続人がいる場合、8000万円までの相続財産について相続税は非課税だったわけですが、2015年(平成27年)1月1日以降はこれが4800万円までとなるわけです。
これによって、これまでであれば相続税がかからなかった方であっても相続税がかかる可能性が高くなります。
それでも数千万円という金額ですが、都市部の不動産のように評価額が高くなる資産が相続財産となった場合には課税対象となる可能性は十分にあります。
相続税率の変更
相続税の税率は相続税対象額に応じて変わります。
相続税対象額は「相続財産-基礎控除」の金額です。所得税と同じように相続財産の金額が大きくなるほど、より税率が高くなります。税率はこれまで10%~50%でしたが、10%~55%までと拡大されました。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
ちなみに、税率がアップとなるのは相続財産(課税対象額)が2億円以上の人と6億円以上の方と資産化の方が中心となりますが、基礎控除が小さくなったことで課税対象となる相続財産は大きくなります。
そのため、大金持ち以外の方にとっても実質的な税率引き上げとなります。
未成年者控除・障害者控除の引き上げ
こちらは相続税が小さくなる改正です。
20歳未満の相続人や障害者の方が相続人にいる場合は一定の控除金額が大きくなります。
旧相続税
未成年者:20歳までの1年あたり6万円
障害者:85歳までの1年あたり6万円(特別障害者は12万円)
2015年1月1日以降
未成年者:20歳までの1年あたり10万円
障害者:85歳までの1年あたり10万円(特別障害者は20万円)
仮に、10歳の未成年者がいる場合には従来は6万円×10年=60万円が控除されましたが、2015年1月以降は10万円×10年=100万円へと拡大されます。
小規模宅地等の特例の対象となる面積の拡大
居住用の宅地については一定の相続税の減免措置がありました。
これまでは240平米(72.6坪)が上限面積でしたが、2015年1月以降はそれが330平米(99.8坪)へと拡大されます。
地価が高いエリアであっても居住用の住宅であり、特定の条件を満たしていれば宅地の評価を最大で80%抑えることができます。
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こちらは相続税の減税になる改正ですね。
相続税増税で暮らしはどうなる?増税対策は?
旧相続税制度においては相続税対象となるのは全体の4%程度でした。特に地価の高い都心部に限るとこれまでの10%弱から20%弱程度にまで課税対象が拡大すると言われています。
実際に相続税増税となった後、相続税申告をした人の割合は全体の4.4%から8.0%。東京に限れば9.7%から15.7%にまで上昇しています(2014年と2015年の比較)。
ただ、相続税の対策となる制度はいくつかありますので、細かい内容は税理士と相談の上、いろいろ検証していきましょう。
などがありますね。
ただし、相続税対策というものは長期的な視点で準備する必要性があります。あきらかな「名義預金」などは贈与などとみなされるケースもあります。
金額が大きい方は税理士などとも相談しながら、相続税のかかり方を一度しっかりと考えるのも良いでしょう。事前に考えておくというのが重要です。
また、税金面だけでなく、相続財産が大きい方は相続における身内間のトラブルなども気になります。相続が争続といったように呼ばれることがあり、メディア等でも取り上げられています。
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相続人でトラブルや問題が生じないように遺言書の準備を始めとして相続全般をできるだけ早くから考えておくことをお勧めします。
また、相続時だけでなく、生前整理や終活といったことも一緒に初めていけるといいかもしれませんね。
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以上、2015年からの相続税増税とその影響について紹介しました。
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