副業や兼業で規模が大きくなってくると、個人事業主としての開業を検討する方も多いかもしれません。サラリーマンとして働きながら、個人事業主としても開業するという両立・兼業は可能なのでしょうか。
今回はサラリーマン(会社員)と個人事業主(フリーランス)との両立について知っておきたいポイントや注意点などをまとめていきます。
会社員と個人事業主の両立は可能か?
両立することはなんの問題もありません。世の中にはサラリーマンをしながら個人事業主として働いている方、複数の所得(収入)を得ている方はたくさんいます。
両立は可能か?という疑問がどのような問題から来ているかによって回答は変わってくるかと思います。
- 副業禁止の会社で働いているという業務上での問題
- 2つの仕事をする時間的な問題
- 税務上、社会保険料上の問題
以下では、上記の3つの問題別に会社員と個人事業主の両立(副業)が可能などうかを考えていきたいと思います。
副業禁止の会社で働いているという業務上の問題
こちらについて、個人事業主として開業するしないを問わず、所得をえれば確定申告をする必要があります。申告をすれば回避方法がないわけではありませんが、会社に別のところで収入を得ていることがバレてしまう可能性はあります。
最近では副業・兼業を認める会社も増えてきてはいますが、就業規則で禁止としている会社もあります。副業の程度問題にもよるでしょうが、何らかの処分を受ける可能性があります。
黙って副業をする場合でも税金(主に住民税)関連で会社にばれてしまうケースがあります。ばれる、ばれないという部分については、ケースバイケースです。
・副業禁止の会社で副業をするときに心がけたいバレない為の注意点
・副業と税金。マイナンバー導入で副業はバレる?
・副業収入で住民税を普通徴収にしても勤務先に特別徴収されるケース
などでも記事をまとめているのでこちらも参考にした上で判断してください。
会社によって対応は様々です。禁止されているけど、事実上黙認されている会社、業務に影響がなければOKとしている会社、届け出制の会社といったように寛容なところもあります。
一方で、副業を一切許さないような風土の会社もあります。副業をしたらクビというような会社もあるでしょう(それが、適法かどうかは別にして)。
ちなみに、副業をしたから解雇といわれたような場合、法律的には争うことが可能です。
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勤務先の副業規則(兼業禁止)に関してはしっかりと事前に確認しておきましょう。
2つの仕事をする時間的な問題
フルタイムの会社員として働きながら、個人事業主(フリーランス)として働くというときに問題になるのは時間です。
一日は24時間しかないわけで、多くの会社員は昼間の時間に会社で仕事をすることになります。その時間を別のことに使うのは立派な服務規程違反になるでしょう。
なので、両立をするという場合は、夜間や休日などの会社に拘束されていない時間を使う必要があります。
今はインターネットなどを使って時間に縛られない働き方も可能になっています。こうした動きなら昼間の時間にこだわる必要はないですね。
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クラウドソーシングなどのサービスを利用すればネットで専門性の高い仕事を受託することもできます。こうした仕事は時間配分も大切ですが、比較的自分の好きなタイミングで仕事ができるというのはメリットといえます。
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時間はもちろん大切ですが、二足の草鞋を履くということは決して不可能なことではありません。
税務上の問題。両立で稼いだ収入はどう税金がかかる?
サラリーマンをやりながら個人事業主として開業することに税務上の問題はありません。
開業しようがしまいが、副業や兼業で副収入(所得)を得ているのであれば確定申告をして納税する必要があります。
なお、サラリーマンとして働きながら、副業で事業を行って収入を得た場合、稼いでいる規模によって扱いが異なります。
規模が小さい場合は「雑所得」として扱われることが多く、規模が大きい場合には「事業所得」として扱われます。
この辺りは、明確な区分があるわけではなく、税務署側の判断となります。
小額の収入程度なら税金はかからない?
まず、事業の規模が小規模の場合、税金の心配はあまりしなくてもよいです。例えば、サラリーマンの場合、年に20万円以下の所得であれば申告不要となっています。
ただし、一律というわけではなく、いろいろと条件があります。詳しくは下記の記事でまとめているので、こちらもご一読ください。
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個人事業で赤字がでたら本業の給与所得と損益通算できる
個人事業として開業した場合、仕事によっては副業の方で赤字が出てしまうというケースもあるかもしれません。
そうしたときは事業所得として赤字を申告すれば、本業の給与と総合課税とすることで給料の方の所得税や住民税を安くすることができます。
なお、損益通算可能な所得は下記の通りです。
- 給与所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 譲渡所得
- 山林所得
一方で、副業としていても事業的規模に無いとみなされる場合には事業所得ではなく、損益通算ができない雑所得として扱われる可能性もあります。この場合には給与との損益通算はできません。
サラリーマンの収入との損益通算を謳う話として、少し関係しているのが、ワンルームマンション投資などで「節税」をうたう場合。これはマンション投資による赤字を活用して本業の節税につなげようというお話なんですね。
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黒字幅が大きいときは開業届を出して青色申告を活用しよう
個人事業の規模が大きくなって来たら、開業届を出して青色申告をするようにしましょう。青色申告は通常の申告(白色申告)と異なり、複式簿記による帳簿などの条件がありますが、青色申告控除などの税制上のメリットがあります。
青色申告というと難しいと思うかもしれませんが、最近では会計のサポートルーツもWEBサービス等でたくさん登場しているので、所得が大きい人は青色申告を活用しましょう。
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社会保険の面からみると併用(副業)はメリット大
サラリーマンを続けながら副業収入を得るという両立をお勧めする理由の一つは「社会保険料」です。
サラリーマンの方は「第2号被保険者」として社会保険に加入しています。健康保険料+厚生年金保険料を収入に応じて支払っているはずです。
この時の収入というのは標準報酬月額という勤務先の4月、5月、6月の収入に応じて決まっています。
お分かりかと思いますが、副業として収入を得た場合、社会保険料計算上の「収入」にはならないため、合法的に社会保険料を節約できます。ちなみに、会社員として働くときの社会保険料率は約15%程度ありますので、これは大きいです。
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フリーランスとして独立した場合には、国民健康保険料は収入に応じて高くなるので、サラリーマンと両立すれば社会保険料上はかなり大きなメリットがあります。
実は会社員をしながら自営業・フリーランスとして収入を得るのは最強
自営業やフリーランスとして個人事業主として働く、独立したいと考えている人に私がおすすめしているのはサラリーマンしながら自営業やフリーランスをするという方法です。
税務上の損益通算ができること、社会保険上有利なことは現行の税制や社会保険制度を考える上で有利です。
また、リスクを取る仕事をしながらサラリーマン(給与所得者)としてのセーフティーネットも活用できます。
「傷病手当金」などの制度は会社員ならではです。
サラリーマンを失業時に失業扱いにならない点は注意
兼業サラリーマンを続けるデメリットとして、万が一、会社が倒産したりつぶれたりしたという場合も、失業扱いにならないことでしょうか。
失業給付(失業手当)などはもらえないことになります。もっとも、そうした事態(失業)となっても副業で食っていけるレベルになるのが目的ではあるので、大きな問題ではないかもしれませんが……。
以上、サラリーマンと個人事業主を両立させることはできるのか?というポイントをまとめてみました。
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