野村證券は日本における証券会社ではナンバーワンの規模を持つ総合証券会社です。その規模からガリバー証券と呼ばれることもあります。基本的には対面営業が中心ですが、ネット取引専用口座の野村ネット&コールも用意されています。
そんな業界最大手の証券会社である野村證券に対して個人投資家が口座を持つメリットはあるのでしょうか?今回はそんな野村證券のメリット、デメリットや強みといえる部分について徹底的に分析していきたいと思います。
野村證券は果たして個人投資家向けの証券会社か?
野村證券という証券会社は知名度は抜群に高いです。
テレビCM等も積極的で“それ、野村に聞いてみよう”のキャッチコピーは長年使われているので耳にした方も多いのではないでしょうか。
そんな知名度抜群の野村證券だけあって、「株式投資をしたい=野村證券に口座を作る」と考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、そんな単純な話ではないと思います。株ならやっぱりNo1の野村やろ!ということで口座開設をすると後悔します。金融機関には役割があり、野村證券は少なくとも個人投資家向けではなさそうです。
基本的に野村證券は手数料が高く、単純な売買はお勧めできない
まず、野村證券は株式売買等にかかる手数料が全体的に高いです。
対面取引(支店口座)に関しては、正直言ってそれでよく株で儲ける人いるね?というレベルの手数料水準です。この水準でバカスカ売買したら株の損益よりも手数料の方が大きいのではないか?っていうレベルになりそうです。
営業マンを介さないネット専用口座である野村ネット&コールの手数料も高いです。以下はネット証券業界最大手のSBI証券と野村證券のネット&コールの株式売買手数料比較したものです。
証券・取引金額
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50万円
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100万円
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150万円
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300万円
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野村證券(ネット&コール) |
515円
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1,029円
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2,057円
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3,086円
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SBI証券 |
250円
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487円
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582円
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921円
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この差を大きいとみるか、小さいとみるかは人それぞれだと思いますが、個人的にはかなりの差があると思います。実際に投資における手数料は100%確実に発生するマイナスリターンであると考えると手数料節約は投資リターンを高めるうえで重要な要素です。
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そう考えると、野村證券は少し手数料が高すぎやしないか……と思ってしまいます。
上記は国内株取引に関する部分ですが、外国株式やそのほかの投資商品についてもほぼ同様のことが言えます。手数料というのは投資において非常に重要なファクターです。取引におけるコストは100%確実に発生する投資リターンへのマイナスです。
取引回数が多くなればなるほど、複利的にリターンを小さくしていくことになります。
野村證券の営業マンの意見が必要なレベルは?
いや、それでも野村證券という有名な証券会社なんだから、きっとプロの運用ができてリターンがよくなるのでは?と思われるかもしれません。
まず、規模が小さな投資家の場合、そもそも担当は付きません。窓口で相談できるといったレベルになります。仮に、担当が付いたとします。でも、その担当は基本的にプロの運用者ではなくセールスマンです。この問題については以下でも紹介しています。
野村證券に限らず、証券会社の窓口や営業マンに投資相談をする価値はそこまで高くないと思います。
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逆に、相談しないと投資できないというのであればいい方は悪いですが、まだ投資を始めるべきではありません。「お金や投資・金融の勉強をしたい方が読むべきおすすめ書籍・本の紹介」なども参考に、まずは投資を始める基礎知識(リテラシー)を身に着けるべきです。
また、ネット口座の場合は提供されるサービスはネット専業証券と変わりありません。むしろ、ネットの中でし烈な競争をしているネット証券の方が提供しているサービス面は充実していると思います。
ネット取引サービスは失敗続き……
野村HD(野村證券)は、ネット証券事業に2度失敗(?)しています。
- 野村ファンドネット証券(1998年-2003年)
- ジョインベスト証券(2006年-2009年)
野村ファンドネット証券は野村の投資信託を専門に売買することができるネット証券でした。結局は伸び悩んで野村證券に吸収、「ほっとダイレクト部」という扱いになりました。
また、ネット証券の拡大期にはジョインベスト証券というネット専業証券をスタートしました。ところがこちらも失敗。結局は2009年とたった3年で野村證券に吸収されました。吸収当時は「野村ジョイ」、2011年に「野村ネット&コール」と名称を変更してサービスを行っています。
ジョインベスト証券については約定通知遅延によるトラブル(炎上)が痛かったと思います。初期対応を誤って炎上して、業務改善命令まで出ました。これでイメージが最悪になったことも大きいと思います。
そして単体ではなく、2019年にLINEと提携する形で「LINE証券」を共同設立しています。野村證券(野村HD)にとっては3度目の正直となれるのでしょうか。
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野村證券に個人投資家が口座を作るメリット、強みは何か?
では、野村證券に個人投資家が口座を開設するメリットは全くないのでしょうか?最大のメリットとしてはIPO(新規公開株)をはじめとした募集物の充実度でしょう。もう一つは2018年にスタートした“つみたてNISA”です。この二つは野村證券も対個人投資家向けに強みがあるといえる分野です。
また、証券会社に限らず大手志向の方にとっては野村ブランドはは強いといえるかもしれません。
IPOを始めとした募集ものに強みがある
野村證券はやはり国内の証券市場では筆頭の会社です。
そのため多くの会社の上場(IPO)なども手掛けており、主幹事証券会社として活躍しています。そういった面がありますので、野村證券へのIPO等の株式の割り当ても多く、口座を持っている投資家に対する配分されるボリュームも大きくなります。
IPO以外にも上場している会社の株式の公募増資や売り出し(いわゆるPO)の取り扱いも多いので、こうした募集系の株に興味がある方にとって野村證券はやはり魅力的といえるでしょう。2017年におけるIPOにおいて主幹事として主導した件数は27社と全証券会社の中でダントツの1位です。
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ただし、IPOの割り当ての大部分は支店に割り当てられ、その配分は支店長(営業)の采配によります。そして、このIPOは“いいお客さん”や“今後が期待できるお客さん”に対して優先的に配分されます。
良いお客さんというのは証券会社にとっては「手数料をたくさん落としてくれるお客様」「捌かないといけない募集ものを買ってくれるお客様」です。
こうした付き合いができるレベルで運用をしないと野村證券をはじめ対面証券からのIPO割り当ては難しいでしょう。
IPOは申込時の資金拘束なしが魅力
ちなみに、IPOの申込の条件はかなり緩いです。ネット証券の場合、IPOへの申し込みをする場合、資金拘束があるのが通常です。
- 申し込み時典で資金拘束
- 抽選時に資金が無ければ抽選対象外となる
一方で、野村證券の場合はこうした拘束(制限)は一切ありません。当選したときだけ期日までに資金を入れればOKというルールです。
つみたてNISAは高評価。高クオリティの投信6本を扱う
2018年よりスタートした“つみたてNISA”は投資信託の積立投資を非課税で行える投資口座となっています。野村證券のつみたあてNISAの運用ファンドは以下のファンドです。
- 野村つみたて日本株投信(日本株インデックス)
- ひふみプラス(日本株アクティブ)
- コモンズ30ファンド(日本株アクティブ)
- 野村つみたて外国株投信(外国株インデックス)
- 野村6資産均等バランス(分散投資)
- つみたて8資産均等バランス(分散投資)
数は少ないですが、いずれも低コストで運用されている投信が厳選されています。これらの投資信託であれば、つみたてNISAの投資先として文句のないファンドとなっています。
野村證券としては珍しく(?)、投資家にとって都合のよい低コストファンドを取りそろえたものだと思います。
ただし、つみたてNISAに関しては残念ながら、圧倒的にハイスペックの「楽天証券」がありますので、あえて野村證券を選択する理由はないと思います。
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まとめ。IPOやつみたてNISA目的なら
野村證券は国内最大の証券会社ということもあり、IPO投資は期待できる証券会社です。
また、投資初心者(未経験者)の方にとっても、つみたてNISAは取り組みやすく、また販売されている投資信託も決してクオリティが低くないので、初めての投資だから安心できる大きな証券会社で、というニーズにもマッチしていると思います。
その一方で、個別株取引をメインでやろうと思う場合は手数料がネックとなります。
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以上、野村證券の評判と特徴。業界最大手の証券会社に個人投資家が口座を持つメリット、デメリットについてまとめてみました。
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