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通勤や仕事で自転車を使うなら加入しておきたい自転車保険。義務化する自治体も増加

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bicycle自転車保険という保険が脚光を浴びています。いわゆる「自動車保険」の自転車版のようなもので、自転車を利用している時の事故による怪我や相手への賠償等を保証するための損害保険です。

自治体によっては、罰則規定はないものの、自転車保険への加入を義務付けるところも出てきています。

自転車事故による高額な賠償事例も出てきており、通勤・通学などで日常的に自転車を利用する方はぜひ活用しておきたい保険です。

今回はそんな自転車保険についてその特徴や加入するべきかどうかの必要性などについて紹介していきます。

自転車保険とそれを取り巻く環境

自動車に乗る方は万が一の事故のため、任意保険と呼ばれる自動車保険に加入する方がほとんどかと思います。また、自動車の場合には強制保険である自賠責保険も存在するため全くの無保険ということはありません。

その一方で自転車についてはこうした強制保険はありませんのですべて任意となっています。最近では、自転車による接触事故等による賠償額において高額な賠償を命じられたケースも多くでています。

  1. 2013年:9500万円(小5男児による事故。後遺障害)
  2. 2008年:9300万円(男子高校生による事故。後遺障害)
  3. 2003年:6800万円(男性による事故。死亡事故)
  4. 2007年:5400万円(男性による事故。死亡事故)

特に、2013年の事故の時は高額な賠償金額と加害者の年齢(小学校5年生)ということもあり話題となりました。

このように自転車事故による高額な賠償事故が発生しています。

 

自転車事故のヒヤリハット事例

インターネット調査によると日常的に自転車に乗っている方の約87%もの方がヒヤリとした経験があると回答しています。このヒヤリがいつ重大事故につながるか分かりません。もしかしたら、次はあなたかもしれません。

最近では、企業側も社員の健康のために自転車通勤を推奨する会社も出てきていますが、通勤中に第3者を怪我させた場合には、会社側も使用者責任を負うことになります。こうしたリスクもあるため、自転車通勤をする社員には自転車保険への加入を義務付ける会社も出てきているようです。

 

自転車保険への加入義務化をおこなう自治体も増加

前述のような自転車事故による巨額賠償を受けて、自治体レベルで自転車保険への加入を義務付ける自治体も増えています。2015年10月に兵庫県で義務化された後は、埼玉県、大阪府、京都府などでも義務化が行われています。

2020年4月1日からは最大の自治体である東京都でも義務化されます。

現在のところ義務化は努力義務であり、罰則まで設定している自治体はありませんが、それだけ事故が多いということの裏返しといえます。

なお、こうした自治体が義務化している自転車保険は、専用の自転車保険だけでなく、後述する個人賠償責任保険など相手に対する賠償責任をカバーする保険も含む、広義の自転車保険となります。

 

自転車保険とは何か?保険としての特徴

自転車保険とは、自転車を利用中に発生した事故や怪我に対して一定の補償を行う損害保険の一種です。年間の保険料は5000円程度~で他人を怪我させた場合の損害賠償補償を補償する保険となっています。

また、自転車保険によっては自分自身のケガや死亡、後遺障害に対する保険が下りるタイプもあります。

最近では、自転車保険もメジャーになっており、専用の商品も損保会社で用意されています。専用の保険以外にも火災保険や自動車保険などにも付帯できるようなケースもあります。

なお、自転車事故に対応する保険としては「個人賠償責任保険」と「自転車専用の保険(自転車保険)」、「TSマーク付帯保険」の3種類があります。

 

個人賠償責任保険

第3者に対して賠償責任を負う自体が発生した場合に使用できる保険です。自分自身に対する補償はありませんが、他人を怪我させた場合などには利用できます。

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この個人賠償責任保険は日常生活における偶発的な事故による損害賠償を補償することができる保険となっています。この中には日常による自転車事故も含まれます。

日常利用の範囲であれば自転車の事故にも対応できます。火災保険などに付帯しているケースも多く、気づいていないだけで加入しているケースが多いです。

注意点としては「日常利用」での事故だけが対象だという事です。通常、通勤は日常とみなされますが、業務中に自転車で移動する場合などは日常利用とはみなされません。

個人賠償責任保険については基本的には単独ではなく、他の保険とセットで加入するのが一般的です。

  • 住宅用火災保険
  • 自動車保険の特約
  • クレジットカードの付帯保険の特約

などでセットをすることができます。多くの方は火災保険の特約で個人賠償責任保険に加入されていると思われます。

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専用の自転車保険に加入する

自転車の利用時に補償される保険です。自転車による事故での相手への賠償責任をカバーするというものが中心です。前述の個人賠償責任保険と違って、自転車事故であれば、日常利用、業務利用を問わず補償されます(※)。

※補償範囲については自転車保険でも保険によって異なる場合がありますので、業務利用(仕事利用)される場合は仕事中の自転車事故が補償されるかどうかについて必ず確認するようにしてください。

さらにこれに加えて、自分自身のケガなどに対する保障(傷害保険)としての機能がついているものもあります。

自転車保険は自転車事故単体への補償という面では手厚いのですが、自転車事故以外は対象外であること。また、日常利用であれば、個人賠償責任保険と保険が重複するケースが多いという点はデメリットだといえそうです。

 

TSマーク付帯保険に加入する

TSマークとは、自転車安全整備士が点検を行った自転車に張られるステッカーで、傷害保険・賠償責任保険が付帯しています。整備代金を支払うこととで自動的に保険がセットされます。保険は1年間有効です。

なので、保険を継続したい場合は年1回以上は点検と整備を受ける必要があります。料金は赤色TSマークが2000円程度、青色TSマークが1500円程度となります。部品の交換などがあると+その費用が掛かります。

TSマーク付き付帯保険に関しては補償内容が小さいという事が指摘されており、補償が手厚い赤色TSマークの保険が2014年10月1日(死亡事故:2000万→5000万円)、2017年10月1日(死亡事故:5000万円→1億円)に2回拡充されました。

保険料は整備代金となりますが年間で青色TSマークが1500円くらい、赤色TSマークが2000円くらいです(別途部品交換などをした場合はその費用)。

TSマークの種類 赤色TSマーク 青色TSマーク

被害者の死亡・後遺障害

1億円 1000万円

被害者見舞金(15日以上)

10万円 なし
自身の死亡・後遺障害 100万円 30万円
自身の入院(15日以上) 10万円 1万円

入るなら赤色が断然おすすめですね。TSマーク付帯保険加入書をもらえますので大事に保管しておきましょう。

個人賠償責任保険や自転車保険は自転車の使用者が保険の対象となりますが、TSマーク保険は自転車に付帯する保険となります。そのため、使用者が無保険でもTSマーク付き付帯保険が有効なら保険が出ます。事業所などで不特定多数の人が同じ自転車を利用する場合は、TSマーク保険がおすすめです。

 

自転車保険の選び方のポイント

じゃあ、具体的に自転車保険はどうやって選べばいいのでしょうか?特に今回は3つの保険を紹介しましたが、それぞれのメリット、デメリットはどんなところがあるのでしょうか?

 

賠償額は最低でも1億円以上

第3者に対する賠償額は1億円は最低でも確保しておきたいところです。最近の自転車事故における賠償額として1億円に近い金額の損害賠償が認められたケースも多いです。

個人賠償責任保険や自転車保険の最高保険金額は5000万円でも1億円でも保険料はほとんど変わりありません。1億円以上は確保するようにしましょう。TSマーク保険(赤色)は2017年10月以降は死亡・後遺障害が5000万→1億円にアップしたので補償としても十分な規模になっています。

 

示談交渉サービスはないよりはあったほうがいい

火災保険にセットでつく個人賠償責任保険などには示談交渉サービスはついていないことが多いです。

自転車事故を起こしたとき、通常の自動車保険だと保険会社が間に入ってくれて被害者の方と慰謝料や治療費などの交渉をしてくれます。

ところが示談交渉なしのプランだと、その交渉を自分自身で行う必要があります。自分で交渉できるなら問題ないのですが、事故の加害者・被害者という関係で交渉をすると感情的になってしまうケースも多いようです。

保険会社も自社で算出した以上の保険金は支払いません。あなたが勝手に1000万円払うと約束しても保険会社がこの事故だと600万円と判断したら400万円は自分で手出しする必要があります。

自動車事故で加害者となった時の鉄則として「勝手に示談交渉しない」というのがありますが、示談交渉なしの保険だと、自分でやらざるを得ないわけです。

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もちろん、示談交渉サービスが無くても自費で弁護士に依頼して示談交渉してもらうことは可能ですが、最初から示談交渉サービスが付帯している保険を利用するのも手です。

  • 個人賠償責任保険:保険によって異なる
  • 自転車保険:通常は示談交渉付き
  • TSマーク保険:示談交渉なし

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自分に対する補償は他の保険でもカバーされているかも

個人賠償責任保険は完全に「相手に対する保険」なので、事故で自分がケガをしても一円も出ません。

一方でTSマーク保険なら申し訳程度の保険がセットされています。自転車保険については保険料は高くなりますが、ケガや死亡、後遺障害に対する傷害保険をセットすることができます。

ただ、この辺りについては医療保険や別の傷害保険などに加入している場合は自転車事故に限らず補償されているケースもあります。

代表的なものとしては自動車保険に入っていれば「人身傷害補償保険」が使える可能性があります。最近は限定プランとして「契約車両に乗車中のみ補償」というタイプもありますが、標準プラン「契約車両以外、他の交通上用具、歩行中も補償」といったケースなら自転車事故で自分がケガをしたときも保険金が出ます。

 

補償の範囲は契約者かそれとも世帯かを考えよう

独身の場合はあまり関係ないかもしれませんが、家族がいる場合は保険の対象者も考えましょう。

個人賠償責任保険 世帯全体が対象となります。
自転車保険 世帯単位のケースもありますが、個人単位(契約者単位)のケースもあります。
TSマーク付帯保険 整備した自転車が対象です。運転者は問いません。レンタサイクルや事業所で自転車を利用する場合、使用者の保険加入を問わず、事故時の保険対象です。

会社で自転車を使うような場合はTSマーク付き付帯保険がおすすめですね。

 

自分に最適な自転車保険はどれ?

さて、色々な自転車保険の種類と特徴を紹介してきましたが、どれがあなたにとって最適でしょうか?

まず、業務利用がある場合、個人賠償責任保険では補償の対象外となります。業務中の事故を考えると「個人賠償責任保険」ではカバーされません。

自転車保険に入るか、業務利用する自転車に赤色TSマーク保険を付けておきましょう。

一方で、業務利用がない場合は自転車保険単独のメリットはさほど大きくありません。個人賠償責任保険で相手への補償はカバーできますし、自分自身への保険についても自動車保険(人身傷害補償保険)や医療保険、その他傷害保険などでカバーすることができるからです。

そうしたほうが保険料としての負担も少なくて済むはずです(特に家庭持ち)。

 

何かしらの自転車事故への保険は絶対に入っておくべき

世の中の動きとして、自転車の左側通行の厳格化(路側帯通行時)というように、これまでは歩行者よりだった自転車も徐々に車両としての扱いとなってきています。

この流れがすすめば、さらに自転車事故が発生した時のライダー側の責任が重くなるのは自明です。

2013年の小学校5年生男児と高齢女性の自転車事故の例では未成年者であっても、保護者の教育が不十分であったとして母親に対して9500万円もの損害賠償を認める判決が出ています。

実際に自転車事故を引き起こしたものの高額な賠償金を支払うことができず、自己破産をしたというケースも多いようです。破産する本人はもちろんですが、破産によって賠償金を受け取れない被害者はもっと不幸です。

自転車に乗るということは、これだけの賠償責任を負う可能性があるということを理解して、自動車保険における任意保険と同様に自転車保険(または自転車事故を担保できる保険)に積極的に加入するようにしましょう。

 

以上、通勤や仕事で自転車を使うなら加入しておきたい自転車保険というお話でした。