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長生きリスクに備えるトンチン保険とは何か?メリット、デメリット。老後に備える保険とお金のコツ

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トンチン保険(トンチン年金)いうのは聞きなれない名前の保険ですが、近年の高齢化の進展によって長生きリスクが意識されるようになり注目が集まっている保険です。一般的な死亡保険は死亡リスクに備えますが、トンチン保険は生存リスクに備える保険となります。

トンチン保険のシステム自体は17世紀にさかのぼりますが、保険商品としては日本国内にはありませんでした。ところが日本生命の「グランエイジ」や第一生命の「ながいき物語」のように高齢化が進む中で保険商品として、トンチン保険(トンチン年金)が登場し始めています(ただしくは、トンチン性の高い保険)。

今回は、そんなトンチン保険の特徴や加入するメリット、デメリットなどをまとめていきたいと思います。

トンチン保険とは?

へんな名前ですが、17世紀のイタリア人銀行家のロレンツォ・トンチが考案した保険制度とされています。長生きするほど多額の保険金や年金が受け取れる保険商品となっています。

  • 保険料は一括払い
  • 応募者から払われた元本総額に対する一定の利息を加入者に支払う
  • 満期時点で「生存」している人に対して元本+残りの運用益を支払う

以上が、トンチン保険の基本的性質となります。
ただ、完全に上記のような性質ではなかったとしても、長生きするほどより給付が手厚くなるように設計されている保険を「トンチン性を高めた保険」というように呼ばれることがあります。

 

日本で販売されているトンチン保険(トンチン年金)

2017年7月現在では、日本生命の「グランエイジ」や第一生命の「ながいき物語」が公式でトンチン保険(年金)を歌っています。それぞれどのような保険になっているのか見てみましょう。

 

国民年金・厚生年金

販売されているわけではありませんが、日本に住む20歳以上の人なら全員加入している公的年金です。・

トンチン性の高い生存保険としては公的年金はその規模でも還元率でも非常に効率が高い年金です。
国民年金・厚生年金はいずれも被保険者(自分)が死ぬまでずっと年金が給付される終身年金となっています。老後における生存給付の代表格です。

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グランエイジ(日本生命)

カテゴリーとしては個人年金保険に該当します。長寿生存保険を謳っており、トンチン性の高い終身年金となっています(国民年金と同様に死亡するまで年金が給付される)。

契約可能年齢は50歳~87歳となっており、一般的な個人年金よりも高齢になってからの加入が可能です。

一方で払込期間中に死亡した場合、あるいは年金を受け取り始めてから比較的早期に死亡した場合には元本割れをする恐れがある設計になっています。

終身年金は死ぬまで年金が受け取れるという性質があるため、安心感がありますが、現在の金利状況を考えると90歳以上に長生きするという前提でないと元本割れするような設計であることが多いため、どの程度の長生きリスクを前提としているかをシミュレーションしておく必要がありそうです。

ながいき物語(第一生命)

グランエイジ同様にトンチン性を高めた個人年金保険です。契約可能年齢は50歳~80歳、年金の受け取り開始年齢は60歳~90歳で設定します。

年金の受け取り方法は
・5年確定年金
・10年確定年金
・15年確定年金
・10年保証+終身年金

から選ぶことができるようになっています。

最大のリスクは保険料払い込み期間中の死亡です。この場合、払い込み保険料の7割程度しか戻らないように設定しています。その代わり、年金の受給金額を大きくすることにしています。

 

一般的な個人年金との違い

上記の二つは、基本的に「保険料払込期間中の死亡」がリスクとなっている点があります。一般的な個人年金保険は払込期間中に死亡した場合には、これまでに払い込みをした保険料は死亡給付金として戻ってくるようになっています。

ところが、トンチン保険(年金)としての性質を強めているグランエイジ、長生き物語はいずれも「途中解約」という扱いにしており、低い解約返戻金しか戻らないようになっています。

その代わり、その死亡してしまった人が損する分を長生きしている人に年金として還元しているというわけですね。

 

トンチン保険のメリット、デメリット

さて、トンチン保険(トンチン性の高い保険)に対して加入するメリット、デメリットやどういう人に向いているのか?ということを考えていきましょう。

 

トンチン保険のメリットは長生きへの対応

2015年のデータですが、男性の平均寿命は80.79歳、女性は87.05歳となっています。
老後の年金は勤務先の企業年金あるいは、個人型確定拠出年金(iDeCo)などを現役時代に備えておけば、70歳、75歳くらいまでは公的年金にプラスアルファの年金等で老後も余裕があるかもしれません。

一方でこれらは終身年金ではないので、一定期間が終了したら給付は終わります。それ以降は公的年金だけが収入となります。特に平均寿命を多いく超えて長生きすることも今後考えられるわけです。

そういう時に、終身型の年金が手厚くなるトンチン保険は、備えとしては有効な手段となるかもしれません。

 

現在の運用環境だと相当長生きする必要があるのがリスク

一方でトンチン性の高い個人年金として今回紹介している「グランエイジ」の場合、商品紹介中でも説明しましたが、相当長生きしないとプラスになりません。

たとえば50歳で加入して70歳から年金の受け取りを開始という場合、払い込み保険料を受け取り年金額が超えるのは男性で90歳くらい、女性なら95歳くらいになってからです。相当長生きする必要がありますね……。

 

公的年金でもよりトンチン性を高めることができる

正直言って、現在の大手生保のトンチン保険は運用環境(予定利回り)の低さもあるのでしょうが、かなり厳しい設計になっているように思います。

実はそんな保険に入らずとも、公的年金を使ってよりトンチン性を高める(生存リスクを抑える)方法があります。それは公的年金保険を繰り下げ受給することです。

たとえば、厚生年金は65歳から受け取ることができますが、これを遅らせることができます。1年遅らせれば年間の年金受取額が8.4%増えますので、5年延ばせば42%増になります。これは大きいですよね。

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生存リスク(長生きリスク)に備えは必要

平均寿命は今後も伸びることが予想されている中で、生存リスクへの対策は必要です。ただし、それは保険(トンチン保険)だけで備えることは難しいように思います。

  1. 最大の生存保険である公的年金はできるだけ受給を遅らせる
  2. 働けるうちは長く働き、賃金で暮らせる期間を延ばす
  3. 現役時代から個人型確定拠出年金やNISAといった有利な資産形成を活用する

この3つを上手に生かすべきでしょう。

まずは、長生きリスクに備えるのであれば、公的年金はできるだけ繰り下げ受給します。この繰り下げ受給をするとおおよそ80歳以上に長生きすればモトが取れるようになります。生存リスクに備えるのであれば効率もよいと思います。

また、2つ目はその繰り下げ受給ができるように、一般的な老後(65歳以降)でも働けるようにするというのも一つの手だと思います。賃金または事業収入などのインカムがあれば、繰り下げ受給をしても生活に支障が出ません。

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最後は、現役時代から資産形成をしておくということです。2017年からは個人型確定拠出年金(iDeCO)の拡充、2018年からはつみたてNISAのスタートといったように老後のための資産形成を税制面からもサポートしている制度があります。

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老後資金を公的年金だけに頼ることはできないというのは多くの方の共通認識かと思います。こうした制度も活用しながら老後に備えましょう。

 

以上、長生きリスクに備えるトンチン保険とは何か?メリット、デメリット。老後に備える保険とお金のコツについてまとめてみました。