キャッシュレスという言葉が最近よくテレビや雑誌などでも使われるようになりました。要するに現金を使わずに決済することを言うわけで、クレジットカード、電子マネー、おサイフケータイ、QRコード決済、デビットカード、プリペイドカード、ポイント払いのような非現金決済全般を指すものです。
2018年4月には経産省が“キャッシュレス・ビジョン”を発表、日本におけるキャッシュレス決済の推進を提言しています。
そんなわけで、推進されているキャッシュレス決済を実際に私も試してみました。それを実施したメリット、デメリットを紹介していきます。
日本は世界的にキャッシュレス決済が弱い
2018年に経産省が出した“キャッシュレス・ビジョン”によると日本のキャッシュレス決済比率は2015年現在で18.4%と韓国の89.1%、アメリカの45.0%と比べてかなり低い状況となっています。
一方で、同じ先進国のドイツも14.9%と低いので、日本だけがガラパゴス的にキャッシュレス決済が普及していないというわけではないようです。キャッシュレス決済における一人当たりのカード保有枚数はシンガポールに次いで、日本は2位と高く、キャッシュレス決済の手段は持っているけど、実際の支払いには使っていないという状況にもなっているようです。
なお、経済産業省のキャッシュレスビジョンは、ページ数は多いですが、読み物としても面白いので、時間のある方はぜひお読みください。
→経済産業省(平成30年4月) キャッシュレス・ビジョン(PDF)
日本でキャッシュレス決済が普及しない理由
キャッシュレス・ビジョンによると、日本は緩やかにキャッシュレス化が進行しつつあるものの、以下のような理由で普及が阻害されているとしています。
<治安の高さやインフラの整備>
相対的な日本の治安の良さや現金インフラの整備によって、キャッシュレス決済導入の必要性が低いとされる理由ですね。この辺りはなるほど、って感じがします。
- 盗難の少なさなどの治安の良さ
- きれいな紙幣、偽札が少ないため現金への信頼感がある
- レジの処理が性格で現金のやり取りによるデメリットがすくない
- ATMの利便性が高いので現金を入手しやすい
<ユーザーがキャッシュレス決済をしない理由>
続いては消費者の声です。博報堂生活総合研究所(2017)のお金に関する生活者意識調査でキャッシュレス社会に反対と答えた人の理由のうち上位5位の回答がこちらです。
1位、2位はお金の感覚に関するよく聞く話です。クレジットカード業者も加盟店へのセールスで“売り上げ増”を謳っているわけですし、「浪費癖と現金決済」でも紹介したように、多少はそうした側面もあるでしょう。
万が一のための現金ももちろん必要です。ただ限度はあります。地震等の大災害でインフラがズタズタになって決済できないというリスクがあるからです。一方で「タンス預金のリスク」でも紹介したように、現金は消失すると戻ってこないリスクもあるわけで限度があります。
- 浪費しそうだから
- お金の感覚がマヒしそう
- お金のありがたみがわからなくなりそう
- 万が一のために現金は必要
- 犯罪が増えそう
<事業者がキャッシュレス決済システムを導入しない理由>
最後は事業者ベース。今回現金を使わないキャッシュレス生活を送るうえできつかったのが、うちは現金オンリーというお店が多いことでした。
なぜ、クレジットカードや電子マネー決済を導入しないのか?という点については経済産業省(2016)の「観光地におけるキャッシュレス決済の 普及状況に関する実態調査」で事業者による回答があります。
- 手数料が高い
- 導入をするメリットが感じられない
- そもそも客から要望がない
- 現場スタッフの対応が困難
- 導入費用が高い
- 入金まで時間がかかる
- 現金のほうが信用できる
というわけです。手数料や導入コストなどの観点でメリットを感じられていないというわけでしょう。特に問題はコストでしょうね。
最近では「カード決済を手軽、無料で導入できるSquare」でも紹介したようにモバイル決済が普及しつつあり、コスト面のハードルは多少低くなりつつあります。
前置きが長くなりましたが、実際に2018年現在でキャッシュレス生活を送ってみた感想を紹介していきます。
キャッシュレス生活を始めてみた
キャッシュレス生活を始めて、現金を一切持ち歩かずにクレジットカードや電子マネー、ポイントカード等の非現金決済だけでどれだけやれるかをためしてみました。
まず、感想として日本でのキャッシュレス決済比率は低いし、否定的な事業者も多いけど、実際の決済インフラとしてはかなり整っているといえそうです。
基本の生活費は家賃以外はクレジットカード決済ができた
まずは生活インフラ的な支出です。
- 光熱費等の公共料金(クレジットカード決済)
- スマホや光インターネットなどの通信費(クレカ払いOK)
- 新聞代(クレカ払いOK)
- 生命保険料(クレカ払いOK)
- 自動車保険料(クレカ払いOK)
- 税金の支払い(クレカ払いOK。nanaco払いがお得)
基本的にどれもクレジットカードで支払いができます。私の契約している賃貸業者に関してはクレカ払いはできませんでしたが、住信SBIネット銀行の「定額自動振込」のサービスを使えば自動振込ができるのでほぼキャッシュレスといえそうです。
日々の生活のためのお金では飲食店での支払いがネック
続いては、日々の生活で使うお金です。こちらは対応がバラバラですね。どちらかというと業種によってキャッシュレスへの対応度に温度差があります。
- コンビニエンスストア(クレカ払いOK)
- ガソリン代(クレカ払いOK)
- デパート・百貨店(クレカ払いOK)
- スーパー(クレカ払いOKとNGが偏在)
- 鉄道・電車(交通系IC)
- タクシー代(少し嫌がられそうですが)
- 飲食店(ここは分かれる……)
- 病院(ダメなところのほうが多い)
<コンビニ・ガソリンスタンド・デパート・鉄道・スーパー>
このグループはキャッシュレス決済に積極的です。
特にガソリンスタンドでは、現金払いよりもクレジットカード払いのほうが料金(ガソリン代)が優遇されることも多いのでキャッシュレス優遇です。
デパートでも各社が発行するクレジットカードを利用すれば現金よりも安く買えます。
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スーパーマーケットについてはいわゆる大手スーパーはほとんどがキャッシュレスに対応しています。クレジットカードはもちろん、電子マネー払いにも対応しています。一方で地場のスーパーではニコニコ現金払いのみOKというところもありました。
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電車についてはクレジットカード払いではなく、交通系ICカード(電子マネー)で利用できます。交通系ICもクレジットチャージ(オートチャージ)の設定にすれば、現金を使わずにチャージ可能です。
<タクシーは使える所が多いけど、いやな顔>
タクシーの場合、システム上は使えるけど、お客さん現金ないの?って言われちゃうことが何度かありました。理由は単純で、タクシーでのクレジットカード(キャッシュレス決済)は手数料は運転手さん負担となっていることが挙げられます。
手数料率も高いようで、嫌がるわと思いました。
<飲食店は温度差が大きい、チェーン店でもダメなところも>
飲食店も手数料負担を嫌って導入しないところが多いですね。
特に個人商店のようなお店だと初期コストや決済コストを嫌うようです。ただ、こちらについてはこの記事で2回目になりますが、「カード決済を手軽、無料で導入できるSquare」でも紹介したように、決済コストの低いサービスも登場しています。
数年前と比べると格段にカード決済を導入しているお店も増えています。
最近では、クレジットカード決済を頑なに導入していなかったマクドナルドがキャッシュレス決済を導入するなど、追い風ムードがあります。
<病院は小規模はダメなところが多い>
病院、特に小さなところはダメですね。大病院はクレカ払いOKが多いです。
キャッシュレス生活を送ったメリットとデメリット
スマホケースにクレジットカードを一枚入れて、交通系ICはスマホのApplePayといたような決済をすれば財布を持ち歩かなくてもいいというのは便利です。
クレジットカードのポイントが貯まりやすくなるというのメリットですね。還元率が高いカードに支払いを集約すればお得です。
また、現金を使わないことで、支出を見える化できるというのもメリットだといえそうです。MoneyFowardなどの家計簿アプリにクレジットカード、電子マネーを連携させておけば、どこで何をいくら買ったという情報がツールで一元管理できます。
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つづいてキャッシュレス生活を送って感じてみたデメリットは以下のような点でしょうか。
- カード決済になれていないお店で予想以上に時間を食った
- なんだかんだで現金は必要
色々な支払方法があるのでレジで現場が混乱することがあります。あと「iD(アイディー)」と「Edy(エディ)」を私の滑舌が悪いからなのか、何度が間違えられることがありましたね。
また、なんだかんだで現金オンリーのお店が多いので、完全なキャッシュレス生活というのは現実的ではないという状況もありますね。ただ、数年前と比べると格段にキャッシュレス生活のハードルは下がっているのは確実です。
今後、こうした動きはますます拡大していくと感じています。数年後はスマホ一台あれば現金を使わない生活を日常でおくれるようになるかもしれませんね。
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