最近では、子供自身に株式投資をさせるご家庭も増えています。また、株主優待やIPO投資のために家族で投資をしているご家庭もあるでしょう。
そんな時、親(保護者)が子供を扶養している場合、子供名義の証券口座での「税金」の扱いに注意が必要です。場合によっては税負担が数十万単位で増えてしまうこともあるからです。
今回はそんな子供名義で株取引をするときの税制上の注意点について紹介していきます。
なお、明確にこちらがおすすめというものがあるわけでなく、ケースバイケースで選ぶ必要があるところに問題があります。お子様名義の証券口座を開設しようと思っている場合は必読です。
子供の株式投資の利益と税金で考えるべきこと
子供名義の株取引で一番注意しておきたい点は「扶養控除」の存在です。
扶養控除というのは、16歳以上の子を扶養している人が利用できる所得控除です。控除額は年齢によって異なります。()内は住民税の控除額。
- 16歳~18歳:38万円(33万円)
- 19歳~22歳:63万円(45万円)
- 23歳~69歳:38万円(33万円)
子供であれば同居、別居は問いません。一般的には大学を卒業するまで(経済的に自立するまで)、親は上記の控除を受けることができるわけです。
ちなみに16歳未満の子が対象外なのは、彼らには児童手当(旧:こども手当)があるからですね。
たとえば、19歳の子供の場合は特定扶養控除として63万円(所得税)が扶養控除されます。これにより、親の所得税は仮に税率が20%とすれば126,000円も浮く計算になります。住民税も合わせれば171,000円も節税になっているわけです。
この扶養控除は通常はあまり意識することはないかもしれません。サラリーマンであれば勤務先が勝手に計算してくれてますから。
でも、金額を見たらわかる通り、かなり大きな控除です。
株の儲けが年間に38万円を超えると、親の扶養から外れてしまう
これが株取引・株式投資と何の関係があるのか?というと、株取引で38万円超の利益(所得)を子供が申告した場合、親の税法上の扶養から外れてしまうのです。
これは由々しきことですよね?
源泉徴収あり口座にすれば、いくら儲けても扶養に影響なし
一番簡単な抜け道としては、子供の株式取引口座を「特定口座(源泉徴収あり)」にしておくというものがあります。
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こうしておけば、株でいくら利益が出たとしても確定申告は不要で、親の税制上の扶養に影響を与えることはありません。いくら儲けても扶養控除が使えます。
親の扶養に入っている子供が株取引をするのであれば、源泉徴収ありにしておけば安心ですね。
多少税金が多めにかかったとしても、手続きとか面倒なことはしたくないという人は、子供口座・未成年口座については特定口座(源泉徴収あり)にしておくことをお勧めします。
なお、18歳未満の子供口座であれば、年間投資金額に制限はありますが、ジュニアNISAという非課税口座も利用できます。
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一方で、小額投資なら源泉徴収なし口座の方が税コストは低い
その一方で、単純な話にならないのは、源泉徴収なし口座の方が節税になることがあるという点です。
源泉徴収あり口座の場合、株投資で利益がでれば問答無用で20%(復興特別所得税込みで20.315%)の税金がかかります。一方で、源泉徴収なし口座の場合、一定額までは非課税とすることができるのです。
具体的には、収入がない子供の場合、年間の儲けが38万円以下であれば基礎控除とよばれる所得控除の範囲内になるので株の利益に対しても税金がかかりません。
株の配当金についても確定申告をすることで取り戻すことができる可能性が高いです。
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子供名義の口座で株取引をしているけど、実際の投資金額が小額である(年間利益が38万円をこえそうにない)のであれば特定口座(源泉徴収なし)の方がお得になる可能性があるわけです。
IPOの当選などでまとまった儲けがでるとどうしようもない
子供名義の証券口座で株取引をしている人の中には、IPO投資のために家族の協力を仰いでいるという方もいるかもしれません。
IPO銘柄の中には大きな利益が生じることもありますよね。そういった場合は、小額投資でも38万円以上の利益が発生する可能性があります。
源泉徴収あり、源泉徴収なしの切り替え手続きは年1回(最初の取引前)まで可能です。
もしも、源泉徴収なしにしている口座でIPOが当選し、売却(利益確定)をすると38万円以上の利益が出てしまう場合は扶養から外れることを覚悟しなければなりません。
もっとも、株の利益は実現主義(実際に売って利益確定した段階で課税)なので、売らずにそのままホールドしておき、翌年に源泉徴収ありに切り替えをしてから利益確定すれば扶養控除に影響しません。
子供がアルバイトをしており65万円以上の収入があれば合算
子供がアルバイトをしている場合は要注意です。
アルバイト収入が1月1日~12月31日までの間に65万円を超えている場合、超えた金額分は所得として加算されます。たとえば年に80万円のアルバイト収入があり、かつ株取引で25万円の利益があった場合の所得は以下のようになります。
80万円(バイト収入)-65万円(給与所得控除)+25万円(株利益)=40万円
結果として、扶養控除を受けられる条件である「所得38万円以下」をこえることになり、親は扶養控除を使えなくなります。
子供のアルバイトと扶養控除については以下記事もご参照ください。
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子供の証券口座と税金のお話でした
最近は、お子様自身に株取引をさせているケースも多いようですし、記事途中で書いたようにIPO投資のための抽選口数アップや、株主優待投資のための口数増やしを目的に利用している方もいらっしゃいます。
厳密に投資を管理できるのであれば、源泉徴収なし口座を活用するほうが税金をよりオトクにすることができます。
一方で、予想外の利益が出てしまったというような場合は、扶養控除の対象外になってしまうリスクがあります。
心配な方は「特定口座(源泉徴収あり)」にしておきたいところですね。
ちなみに、ご家庭によっては専業主婦(夫)が投資をされているケースもあると思います。その場合、子とはまた少し違った計算になります。詳しくは以下の記事をご参照ください。
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