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中小企業の企業型確定拠出年金の導入方法とメリット、デメリット

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個人向け確定拠出年金(iDeCo:イデコ)が人気です。

その一方でもう一つの確定拠出年金制度として企業型確定拠出年金があります。こちらは法人単位で利用する企業年金となっており、個人型とは別に、また両立して利用することができる制度です。

もしも、あなたが会社経営者であれば、この企業型確定拠出年金を導入するというのは会社にとっても、社長個人にとってもよい節税対策となる可能性があります。

自社に導入することをどう思われるでしょうか?今回は中小企業が企業型確定拠出年金を導入する方法やそのメリット、デメリットを紹介していきます。

中小企業でも企業型確定拠出年金は導入できる

企業型確定拠出年金は証券会社や銀行などを通じて申し込みや利用を行います。

極端な話ですが、社長一人しかいない会社でも企業型確定拠出年金は導入することができるようになっています。ただし、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入するように申し込みだけで即完了といったものではありません。やはりある程度の初期費用や事務手続きは必要になります。

手続きとしては、企業の規模によって変わってきます。

  1. 企業型確定拠出年金をサポートする会社に申し込み
  2. 従業員への説明、従業員代表(または労働組合院長)の同意
  3. 地方厚生局への制度導入申請
  4. 加入者情報や掛け金の登録
  5. 拠出・運用開始

という流れになります。

 

企業型確定拠出年金を導入するのにかかる費用

以下はSBI証券系のSBIベネフィットシステムの企業型確定拠出年金の制度運営費です。

<初期費用>

  • 導入一時金:10万円
  • 口座開設手数料:3,000円/加入者1名

<運営コスト>

  • 事業主手数料:5,000円/月額
  • 加入者手数料:300円/加入者1名
  • 資産管理手数料:残高に対して年率0.05%~0.1%
  • 収納代行手数料:300円/月

基本的にかかる費用はこれだけです。ちなみに、費用はすべて企業負担で行え、損金(経費)として計上することができます。運営コスト(ランニングコスト)を合計すると

  • 加入者1名:6万7200円+資産管理手数料(100万円あたり1千円)
  • 加入者10名:9万9600円+資産管理手数料
  • 加入者20名:13万5600円+資産管理手数料
  • 加入者30名:17万1600円+資産管理手数料

ということになります。加入者が増えるほど1名あたりの費用は小さくなりますね。

 

企業型確定拠出年金を導入するメリット、デメリット

  • 企業年金制度導入で対外PR効果アップ
  • 選択制確定拠出年金なら企業の追加コストなし
  • ランニングコストはかかるけど、社会保険料の節約効果で相殺も可能

 

企業年金制度導入で対外PR効果アップ

企業型確定拠出年金は、公的年金制度における3階部分にあたる年金となります。一般的に企業年金がある会社というのはそこそこの規模の会社が多く、福利厚生が充実していると判断されることも多いはずです。

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新卒採用などをしたい、外部に福利厚生が充実していることをPRしたいという場合は有効な手段といえるでしょう。

 

選択制確定拠出年金なら企業の追加コストなし

でも、企業年金(企業型確定拠出年金)を導入するとなると掛け金負担が気になる方も多いと思います。この場合も選択制確定拠出年金なら負担はありません。

選択制確定拠出年金は、従業員の給与を減額し、その減額分を「生涯設計手当」とし、その生涯設計手当は従業員が今現金として受け取ってもいいし、確定拠出年金の掛け金とするのもよいという仕組みです(もちろん、増額しても可)。

従業員にとっては財形貯蓄のようなイメージになります。自分で自分の退職金を用意するイメージになります。退職金として受け取る場合は「退職所得控除」が利用できるため、毎月の給料として受け取るよりも従業員も節税となります。

また、社会保険料の節約効果もあります。ざっくりですが、2万円の掛け金を毎月拠出すると社会保険料を年間で36,000円の保険料を節約できます。企業側の負担は少なく企業型確定拠出年金を導入することができます。

従業員目線で、自社が選択制確定拠出年金を用意している場合の加入是非については以下の記事も参考にしてください。

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ランニングコストはかかるけど、全額損金&社会保険料の節約効果

企業型確定拠出年金は前述のように初期費用、ならびにランニング費用が発生します。ただし、このコストはすべて損金計上をすることができ、法人税等の節税となります。

また、これだけでなく掛け金に対する社会保険料の節約効果もあります。

従業員の社会保険料は従業員と会社が半々を負担しています。現在の社会保険料率は労使合計で30%ほどになっています(会社負担15%)。仮に、従業員が20名の会社で企業型確定拠出年金を選択制で用意したとしましょう。

そして従業員が平均掛け金2万円を拠出したとします。この場合、2万円×15%(社会保険料)×20名×12か月=72万円もの会社負担の社会保険料を節約できることになります。

 

一人法人(家族経営法人)で企業型確定拠出年金を導入する価値

自分自身の資産管理会社や家族経営の会社で、会社の利益を減らしつつ、個人への税負担も最小化したいというニーズがある方が多いでしょう。そうした方にとって企業型確定拠出年金導入はメリットがあるケースがあります。

<メリット>

  • 掛け金は全額損金になる
  • 月額上限55,000円とイデコよりも大きい(iDeCoも併用できる)
  • 運用諸経費も損金計上できる
  • 社会保険料の節約になる

<デメリット>

  • 初期費用(10万円)や月額コスト(5,000円)は個人と比較すると高め

と、こんな感じになります。メリット、デメリットがありますね。

 

個人型確定拠出年金(イデコ)と企業型確定拠出年金を比較

仮に一人社長のケースだとして、個人型確定拠出年金(イデコ)と企業型確定拠出年金を比較すると、企業型は月額上限が大きいです。また、実質的には給与(役員報酬)ですが、社会保険料計算前に差し引けるため、健康保険料の節約効果があります。

社長の場合、社会保険料の会社負担分も考えると報酬の約30%です。厚生年金保険料は将来もらえるから別として、健康保険だけでも10~11%程度の保険料を労使で負担しています。

上限掛け金(5.5万円)で加入した場合、健康保険料だけを考慮しても66万円×10%=6.6万円の健康保険料を節約することができるわけです。これは社会保険料計算前に控除できる企業型確定拠出年金独自のメリットだといえます。

 

一人でも企業型確定拠出年金に加入する価値はあるか?

冒頭にも書きましたが、加入者1名のケースでの維持費は「6万7200円+資産管理手数料(100万円あたり1千円)」なので社長1名しか加入しないという場合でも、ランニングコストは社会保険料の節約効果だけもほぼペイできることになります。

すごくメリットがあるといえるレベルではありませんが、導入できないこともないレベルといえるでしょう。

夫婦など家族を加入者とすれば効果は2倍、3倍となりますので家族経営の小さな会社でも企業型確定拠出年金の導入にはメリットがあると考えられます。

 

企業型確定拠出年金の導入について

ネット証券の最大手であるSBI証券がおすすめです。SBI証券は個人型確定拠出年金のサービスでも有力ですが、企業型確定拠出年金の導入サポートも行っています。

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以上、中小企業の企業型確定拠出年金の導入方法とメリット、デメリットについてまとめてみました。