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出産と育児でもらえる出産手当金と出産育児一時金、育児休業給付金の基本

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work子供を授かったとしても、そのまま働き続けたいと考える方は多いことかと思います。その一方で、出産したら、専業主婦になると考えている方もいらっしゃるかもしれません。産休、出産、育児といったタイミングでは健康保険や雇用保険などから色々な手当・給付金がでます。

こうした手当などは大企業じゃないともらえないというイメージを持った方も多いかもしれませんが、多くの場合、中小企業であっても給付を受けることができます。上手に制度を活用しましょう。

産休・出産・育児でもらえる手当・給付金の基本

妊娠して産休、出産、育児の各タイミングで「出産手当金」「出産育児一時金」「育児休業給付金」の3種類があります。なお、それぞれの手当や給付金は支給してくれるところ(給付元)が違いますので、あなたの雇用されている条件によっては受け取れない場合があります。

まとめると以下のようになります。少し複雑ですね。

給付元・受給資格 内容
出産手当金
(産前産後休暇)
健康保険 社会保険に加入している女性が受け取ることができる手当金です。
産前休暇、産後休暇のお休みの間のお給料を手当てしてくれる手当金となります。健康保険の“標準報酬月額の2/3”を受け取ることができます。
出産育児一時金 健康保険・国民健康保険 健康保険に加入している人すべてが受け取ることができる一時金です。健康保険または国民健康保険に加入している人が受け取ることができます。1児あたり42万円(一律)です。
なお、本人ではなく、配偶者の健康保険から給付される場合は家族出産育児一時金と呼ばれます。
育児休業給付金 雇用保険 産後(8週間・56日)を経過したのちで、1歳にみたない子どもを養育する男女労働者(雇用保険加入者)が受け取れる給付金です。条件は雇用保険加入なので、パートやアルバイトの方でも週20時間以上働いているなら利用できる制度です。

 

出産手当金(産前休暇・産後休暇中の手当)

産休中に受けられる手当で、健康保険制度から支払われます。会社勤めをしている方で、社会保険に加入している必要があります。

会社勤めをしている方でも社会保険未加入の方は出産手当金を受け取ることができません。正社員という働き方をしている場合はまず加入しています。アルバイトやパート労働の場合は条件によります。詳しくは「パート・アルバイトにおける社会保険加入の基本」でもまとめています。

なお、社会保険に加入していない個人事業主の方や社会保険の適用除外となる個人事業主の下で働いている方などはこちらの手当金は受給できません。

 

出産手当金の支給条件と支給金額

出産手当金は出産日(出産が予定日より後になった場合は、出産予定日)の42日前(多胎妊娠の場合は98日)から出産日の翌日以降56日までの範囲内で、会社を休み給与の支払いがなかった期間を対象として標準報酬月額の2/3が支払われます。

ちなみに、産後(出産の翌日)から8週間は就労が原則として禁止されています(労働基準法)。

 

手続きのタイミング

手続きは産前でも可能ですが、出産日が確定しないと産後の給付期間の算定が出来ないため、産前に手続きするのであれば「産前」「産後」の2回の手続きが必要になります。多くの方は「産後」に手続きを開始する方が多いです。会社にも記入してもらう項目があります。

 

出産育児一時金

一時金で1児あたり42万円が支給されます。

なお給付は「健康保険(社会保険)」「国民健康保険」のどちらも同じ制度があります。本人(あるいは配偶者)が社会保険被保険者の場合は健康保険制度から給付されます。

日本は国民皆保険制度を採用しているため、どちらにも加入していないという人はいませんので、出産育児一時期はすべての人が受け取ることができる給付金となっています

自営業やパートなどで国民健康保険に加入している場合は国保から支給されます。なお、重複して出産育児一時金を受け取ることはできません。

なお、妊娠や出産にかかる医療費については医療費控除の対象となりますが、出産育児一時金については、医療費控除を計算する際には医療費から差し引く必要があります。

医療費控除については「医療費控除による還付金のしくみと申請・申告のやり方」もご参照ください。

 

出産育児一時金は直接払い制度が利用できる

出産費用(分娩費用+入院費用)については原則としては自分が先に負担しておいて、後から請求するというのが基本になります。一方で費用が高額となりやすいことから直接払い制度が利用可能です。

直接払い制度を利用すれば出産育児一時金は産院に対して直接支払われます。退院時に42万円以上かかっていればその分を支払い、42万円未満であれば差額を受け取れます。

 

クレジットカード対応の産院ならカード払いもおすすめ

産院(病院)がクレジットカード払いに対応しているという前提ですが、この場合は直接払い制度を使わずにカード払いした方がお得です。たとば42万円の費用がかかったとすると、ポイント還元率が1%のクレジットカードで支払えば4200円分のポイントが付くということになります。

42万円分は後日健康保険から戻ってくるということを考えると、その分お得ということになりますね。

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ただし、一部の病院では出産育児一時金の直接払い制度を利用しない場合、証明書発行費用として文書料として1000円~2000円程度を請求するケースもあるようなので出産予定の病院に確認しておきましょう。

 

育児休業給付金(育児休業期間中にもらえるお金)

育児休業とは、産後の休暇期間(8週間・56日)経過後に、1歳に満たない子どもを養育する男女労働者に適用される制度となっています。

ただし、保育園への入園を希望しているが満員で入れない場合、1歳以降に養育を予定していた者が養育できなくなってしまった場合などは1歳6カ月まで育児休業を延長することができます。

この育児休業中にもらえる給付金が「育児休業給付金」となります。こちらは上記2つと異なり「雇用保険制度」から支給されます。育休を開始して最初の半年は仕事を休む前の賃金額の3分の2、それ以降は半分を受け取ることができます。

育児休業給付金を受け取るには「雇用保険に加入していること」が条件となります。なので、雇用保険に加入していない自営業の方や、週20時間未満のパート労働の場合、あるいは経営者については支給対象外となります。

言い換えれば、正社員ではないアルバイトやパートであっても週20時間の条件さえ満たしていれば育児休業給付金は受け取れます。また、妻が条件を満たしていない場合でも、夫が雇用保険に加入しており、育児休業をすれば夫が給付金を受け取れます。

ちなみに、夫婦がともに育児休業を取得することも可能です。

 

育児休業給付金の受給条件

育児休業給付金については受給にあたっては条件があり、育児休暇を取らずに退職する人、育児休暇後に退職の予定がある人、育児休暇をそもそも取得しない人(復職する人)などは受給することができません。

なお、育児休業は「男女労働者」に認められている制度ですので、妻ではなく夫が育児休業(休暇)を取得して給付金を受けることもできます。また、どちらか一方ということではなく、夫婦で取得することもできます。

比較的条件が色々ありますが、長期にわたって給付されますので、出産後も働く予定である人はしっかりとこうした制度の活用も含めて考えておきましょう。

 

育児休業給付金を貰っているけど復職しなかった場合

育児休業給付金は復職が前提の制度となっています。
ただ、そもそも復職しない前提なら別ですが、結果的に復職しなかったからといって、給付金を返金するといった必要はありません。制度的にはザルに見えますが、子育てをする人が安心して働くことがでいる社会を作るための給付金制度だからでしょう。

会社を辞めるというのは労働者の権利でもあるわけです。ただ、休業給付金が切れるギリギリになって、会社辞めます(復職しません)と会社に伝えることにはなるわけなので、会社側にはわかってしまうかもしれませんが……。

 

まとめ。出産・育児の保障は働きかたで異なる

出産や産後における補助金や助成金、給付金の類は働きかたで随分と変わってきます。

以下は夫がサラリーマン(第2号被保険者・社会保険加入)としたときの妻の働きかたによる受け取れる手当、給付金や一時金の種類です。

社員として社会保険に加入しているケースがもっとも充実した手当を受けることができます。

出産手当金 出産育児一時金 育児休業給付金
専業主婦 × 〇(夫) △(夫のみ可能)
パート主婦(週20時間未満) × 〇(夫)
パート主婦(週20時間以上) × 〇(夫) 〇(夫婦で取得可能)
社員(社会保険加入) 〇(妻) 〇(夫婦で取得可能)

規模の大きな会社や加入する健康保険組合によってはさらに個別の給付・手当が設けられている場合があります。

 

自営業者や経営者は不利……

フリーランスや個人事業主の社会的なセーフティーネットの小ささを感じることの大きなイベントとして妊娠と出産があります。特にこれから子供を作ろうと考えている若い夫婦世帯で会社員からの独立を考えているは場合はこの記事を熟読してください。

妊娠・出産に関する金銭的なサポートについて会社員と自営業(フリーランス)とでは天と地ほどの差があります。現在、会社員かつこれから家族計画がある女性の方で、独立やフリーランスになろうとしている方は注意が必要です。

 

自営業者は「出産手当金」と「育児休業給付金」が受けられない

(1)出産手当金(産前産後休暇手当)
(2)出産育児一時金
(3)育児休業給付金

サラリーマン(会社員)の場合はこの3つのすべてを受給できますが、自営業の場合は(2)の出産育児一時金の42万円だけしか受け取ることができません。

個人事業主やその妻は使用者ですので雇用保険に加入できません。また、法人化した経営者(やその家族)も同様です。法人の場合でも経営者(使用者)は雇用保険に加入できませんので、育児休業給付金は取得できません。

一方で妻がフリーランスで夫が会社員という場合、夫は雇用保険加入者となりますので、夫だけはこちらの制度を利用することができます。

出産手当金と育児休業給付金が使えないのは金銭的にきつい!

働いている女性で出産を経験し「出産手当金と育児休業給付金」を受け取った方は分かると思いますが、産前産後の自分自身も育児においても厳し時期に金銭的なサポートをかなり受けられるのは非常にありがたいことです。

これが個人事業主の妻であれば1円も出ないわけです。これは結構厳しいですよ。

いや、専業主婦が出産する場合も一緒じゃん!という話もあるかもしれませんが、ご主人が会社勤めをしていれば、旦那さんが育児休業給付金を受けることはできます。

また、自営業の場合で、主産をする妻自身が重要な労働力をになっているようなケースでは妻が働けないことが収入の減少につながってしまうケースも多いことでしょう。

自営業の配偶者は出産するつもりなら会社勤めするべき?

自営業やフリーランスなどで片方が働く場合、もう片方の配偶者は可能であれば社会保険等に加入できる勤め人としての働き口を見つけておくと出産の際には強い味方となってくれるはずです。

今回紹介した出産系の給付金と個人事業主以外にも、社会保障制度はサラリーマン(会社員)とその家族を前提とした給付が多く、個人事業主やフリーランスといった働き方は対象外になっているものが多いです。

たとえば、傷病手当金もありません。また、年金も国民年金のみとなりますので自助努力がないと老後の年金も不安です。

さらに言えば、現役中に障害を負った場合や死亡した場合の障害年金や遺族年金も厚生年金加入のサラリーマンより劣ります。

そのため、会社員をやめて自営業やフリーランスで働く場合は、そうした社会保障給付の面では弱者になるという事を理解しておく必要があります。

以上、出産と育児でもらえる産休手当と育児手当の基本を紹介しました。