株式投資で株主になると会社から配当金が出されることがあります。この配当金はどのようにして受け取ることができるのでしょうか?記事のタイトルにもしていますが、この配当金の受け取り方法は全部で4種類あり、投資家が自由に選ぶことができるようになっています。
株式数比例配分方式・登録配当金受領口座方式・配当金受領証方式・個別銘柄指定方式の4つです。漢字が並んで難しそうに見えますが、内容自体は単純ですし、選び方も簡単です。
ちなみに、2014年からスタートしたNISAについては特定の受領方法を選択しないと、非課税メリットが受けられなくなるという問題もあります。今回はそんな株式配当金の受領方法とそれぞれの特徴、メリット、デメリットなどを詳しくまとめていきたいと思います。
株式配当金の受領方法は大きく4種類
配当金の受け取り方法は大きく4種類あります。まずはそれぞれ、どんな方法があるのかをみていきましょう。
株式数比例配分方式 | それぞれの株を保有している証券会社の口座に保有株に応じて受け取る方法 | |
---|---|---|
登録配当金受領口座方式 | すべての会社の配当金を一つの金融機関(銀行)の口座で受け取る方法 | |
従来方式 | 配当金受領証方式 | 配当金領収証が自宅に送付され、それと引き換えに郵便局で受け取る方法 |
個別銘柄指定方式 | 発行会社に対して銘柄ごとに指定した銀行口座で受け取る方法 |
ただ、この4つのうち従来方式としている2つは株券が電子化される前に利用されていた古い方法で、現在はこの方法を利用する価値はほとんどありません。
なので、実質的に利用するとすれば株式数比例配分方式か登録配当金受領口座方式の二つが選択肢になるかと思います。この比較は後ほどするとしてまずは、従来方式について簡単に説明していきます。
従来方式(配当金受領証方式)
株の配当金の受け取り方としてはかつて最も代表的だった方法です。配当金を出した会社(を管理する信託銀行)から配当金受領証と呼ばれる書類が郵送で送られてきて、それをもって郵便局の窓口に行って現金化するという方法です。
わざわざ郵便局までいかないといけないので手間がかかります。さらに、換金できる期限があるので、期限切れになったら信託銀行に連絡して……と何かと手間のかかる方法でした。
従来方式(個別銘柄指定方式)
比較的新しく登場した方法です。証券会社に預けている銘柄ごとにその配当金を受領する銀行口座を指定します。指示された銘柄ごとに金融機関を変更することもできます。わざわざ郵便局に行かなくてもよいという画期的な方法でしたが、銘柄ごとに手続きをする必要があるという面倒さがあります。
また、2009年(平成21年)に株券が電子化され、それによって銀行への振り込みがもっと簡単になる方法が登場したため、こちらの方法もすたれています。
株式数比例配分方式と登録配当金受領口座方式の比較
現在の上場企業の配当金の受領方法についてはこちらの「株式比例配分方式」か「登録配当金受領口座方式」の二つが主流となっています。証券保管振替機構(ほふり)と呼ばれる期間を通じて電子化された上場企業の株主は管理されており、そのシステムを利用して配当金を受け取ることができます。
株式数比例配分方式 | 登録配当金受領口座方式 | |
---|---|---|
どこで受け取れる? | 株を預けている証券口座 | 銀行口座 |
複数の証券会社で同一銘柄保有 | 証券口座に保有株に応じて配当 | 指定の銀行口座にまとめて配当 |
譲渡損失と配当所得の損益通算 | 同一証券口座内で自動で損益通算 (源泉徴収ありの場合) |
確定申告が必要 |
NISA口座 | 対応 | 配当金の非課税に対応できない(課税される) |
上記の比較表を見ていただくとわかるかと思いますが、違いを見比べると「株式数比例配分方式」の方が何かとお勧めできます。
どこで配当金を受け取るかの違い
まず、小さな違いでいうと、配当金をそれぞれの証券会社に預けている保有株数に応じて証券口座で受け取るか?それともまとめて一つの銀行口座で受け取るか?ということになります。
取引している証券会社が一社しかないのであれば、証券口座で受け取るか、銀行口座で受け取るかの違いということになりますね。
これは正直どちらでもよいかなーと思います。ただ、「ケチ?戦略?楽天銀行の株式配当金受取プログラムと端株取引」で紹介した楽天銀行の銀行口座で配当金を受け取った場合、1件あたり10円が貰えるというプログラムがあるので、それを活用すると考えたら、登録配当金受領口座方式のほうがいいかもしませんね。
株の損失と配当金の損益通算ができるかどうかの違い?
2017年現在、株や投資信託の売買による譲渡損益と、株の配当金や投資信託の収益分配金については損益通算が可能です。損益通算とはそれぞれで損失と利益が出た場合はそれを合計することができるというものです。
損益 | 税金 | |
---|---|---|
株の損失だけの税金 | -10万円 | 0円 |
配当金だけの税金 | 20万円 | 4万円 |
損益通算後の税金 | (-10万円)+20万円=10万円 | 2万円 |
※税率は20%としています。
このように、株の売買で損が出た場合、その損失を配当金の利益と通算することで、税金を安くすることができます。
このこと自体は「確定申告」をすれば誰でも利用することができるのですが、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」としており、特定口座の税金の支払い方法を「源泉徴収あり」としていた場合には自動的に株の損益と配当金とを損益通算してくれるという仕組みになっています。
「登録配当金受領口座方式」を利用している場合でも最終的に確定申告をすれば損益通算は可能になるわけですが、そうした手続きを省略できるのが株式数比例配分方式のメリットといえそうです。
なお、株の税金の支払い方法は特定口座利用の場合、「源泉徴収あり(確定申告不要)」と「源泉徴収なし(利益が出たら要確定申告)」の2種類があり、人によってどちらを選ぶべきか変わってきます。この点については「株の特定口座「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の比較。どちらを選ぶべき?」の記事でもっと詳しくまとめているのでこちらをご一読ください。
NISAを利用しているなら絶対に「株式数比例配分方式」
いろいろ書きましたが、もしもあなたがNISA(小額投資非課税制度)を利用して株を買っているなら、選択の余地はありません。必ず株式数比例配分方式を選択するようにしましょう。
なぜなら、登録配当金受領口座方式を選択してしまうと、配当金が非課税になりません。
えー、NISAって配当金も非課税なんじゃないの?という話になりますが、登録配当金受領口座方式だとダメなんです。
理由としては登録配当金受領口座方式の場合、NISA口座で買った株も、一般の口座で買った株も一緒に扱われて銀行口座に振り込まれるという手順になるため、どれがNISA分かわからずに対応できないそうです。
ちなみに、後から気づいても後の祭りです。あとから申請すれば戻ってくるということもありません。
参考:NISA口座で買った株の配当金に税金がかかっていると言う人が多発。原因は何?
1社で手続きをすると全部変わるのでご注意ください
最後に手続き上の注意点として、この配当金の受け取り方法は、複数の証券会社で取引している場合でも一つしか利用できないということです。
たとえばSBI証券では株式数比例配分方式、楽天証券では登録配当金受領口座方式といったように異なる方法を別々に採用することはできません。別々の証券会社に申し込みをしたとしても、後から申し込みをしたほうが優先されて登録されます。
この点は、特にNISA口座を利用している方はご注意くださいね。
以上、株の配当金の4つの受け取り方法とその違いを比較してみました。
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