純金積立とは、毎月一定の金額を拠出して純金(ゴールド)を購入して積み立てていくという運用方法です。純金という実物資産を少額の資金からでも購入することができる運用サービスになっています。貴金属の販売会社や一部の銀行などが純金積み立てサービスとして提供しています。
今回はそんな純金積立について、サービスを利用するメリット、デメリットを分かりやすくまとめていきます。
まず、純金を買うというのはどういうことか?
純金(ゴールド)を買うというのは、実物資産への投資です。
黄金は古来から富の象徴であり、それ自身が価値を持っています。宝物といえば黄金や金の延べ棒を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
金はそれ自身が価値を持つ資産である
宝飾品としてはもちろん、腐食しない、錆びないといった価値の保存性も高いことから、かつては「金本位制(きんほんいせい)」といって黄金をベースに通貨(紙幣)が管理されていたほどです。
今では通貨に対しての金本位制は崩れていますが、有事の金といって戦争などの大きな環境変動時には金に資金が流れることは多々あります。
一方で、金はそれを保有していても富を新たに生み出すことはない
金(黄金)はどれほど持っていたとしても、それ自身が利息や分配金などの収益を生みだすことはありません。
たとえば、株式投資であれば投資したお金は会社の事業のために使われて、それにより収益を生み出し、配当金など形で投資家に対して還元されます。
一方で、金100グラムはいつになっても100グラムのままです。来年になったら102グラムに増えるということはありません。
もちろん、金の価格は相場によって変動するので金価格の変動によって利益を得ることはあります(損をすることもあります)。ただ、純金(金)自身がなんらかの収益を生みだしていくようなものではないということを理解しておく必要があります。
この部分が純金投資のもっとも大きなデメリットといえるところでしょう。
時々、金に投資して〇%の利回りといった話がでることがありますが、この手の話は大抵が詐欺に近いお話だと思います。
純金を投資目的に買うメリットは何なのか?
前述の通り、金というのは希少価値があります。宝飾品としてはもちろんですが、工業的な面でも需要があります。金というものはそれ自身が価値を持っているわけです。
そのため、金に投資をして儲けるというよりも、資産の一部を金として保有することによって資産を守るということができる安全資産といえます。
投資で殖やすというよりも「守る」ことを目的とする商品です。
日本という国のリスクから逃れられる
それと比較して「日本円」というお金(通貨)は、それ自身には裏付けとなるような価値がありません。1万円札は日銀(日本国)がその価値を保証しているから価値があるわけです。もしも国が崩壊するようなことがあれば1万円という紙幣はただの紙切れです。
日本の国が何らかの形でボロボロになったら、日本円の価値は下がり、大幅な円安となるでしょう。となると外国から入っている来るもの(輸入品)の価格は大幅に上昇してすさまじいインフレとなってしまい、円という資産を持っているだけのポートフォリオでは、家計資産の価値が大幅に下落してしまいます。
今のところ普遍的な価値をもっている金(純金)を保有するというのは、そうしたリスクから逃れるという意味で資産分散の意味で価値があります。
世界的な不況や戦争などのリスクにも強い
単純に日本のリスクに備えるというだけなら「米ドル」「ユーロ」といった外貨資産を持っていれば大丈夫ということになります。その一方で政変や経済ショック、戦争、大災害などの際に、日本だけでなく世界的に大きなダメージを受けてしまうことも考えられます。
そうした際には普遍的な価値をもっている純金(ゴールド)を持っていることはそうしたリスクのヘッジ(回避)に役立つと考えることができるでしょう。
このように、純金投資は自分の資産を守るということに強みがあるわけです。
純金積立とは何か?
さて、表題の純金積立ですが、これは純金を毎月一定の金額で積み立てながら購入してくというものです。たとえば、毎月1000円分ずつ金を買っていくというやり方です。
金の販売会社によるサービスが中心ですが、最近では銀行などでもこうしたサービスを行うようになっています。純金はそれ自体が金額が高いためまとめて購入するのは大変なのでこのように毎月少額からの積み立てができるサービスがあるのです。
小額から金に投資ができる
金の現物や金貨(地金型金貨)を直接買おうとすると結構いいお値段がします。数十万といった金額になってきます。
一方で純金積立であれば毎月1,000円、10,000円といった小額から投資をすることができます。
純金積立ならドルコスト平均法での投資ができます。
純金(ゴールド)の価格は相場によって変動しますが、毎月一定額ずつを購入することで「ドルコスト平均法(定額投資法)」によって平均取得価格を引き下げることができ、高値掴みをするリスクを小さくすることができます。
ドルコスト平均法による投資は、短期間での価格変動で大儲けするといったことが逆にできなくなります。
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ただし、そもそもの純金投資の大きな意味は、価格上昇で儲けることというよりも大きな経済変動、政治の変動があったとしても、自分の保有する資産を守るという目的が大きいので、短期的な利幅を取ろうと考えるよりも長期的に平均取得価格を引き下げるようなドルコスト平均法投資の方があっているとは私は思います。
純金積立のサービスを選ぶポイント
では、純金積立を始めてみようと思ったとして、どのように業者を選べばよいのでしょうか。
積立投資を考えるうえでの比較すべきポイントを2つ挙げていきます。
1)手数料、やっぱりこれが最重要
一番大切なのはやはりコストです。
手数料は投資の効率を確実に引き下げるマイナス要因ですから、できるだけ低コストで投資ができるということは大変重要です。
場合によっては年会費や保管料などがかかるケースもありますのでご注意ください。
2)地金や金貨として引き出せることも重要
純金積立をして買った金を現物転換請求や金貨として引き出しができることも重要です。投資した分を金地金や金貨などの金現物と交換することができるということです。
もちろん、現物化する必要はないのですが、金には所有すること自体にも価値があるとされているので、金の現物が欲しくなった時にそのまま金として引き出せるというのは重要な要素といえるでしょう。
純金積立サービス比較
純金積立のサービスを個人投資家向けに提供している会社を比較していきます。
大きく証券会社と貴金属販売会社が純金積み立てのサービスを行っています。
コスト面で見ると証券会社が有利。一方で地金としての引き出しというサービスで見ると貴金属店のほうが有利です。
手数料の差はかなり大きいですので、基本は証券会社を選択するのが無難でしょう
業者名 | 手数料(買付手数料・税別) | 最低投資価格 | 地金として引き出し |
---|---|---|---|
SBI証券 | 手数料:2.0% 年会費:無料 |
1000円 | 1000g単位で引出が可能 |
マネックス証券 | 手数料:2.5% 年会費:無料 |
1000円 | 100gまたは1000g単位で可能 |
楽天証券 | 手数料:2.5% 年会費:無料 |
1000円 | 不可 |
三菱マテリアル | 手数料:3.0% 年会費:800円/年 |
3000円 | 5g以上から地金引き出しが可能です |
田中貴金属工業 | 手数料:5.0% 年会費:無料 |
3000円 | 5g以上から引き出し可能です。金貨としての引き出しも対応 |
コスト的に見れば、SBI証券の純金積立が手数料も安く、地金引出も可能と魅力的です。
SBI証券 最も低コストで純金積立が可能
国内最大のネット証券であるSBI証券は2017年7月3日よりサービスを開始しました。手数料は2%(税別)と最安です。最低投資は1000円からで、地金としての引き出しも可能です。プラチナ投資や銀投資も可能です。
投資においてもっとも重要であるコスト(手数料)が最安というのが一番魅力的な部分です。
ネット証券の中では口座数も最多で規模も十分という点も安心できます。
積立投資以外にスポットでも購入が可能です。ほぼ24時間のリアルタイム取引も可能になっています。
なお、SBI証券は金・プラチナ投資でTポイントがもらえる金・プラチナマイレージというポイントサービスも行っています。
マネックス証券(マネックス・ゴールド)
マネックス証券はSBI証券に手数料で2.5%とやや負けていますが純金積立が可能です。金、プラチナ以外に、シルバー(純銀)への投資もできるのが特徴です。SBI証券同様に現物の引き出しが可能です(プラチナ、純銀の引き出しはできません)。
なお、純金の引き出しについては100gバーで6000円の手数料+2000円の送料がかかります。
田中貴金属の純金積立
月々3,000円からの積立投資が可能です。手数料率は5%とネット証券と比較すると高いです。一方で引出が容易という点が魅力です。
ネット証券の場合100g~1000gほどにならないと引出ができません。100gだと今のお値段で60万円くらい必要ですし、1000gだと600万円分ほどになります。
田中貴金属の場合は5g以上からと少量からの引出が可能で、希望すればコイン(金貨)として引出も可能だったりします。
ちなみに、純金に投資をするという運用方法は純金の積立という方法以外にも方法があります。
それぞれの特徴については「純金(ゴールド)へ投資をする方法とそれぞれの特徴、メリット・デメリットを比較」の記事でまとめておりますのでこちらも御覧ください。
以上、純金積立で金を買うメリットとデメリットと純金積立サービスを比較してみました。
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