賃貸のお部屋を借りる時、契約の形態に「定期借家契約」と「普通借家契約」という二種類があるのをご存じでしょうか?実際のところ、賃貸住宅の多くは普通借家契約で定期借家契約は全体の1割にも満たない割合でしかありませんが、普通の賃貸の契約とは異なる点がいくつかあります。
今回はこの定期借家契約となっている賃貸住宅、マンションなどを借りる時の注意点やメリット、デメリットを分かりやすく紹介していきます。
定期借家契約とは?
ちなみに、定期借家契約は平成12年3月1日より施行された定期借家法によって認められた比較的新しい賃貸契約の種類となります。貸主と借主とが対等な立場で契約期間・家賃を定める契約とされています。
まず、定期借家契約とはどのようなものなのか?一般的な普通借家契約との違いをもとにまとめていきます。
定期借家契約 | 普通借家契約 | |
---|---|---|
契約期間 | 1年未満の契約も有効。超長期の契約も可能 | 通常1年未満の契約はない |
更新 | 期間満了で終了。ただし、双方合意すれば再契約は可能。期間満了で更新しない場合は6か月前までに更新しない旨を伝える必要がある。 | 正当な理由が無ければ更新 |
賃料改定 | 特約によって定める | 増減の請求が可能 |
中途解約 | 一定の条件を満たした居住用の建物はやむを得ない事情があれば認められる。それ以外のケースは中途解約に関する特約に従う | 中途解約に関する特約があればその特約に従う |
契約締結 | 公正証書等の書面での契約が必要。期間満了とともに契約が終了することを借主に説明する必要がある | 口頭でも可(ただし、実際には契約書が交わされます) |
読んでいただくとわかるかと思いますが、かなり大家さん(貸主)にとって有利になっていることが分かるでしょう。特に注意するべき項目は下記の項目です。
最大のデメリットは契約期間が終了したら退去を拒めない点
普通借家契約では、契約期間満了後であっても基本的に重大な問題が無い限り、大家さんは借り手の契約更新の要望を断れません。
一方で、定期借家契約の場合は、大家さんがYesと言わない限り、借り手は期間が過ぎたら借りているマンション(アパート)を出ていく必要があります。これが大きな違いです。
たとえば、3年の定期借家契約を組んだ場合、3年後の契約更新時にもう一度再契約(更新)をしたいという場合であっても、大家さんサイドがそれを拒否した場合は退去しなくてはなりません。
本当はあと1年住みたかったのに……という場合でも契約が更新されなければ退去せざるを得ません。
ただ、大家さんサイドがOKであれば契約更新はもちろん可能です。
また、突然出て行ってくれという話になるわけではなく、更新しない場合には半年前までには契約を更新しない旨の通知が届きます(1年以上の契約の場合)。
定期借家契約のメリットはないの?
いいえ、メリットももちろんあります。
大きく「家賃面」「建物の質・グレード面」に魅力があります。
長く住みたいというニーズよりも、進学や転職、一時的な転勤などで短期の住まいを探している人には普通借家よりも定期借家の方がメリットが大きいかもしれません。
同程度の普通借家と比べると家賃が安いことが多い
まず、普通借家契約より、定期借家契約は大家さん側にとって有利になっています。借り手目線で考えると権利が制限されているわけです。
同じ条件の物件があり、片方が定期借家でもう片方が普通借家であれば普通借家の契約を選ぶことでしょう。そう考えた時、条件面(家賃等)を魅力的にしないと定期借家契約の物件を選んでもらいにくくなります。
そのため、定期借家契約の物件はそうでない物件と比べて家賃が安い傾向があります。
定期借家の物件はグレードが高い物件が多い
実際のところ大家さん側にとっても普通借家契約と定期借家契約を比較して契約の手間を考えると定期借家契約の方が面倒です。
ですから、わざわざ定期借家契約にするということはそれなりの事情があるわけです。多いものとしては、自分が購入した分譲マンションを転勤などを理由に住めなくなるので、戻ってくるまでの間の有効活用として賃貸に出すというものです。
分譲賃貸などのグレードの高い賃貸物件に定期借家契約のものが多いのはそうした理由です。
自分たちが戻ってきた時に、入居者が出て行ってくれないと困りますからね。
ハイグレードのマンション=定期借家というわけではありませんが、そういう物件が多い傾向があります。
利用期間が決まっているなら定期借家契約もあり
何年そこに住むか分からないという場合、借り手の立場だと定期借家契約にはデメリットが大きいです。
一方で、そこに住む期間が予め決まっているというような場合には、定期借家契約であっても大きな影響はありません。
ライフスタイルや住む期間などによって、定期借家契約でも問題ないかどうかを考えた上で契約をするようにしましょう。
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