1年間で医療費をたくさん払ったときに利用できる医療費控除という税制上の手続きがあります。
この医療費控除と人気の“ふるさと納税”を併用して利用する時、ふるさと納税における最小の自己負担での寄付可能額への影響や、確定申告の注意点、ワンストップ特例の併用などの疑問についてまとめていきます。
結論からいうと、医療費控除とふるさと納税の併用は可能ですが、控除を利用した分、税制上有利となる寄付可能上限額が小さくなるのと、ワンストップ特例制度(申告不要制度)が利用できなくなります。
医療費控除とは?
医療費控除について、詳しくは「医療費控除による還付金のしくみと申請・申告のやり方」でもまとめていますが、生計を一とする家庭でかかった医療費が年間で10万円(課税所得200万円未満は所得の5%)を超えた場合に利用できる所得控除です。
確定申告をすることで、10万円を超えて実際に負担した医療費分を所得控除することができます。仮に年間で30万円の医療費を負担した場合には10万円を差し引いた20万円分を所得控除することができるという仕組みです。
“所得控除された金額×税率”だけ税金が安くなり、確定申告をすることにより所得税が還付され、翌年度の住民税が安くなります。
ふるさと納税の仕組みと寄付限度額
続いて、ふるさと納税は、自治体に寄付をした一定金額を税額控除することができる制度です。最低2000円の控除されない自己負担がありますが、仮に50,000円分の寄付をすれば48,000円分の所得税(住民税)が少なくなる仕組みになっています。
これだけだと損ですが、多くの自治体ではふるさと納税をするとお礼の品を提供しています。
このお礼の品はおおよそですが、寄付額の30%程度の価値があることが多いです。仮に5万円の寄付で15,000円分の特産品がもらえるとすると、実質2,000円の自己負担で13,000円分の得ができるという事になります。
ふるさと納税の仕組みについて詳しくは「ふるさと納税の基本。特産品・特典をもらって得をする仕組み、計算方法」でもまとめているのでふるさと納税の基本的な部分が知りたい方はこちらをご一読ください。
ふるさと納税で最小自己負担(2000円)で寄付できる上限額
このふるさと納税による寄付はいくらでもできますが、税金が安くなる金額には上限があります。
この上限額は今年の所得額によって変わってきます。おおよその目安は住民税所得割額の2割+αです。詳しい計算方法については以下の記事で紹介しています。
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計算式だけを紹介すると下記のようになります。
寄付可能上限額 =「住民税所得割額×0.2」÷{(90%-所得税率×1.021)÷100%}+2000円
但し、このためには「住民税所得割額」を計算してやる必要があります。この計算はサラリーマンの場合、以下のように行われます。
給与収入(年収)
▲給与所得控除
———–
所得
▲所得控除(基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除、医療費控除など)
———–
課税所得
×10%
———–
住民税所得割額
サラリーマンの場合、所得までは収入から自動計算できますが、その後の“所得控除”の金額については各人によって違いがあります。たとえば、配偶者の有無や収入額、子どもの有無、その他親族の扶養の有無、年金の支払額、個人型確定拠出年金(iDeCo)の利用、医療費控除の利用などなど。
医療費控除とふるさと納税の併用の影響
まず、医療費控除の利用とふるさと納税の併用はもちろん可能です。ただし、税金の計算の仕組み上、医療費控除の利用がふるさと納税の寄付可能額に影響を与えることになりますので、ギリギリの金額までふるさと納税の寄付をしたいという方は注意が必要です。
また、申告上の問題もあります。ワンストップ特例(申告不要制度)が事実上利用できなくなります。
医療費控除の併用で寄付可能額が小さくなる
医療費控除の仕組みは所得控除と呼ばれる控除になります。
「収入(年収・給与)と手取り、所得の違いを理解しよう」でも説明している通り、サラリーマンの場合、下記のような計算式で所得や税額が計算されます。
1)収入-給与所得控除=所得
2)所得-各種所得控除=課税所得
3)課税所得×税率=所得税額・住民税所得割額
医療費控除はこの中の(2)の所得控除に分類されます。
そして、ふるさと納税の寄付可能上限額は(3)の住民税所得割額によって計算されることになります。
どうなるでしょうか?
(2)の所得控除を利用するとその分住民税所得割額は小さくなります。住民税の税率は10%なので、医療費控除額の10%だけ住民税所得割額が小さくなるわけですね。
結果的にふるさと納税の最低自己負担額で寄付できる金額が小さくなります。
具体的な計算方法は以下の寄付可能額を計算する式から計算することができます。
寄付可能上限額 =「住民税所得割額×0.2」÷{(90%-所得税率×1.021)÷100%}+2000円
寄付可能額は所得税率と住民税所得割額によって変動します。仮に、医療費控除として10万円が控除されたとき、その10%(住民税率)の1万円分の所得割額が減少します。
なので、引く前、引いた後の前後で差額を計算してやればいいわけです。
仮に1万円の所得割額の変動でどれだけ寄付可能額が変動するかを計算しますと、所得税率(5%、10%、20%、23%、33%、40%、45%)によって異なりますが、2,355円~4,539円減少することになります。
率にすると医療費控除額(10万円)の2.35%~4.53%ということになります。ちなみに、所得税率が高い人ほど(収入が高い人ほど)減額の幅は大きくなります。
ワンストップ特例(申告不要)が利用できなくなる
ワンストップ特例制度は2015年4月から利用できるようになったふるさと納税の申告不要制度です。
年間5自治体までなら、必要な書類を返送するだけでふるさと納税の確定申告をしなくて済むというものです。
ところが、ワンストップ特例制度はあくまでも確定申告をしない人向けの制度です。確定申告をする人は利用できません。医療費控除は会社が年末に行ってくれる年末調整の対応項目ではないので、確定申告が必要です。
そのため、医療費控除を利用するという場合は必然的にワンストップ特例制度が利用できないことになり、確定申告が必要になります。
ただ、医療費控除をする時点で申告を行うわけですから、その際にふるさと納税の分も合わせて申告すればいいだけです。
ふるさと納税を利用した場合、自治体から「寄付金受領証明書」が届いているはずなのでそれを必要書類として簡単に申告できます。
ちなみに、「確定申告をした方はふるさと納税のワンストップ特例制度が無効になる」でも注意喚起した通り、ワンストップ特例制度を申込していても、確定申告をするとそちらが無効になるのでご注意ください。
セルフメディケーション税制を利用する場合はどうなる?
2017年にスタートした医療費控除と選択できるセルフメディケーション税制についても同様です。
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セルフメディケーション税制は医薬品などを自分で購入したときに利用できる税制措置です。“医薬品購入額-12,000円=控除額(上限:88,000円)”として控除できるようになっています。
仕組みは医療費控除と同じ所得控除なので、セルフメディケーション税制を利用するときも医療費控除と同じように計算してください。
以上、ふるさと納税と医療費控除を併用する時の寄付可能額と確定申告時の注意点をまとめてみました。
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