ANAのSFC修行の目安とされるのが「スーパーフライヤーズカード(SFC)」という特別なANAカードを作ることができる、ANAプラチナ会員を目指すというものです。このカードを作ることができれば、年会費を払い続ける限りANA上級会員の資格を維持することができます。今回はそんなANAマイラーなら一度は考えるであろうSFC修行について、基本から最新の獲得条件まで詳しく紹介していきます。

憧れるANAの上級会員の強み

ANAをはじめとした航空会社各社は上級会員制度(エリート会員制度)というものを設けています。自社をよく利用してくれる顧客を優遇するというサービスです。

上級会員になることができれば、「航空会社のラウンジが無料で使えるようになる」「空席予約などが優先的に受けられる」「マイルの付与率がアップする」などの様々な特典を受けることができます。

ANAの上級会員のグレード

上級会員のステータスとしては3つが用意されています。

  • ダイヤモンドサービスメンバー
  • プラチナサービスメンバー
  • ブロンズサービスメンバー

このステータスは「プレミアムポイント(略称PP)」と呼ばれる基準によって決定されます。

ANAの上級会員のメリットは何?

ANAの上級会員になるとそれぞれのステージに応じて様々な特典がプラスされていきます。代表的なものとしては下記が挙げられます。ちなみに、ステータスとしてはブロンズからが上級会員となりますが、実際の特典等で恩恵があるのはプラチナからといえそうです。

以下に上級会員としての特典をまとめてみました。

特典内容 ブロンズ プラチナ SFC ダイヤモンド
専用サービスデスク
ラウンジの利用 ANA SUITE LOUNGE × × ×
ANA LOUNGE 有償
コンシェルジュサービス × × ×
座席クラスのアップグレード
プレミアムエコノミーへの変更 ×
国内線予約の先行受付 ×
国際線座席指定の優先
予約時の空席待ち優先
特典航空券優先 × 国際線 国際線 国内線・国際線
国際線手数料の免除 × × ×
優先チェックインカウンター 一部
手荷物受取の優先 ×
手荷物許容量優遇 国際線
専用保安検査場の利用 ×
優先搭乗の案内 ×
空港での空席待ちの優先
アップグレードポイント
フライトボーナス 40-55% 90-105% 35-50%
(ゴールドは90-105%)
115-130%
マイル有効期限の延長 × × ×
マイルをスカイコインに交換する優遇
IHG・ANAホテルズ優遇 ×
スターアライアンス ゴールド ゴールド ゴールド

特に魅力的といえるのが、プラチナステータス以上になると、空港内にあるANAラウンジが使えるということです。

航空会社のラウンジは「空港の国内線ゴールドカードラウンジと航空会社のラウンジの違いを徹底比較」でも説明したように、クレジットカードのゴールドカードラウンジなどと比べると比較にならないくらい豪華です。

こうしたラウンジは、通常であれば国内線は「プレミアムクラス」、国際線なら「ビジネスクラス」や「ファーストクラス」に搭乗しないと利用できませんが、プラチナステータス以上の方は一般席やエコノミークラスでもラウンジを使えます。

他にも専用レーンでの素早い搭乗手続きや、手荷物のプライオリティ扱い(すぐに出てくる)などの特典があります。さらに、プラチナ以上なら「スターアライアンスゴールドメンバー」として、同じような特典をスターアライアンスの提携航空会社(ユナイテッド航空やシンガポール航空など)でも受けることができます。

同伴者のラウンジ入室について
SFC会員およびプラチナ会員がANAラウンジを無料で利用できるのは、原則として本人のみです(同伴者は有料、もしくはアップグレードポイント等の利用が必要)。一方、ダイヤモンド会員であれば同伴者1名まで無料で入室可能という違いがあります。

上級会員の期限はたったの1年間

一方で、ANAの上級会員の資格は「1年ごとの更新」です。昨年の利用状況にあわせて翌年のステータスが決まります。そのため、昨年はたくさん飛行機に乗ってANAのダイヤモンド会員になれたとしても、翌年に飛行機にほとんど乗らなかったら、翌々年は上級会員資格を失います。

そのため、せっかくプラチナやダイヤモンドの資格を取っても、飛行機にあまり乗らないと、また一般会員になってしまって特典が利用できなくなってしまいます。

SFC(スーパーフライヤーズカード)を作れば永年上級会員

冒頭でも書いたSFC修行というのは、ANAの「プラチナメンバー」以上の上級会員が申し込めるクレジットカード「SFC(スーパーフライヤーズカード)」を作るために、1年間でプラチナメンバーになるための基準を満たすよう飛行機に乗るということです。

ANA SFC(スーパーフライヤーズカード)は半永久的にANA上級会員になれるクレジットカードANA SFC(Super Flyers Card:スーパーフライヤーズカード)は、ANAの発行するクレジットカード(ANAカード)の中...

一度SFCを取得すれば、カードの年会費を払い続ける限り、ANAの「ほぼプラチナメンバーと同様のサービス」を受けることができます。マイルの加算率などを除けば、ラウンジ利用や優先搭乗など非常に大きな恩恵が継続します。

SFCカードの種類と年会費の目安
SFCへの入会(切り替え)には対象のクレジットカードを保有する必要があります。代表的なカードと年会費(税込)の目安は以下の通りです。

  • ANAスーパーフライヤーズカード(一般):11,275円
  • ANAスーパーフライヤーズ ゴールドカード:16,500円~17,600円(ブランドにより異なる)
  • ANAアメリカン・エキスプレス・スーパーフライヤーズ・ゴールド・カード:34,100円
  • ANAダイナース スーパーフライヤーズカード:41,800円

※年会費やカードラインナップは改定される場合がありますので、最新情報は公式サイトをご確認ください。

ANAのSFC修行の基礎知識

以下では、これからSFC修行を始めるために覚えておく必要がある基本事項を紹介していきます。

SFC修行の目標地点とスケジュール

SFCに申し込みができるのは、5万プレミアムポイントを貯めることで到達できる「プラチナステイタス」を取得した時です。つまり、SFC修行の最終地点は年間で5万プレミアムポイント(うちANAグループ運航便で25,000PP以上)を貯めることになります。

この5万PPを貯めてプラチナステイタスに到達することを、SFC修行の世界では「解脱(げだつ)」と呼んでいます。

スケジュール管理のポイント
プレミアムポイントの集計期間は「毎年1月1日〜12月31日」です。年をまたぐとポイントはリセットされるため、1年以内に5万PPを貯め切る必要があります。
また、年の前半で早めにプラチナに到達(解脱)すると、翌年3月末までの期間を含めて「事前サービス」としてプラチナ特典を長く享受できるというメリットがあります。

プレミアムポイント(PP)とは何か?

プレミアムポイント(PP)とは、ANAの飛行機に乗ることで貯まるポイントで、フライト距離や運賃種別毎に定められています。無料航空券(特典航空券)との交換に利用できる「マイル」とは全くの別物です。

プレミアムポイントは特典航空券を利用したフライトでは加算されませんので、基本的には「お金(またはスカイコイン)を払って飛行機に乗る」ことをしないと貯まりません。

SFC修行に最低限かかる費用とルート比較

SFC修行には航空券代という直接的なコストがかかります。どの程度の費用になるかを計る指標として「PP単価(1PPを獲得するためにかかる費用)」が用いられます。

近年は航空券代や燃油サーチャージの高騰もあり、PP単価は10円〜15円程度が目安となります。プラチナステイタス到達には5万PPが必要なので、SFC修行にはおよそ50万円〜75万円程度の費用が必要になると考えておくのが現状です。効率よく回ることができれば50万円以下に抑えることも可能ですが、繁忙期などで運賃が高い時期に乗ると費用はさらに膨らみます。

代表的なSFC修行ルートの比較

  • 那覇修行(羽田や伊丹 ↔ 那覇)
    国内線で長距離を稼げる定番ルート。プレミアムクラスや早期割引運賃(ANA SUPER VALUEなど)を活用するとPP単価を抑えやすく、便数も多いため日帰りでの往復(タッチ修行)がしやすいのが特徴です。
  • 石垣・宮古修行
    那覇よりもさらに距離が長いため、1回のフライトで獲得できるPPが多くなります。特にタイムセールなどのキャンペーンを活用すると非常に効率的です。
  • 海外修行(アジア・オセアニア方面)
    シンガポールやシドニーなどへの国際線を利用するルートです。国際線の「路線倍率」がかかるため、一度の旅行で一気にPPを稼ぐことができます。

SFC修行は飛行機に乗ることが多い年や海外旅行に行く年がチャンス

5万プレミアムポイントをすべて修行のためだけのフライトでカバーするというのは、お金も時間もかかります。

そのため、SFC修行を始める人の多くは「今年は出張が多そう」「家族で海外旅行に行く予定がある」など、ある程度プレミアムポイントが稼げる予定がある年に決行する傾向があります。海外旅行で2万PPを獲得し、残りの3万PPを国内線の修行で補うといった具合です。

SFC修行するなら準備しておきたいクレジットカード

SFC修行を開始する前に、ベースとなるANAカードを準備しておくことを強くおすすめします。

できればカードのグレードを「ワイドカード」または「ワイドゴールドカード」にしておきましょう。

理由は「搭乗ボーナスマイル」の違いです。一般カードの搭乗ボーナスは10%ですが、ワイドカードおよびワイドゴールドカードなら25%のボーナスが付与されます。5万PPを稼ぐために何度も飛行機に搭乗するわけですから、マイルの還元率アップは非常に重要です。

さらに重要な点として、SFCへの切り替えは「現在保有しているANAカードと同一ブランド・同一グレード」であれば無審査(切り替え手続きのみ)で行えるケースが多いです。SFC修行を終えた後に新規でSFCゴールドを申し込んで万が一審査に落ちてしまうと、これまでの苦労が水の泡になってしまいます。そのため、修行開始前に「ANAワイドゴールドカード」等の審査を通過しておくのが定石です。

年会費の節約について
かつては「マイ・ペイすリボ」や「WEB明細」の登録により大幅な年会費割引がありましたが、これらの割引制度は改定や廃止が進んでいます。カード発行会社(三井住友カードやJCBなど)によって現在の年会費優遇の条件や割引額は異なるため、入会時には公式サイトで最新の割引制度を必ず確認してください。

SFC申込のタイミングと手順

プラチナステイタスの条件(5万PP)を達成し、ステータスが「プラチナ」に切り替わると、ANAのウェブサイトからスーパーフライヤーズカード(SFC)への切り替え申し込みが可能になります。
既存のカードからの切り替え手続きを行うことで、数週間後にSFCのロゴが入った新しいカードが自宅に届きます。このカードを手に入れた瞬間から、晴れて永年上級会員としてのベネフィットが確定します。

ANAマイラーがSFC修行をするメリット

ANAのマイルを貯めて特典航空券をゲットしているけれど、いつかはSFCが欲しいという方も多いです。特に、各種ポイントサイト等を利用してANAのマイルを年間に何十万と稼いでいるような方は、特典航空券で頻繁に旅行をしていることかと思います。

通常、特典航空券で国内線の一般席を利用する場合、ANAラウンジは使えません。しかし、SFC会員であればエコノミークラスや一般席の利用であってもANAラウンジを無料で使うことができます。

ANAラウンジの利用方法。利用条件や無料で利用する方法も紹介ANA(全日空)の飛行機を利用するときに利用できる空港内のラウンジがあります。クレジットカード(ゴールドカード)などで入室できる空港ラウ...

また、特典航空券は人気の時期や路線において予約を取るのが非常に困難です。これはマイルによる予約枠にANA側が制限をかけているためですが、SFC会員(上級会員)に対してはより多くの座席枠を開放しているため、マイルでの予約が圧倒的に取りやすくなります。

人気の時期のANAの国内線特典航空券の予約は往路復路ではなく、復路往路の順で予約夏休みなどの長期休暇の際に家族旅行などでANAの貯めたマイルを使って特典航空券を予約と考えている方も多いのではないでしょうか。 た...

マイルの価値を最大化できるビジネスクラスやファーストクラスの予約を有利に進めるためにも、SFCの取得はANAマイラーにとって最適な選択といえます。

ファーストクラス、ビジネスクラスに乗りたいならマイルを貯めたほうが断然お得海外旅行に行くとき、ちょっと奮発してビジネスクラスというお話は聞きますが、ファーストクラスとなると次元が変わってきます。 たとえば...

ANAマイラーがSFC修行をするときのポイント

マイルが大量にあるなら、それを「ANAスカイコイン」に交換して航空券を購入するという手段があります。

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マイルで特典航空券を発券した場合はプレミアムポイントが貯まりませんが、マイルをスカイコインに交換し、そのスカイコインで航空券を購入した場合は、現金で購入した時と同様にプレミアムポイントが付与されます。

ANAスカイコインは、交換するマイル数や保有するカードのステータスに応じて交換比率が最大1.7倍にまでアップします。

5万マイル以上をANAスカイコインに交換するレート

  • ブロンズステイタス以上:1.7倍
  • ANAワイドゴールドカード等保有者:1.6倍
  • ANAカード(一般)保有者:1.5倍

SFC取得のために約50万円分の航空券代が必要だと仮定すると、1.6倍ルート(ワイドゴールド保有)であれば約31万2,500マイルをスカイコインに交換することで修行費用をすべて賄うことができます。

さらに工夫するなら、まず3万PPを獲得して「ブロンズステイタス」に到達した時点で、残りの費用分を1.7倍のレートでスカイコインに交換すれば、使用するマイル数をさらに節約することが可能です。

参考記事:ANAのマイルが貯まるANAカードの種類とその選び方を比較

SFC修行のもう一つの道「ステイタス獲得チャレンジ」

飛行機に乗る回数を少し減らしても上級会員を目指せる「プレミアムメンバーステイタス獲得チャレンジ」という制度も存在します。
これは、フライトで獲得するプレミアムポイントの基準を少し下げる代わりに、ANAカードでのクレジットカード決済額や、ANAの指定するライフソリューションサービスの利用数を満たすことでステイタスを獲得できる仕組みです。

たとえば、プラチナステイタス(SFCの申込条件)を獲得する場合、通常は「5万PP」のフライトが必要ですが、このチャレンジを利用すると以下の条件になります。

  • 年間獲得プレミアムポイント:30,000PP以上(うちANAグループ運航便15,000PP以上)
  • ANAライフソリューションサービスの利用:7サービス以上
  • ANAカードまたはANA Payでの決済総額:400万円以上

対象となるライフソリューションサービスには、「ANAのふるさと納税」「ANAショッピング A-style」「ANAマイレージモール」「ANAトラベラーズ」など様々なものが含まれます。

普段からクレジットカードでの決済額が非常に多い方(年間400万円以上)にとっては、フライト回数を減らせるため一つの選択肢となりますが、決済額のハードルが高いため、純粋に飛行機に乗って5万PPを目指す従来型のSFC修行を選ぶ方が依然として多いのが実情です。

※条件や対象サービスは年度により改定されるため、挑戦する場合は必ずANAの最新の案内をご確認ください。

JALのJGC修行との違い

今回紹介したANAのSFC修行に対応するJAL(日本航空)の制度を「JGC(JALグローバルクラブ)修行」と呼びます。

項目 ANA(SFC修行) JAL(JGC修行)
到達すべきステータス プラチナ(50,000PP) サファイア(50,000FOP)
必要なカード スーパーフライヤーズカード JALグローバルクラブカード
利用できるラウンジ ANAラウンジ サクララウンジ

どちらも一生涯の恩恵を受けられる上級会員カードですが、普段ご自身がよく利用する航空会社や、アライアンス(ANAはスターアライアンス、JALはワンワールド)の違いを考慮して選ぶのが良いでしょう。

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マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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