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失業保険を自己都合から会社都合に変える方法と判断基準。

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失業や退職に対する公的なセーフティーネットとして失業保険(失業給付)があります。この失業保険は会社の都合で退職した会社都合の場合と労働者が自らの意思で退職を決めた自己都合の場合とで給付期間や給付制限などの面で大きな違いがあります。

よくある一身上の都合で退職した場合は基本的に「自己都合退職」となります。ただし、自ら退職を申し出た場合であっても自己都合ではなく会社都合とできるケースや、やむをえない理由で退職したとして特定受給資格者となれるケースもあります。

今回はそんな退職と失業保険における自己都合と会社都合について紹介していきます。

会社都合で退職できたほうが労働者にとっては有利

失業保険では、会社都合によって退職を余儀なくされた人のことを「特定受給資格者」として認定しています。特定受給者となると、3か月の給付制限期間免除や通常よりも多めの給付日数が与えられます。

逆に、自分自身の意思で会社を辞めるという「自己都合退職」の場合には、3か月の給付制限がかかってしまい、失業保険をもらえるようになるまでに時間がかかってしまいます。

あります。このほかにも給付日数に差が出るといったように、会社都合で退職したケース(特定受給資格者)と比べて失業保険で給付される金額に差がでてきます。

詳しくは「失業保険の基礎知識。給付条件や給付額、失業中のアルバイトや再就職手当。」でも紹介していますが、下記のように違いが出てくるわけです。

年齢 給付制限 1年未満 5年未満 10年未満 20年未満 20年以上
一般理由離職者 15歳以上65歳未満 あり
(3カ月)
0日 90日 90日 120日 150日
特定理由離職者 15歳以上30歳未満 なし 90日 90日 120日 180日 180日
35歳未満 180日 210日 240日
45歳未満 240日 270日
60歳未満 180日 240日 270日 330日
65歳未満 150日 180日 210日 240日

人によっては数十万円単位の違いが出ることも少なくありません。

そのため、退職する側としては会社都合での退職のほうが好ましいといえますが、会社都合による解雇は会社側も助成金が貰えなくなったりするなどの問題もあるため、簡単には会社都合にはしてくれません。

事実上の退職勧奨のようなケースでも「自己都合退職」とされるケースはすくなくありません。
ただ、会社が会社都合と認めない場合や自らの意思で退職をした場合であっても、会社都合に値する正当な理由があるとハローワークで認められた場合には会社都合とすることができます。

 

会社都合に値する正当な理由とは何か?

以下のようなケースがあげられます。

  1. 破産・民事再生・手形取引の停止といったように会社が破産・あるいはそれに準ずる状況になっている場合。
  2. 同じ会社(事業所)で大量の退職者が出ているような場合。
  3. 採用条件と実際の労働条件に大きな違いがある場合。
  4. 賃金が15%以上と大幅に低下した場合。
  5. パワハラやセクハラなどを受けてやむを得ず退職した場合。

上記に該当するようなケースは会社都合による退職とすることができます。賃金を一方的に下げられて、それじゃあ生活できないから退職する!と自ら退職するようなケースでも会社都合とできるわけですね。

あなたが会社を退職したのは自分から辞めたことであっても辞めざるを得なかったのだ。というわけです。

 

会社都合とするための証拠を集めておこう

この自己都合での退職を会社都合とするのはハローワークによる判断となります。あくまでも外からの判断になってしまうため、客観性のある証拠を用意するようにしましょう。

たとえば、賃金の下落なら給与明細や労働条件の変更通知。採用時と実際の労働内容が違うのであれば労働条件通知書と実際の労働内容を判断できるような証拠。サービス残業が多いというのであればその記録を手帳などに残しておくのもよいでしょう。

 

自己都合でも特定理由離職者となる場合もある

また、以下のようなケースに該当する場合は、自己都合退職でも特定理由離職者として特定受給資格者となれるケースがあります。

  1. 勇気の契約期間が終了して更新されなかった場合
  2. 病気やケガ、障害、心の病気などで働けなくなった場合
  3. 家族の介護や扶養などの目的で退職を余儀なくされた場合
  4. 妊娠、出産、育児等により離職して、受給期間延長措置を受けた場合
  5. 配偶者や親族と別居生活を続けることが困難となった場合
  6. 配偶者の転勤などによって現在の会社で働き続けるのが困難となった場合
  7. 結婚によって住所が変更となった場合
  8. 会社が移転して、通勤が困難になった場合
  9. 会社の人員整理に応募し、希望退職した場合

病気の場合は医師の診断書が必要になります。
また、多いのは結婚や離婚、あるいは配偶者の転勤についていくといった理由で引っ越しを余儀なくされるケースでしょう。こうしたケースは特定理由に該当しますので、会社都合にはならず自己都合のまま特定受給資格者となることができます。

 

会社都合にしたい場合や特定理由離職者として申請する

なお、自己都合を会社都合に変えたいという場合はもちろんですが、自分が特定理由離職者に該当するという場合でも、ハローワークにその旨を伝えてその理由が適切かどうかを判断してもらう必要があります。

まずは退職後に送られてくる「離職票2」に書かれている「離職理由欄」を確認してください。多くの場合は「労働者の個人的な事情による退職」となっているはずです。この状態のままで特に手続きをしないと単純な自己都合退職として「一般理由離職者」として扱われることになります。

会社都合に変更したい場合や特定理由離職者としての条件を満たしている場合はハローワークでの初回手続きの際に、正確な離職理由を伝えて対応してもらうようにしてください。

 

以上、自己都合退職でも会社都合や特定理由離職者に変更して給付制限を外す方法を紹介しました。ちなみに、当然ですが、虚偽の内容で特定受給資格者となろうとするのはダメですよ。