住宅ローンのライフハック PR

住宅ローンの頭金は必要?頭金ありなしと、ローン控除や貯金との関係性

記事内にプロモーションを含む場合があります

住宅展示場や分譲マンションのモデルルームなどで商談をしていると、必ず住宅ローン(支払い方法)の話題にもなろうかと思います。

そんな時、営業マンからは今は頭金がゼロという方も珍しくありません。と甘い囁きを受ける方も多いようです。はたして本当に頭金ゼロで住宅ローンは組めるのでしょうか?リスクは高くないの?今回はそんな課題に答えていきたいと思います。

この記事では、住宅ローンの頭金は必要なのか?それともゼロでもいいのか?一般論はもちろん、住宅ローン控除や貯金や返済計画に関する頭金との関係も説明していきます。

まず、住宅ローン頭金ゼロは珍しくない

住宅ローンで頭金ゼロというケースですが、珍しいものではありません。

実際に住宅ローンを組んだ方で頭金がゼロ円という方は全体の23%、約1/4に達する割合だということです。

つまり、頭金ゼロであっても住宅ローンを組むこと自体は可能ということに嘘はなさそうです。実際、住宅ローンを販売している金融機関は空前の大競争時代を迎えており、頭金ゼロであってもお金を貸すというのは普通にあり得る状況になっています。

 

住宅販売営業の目線で考えよう

住宅を購入しようと考えている多くの方は住宅展示場やマンションモデルルームなどに足を運んで担当者から話を聞くことになるかと思います。

頭金ゼロで住宅ローンを組んでいる人はたくさんいるし、月々の返済額は今の家賃よりもお安いのでお得ですよ!的なセールストークが多いと思います。

住宅販売の営業サイドから見れば、「家(マンション)を売る」のが仕事です。その後のローンを組んで実際に返済をするというのは「契約者と銀行」の関係であり、担当者は一切関係ありません。

将来仮に返済できなくなったとしてもそれは、ローン契約者と銀行との間の話となるわけです。
ですから、住宅販売営業の立場からするとできるだけ甘い言葉で負担は少ないように説明するのが常とう句となるわけです。

もしすでに住宅販売の営業の方と話した方は、思い出してみてください。

将来の金利上昇時のリスクなど詳しく説明を受けたでしょうか?今は過去最低水準の超低金利の住宅ローンとなっています。しかしながら、この低金利がずっと続く保証はありません。金利が上昇した時、毎月の返済額がどうなるのかについて説明されたでしょうか?

頭金ゼロの状況で住宅ローンを組んだ場合、将来どんなリスクが生じるのかしっかり説明を受けましたか?後々説明しますが、頭金ゼロで住宅ローンを組んだ場合は「住宅が売れないリスク」などのリスクが大きくなります。このような説明を受けたでしょうか?

もちろん、しっかりと説明してくれる営業マンの方もいらっしゃいます。そんな方に当たればよいのですが、中には自分の営業成績しか考えないような人も残念ながらいらっしゃいます。
筆者も住宅を購入しようと検討しているときに、明らかに間違った知識で住宅ローンについての説明を受けたことがあります。

コラム「住宅ローンは誰に相談すべき?」によると住宅ローン契約者がローンについてどこに相談したか?という質問のトップは「住宅販売会社(ハウスメーカー)」だという結果があるそうです。

住宅ローンは数千万円単位の超高額の買い物です。こんな借金をするのって個人では住宅購入くらいだと思います。それなのに、相談する相手のトップは専門家でもない、また自分と損益を共有することがない相手っていうのはとっても怖いことだと思います。

 

頭金ゼロで住宅ローンを組むリスクは売れないリスク

頭金ゼロで住宅ローンを組んだ場合のリスクは大きく「途中で家を売りたいと思った時に売れないリスク」があります。

どういうことでしょうか?

住宅ローン契約中の物件(住宅)を売却するという場合、今組んでいるローンの残債(残り額)をすべて返済する必要があります。

たとえば、ローンの残債が2000万円あるケースを想定します。

このケースで、何らかの事情で家を売りたいと思ったとします。このとき、家は1800万円で売れそうだとしましょう。このような「残債>売却額」となるような状況では、そのまま売却することができないのです。この場合、差額である二百万円を別途調達(用意)して銀行に対して支払わなければならないことになります。

頭金がゼロ(または少ない)ケースでは、かなり高い確率でこのような状況になります。

上記の図をご覧ください。上は頭金ゼロもしくは少ない場合、下は十分な頭金を入れた場合のローン返済期間中の残債と物件価格の推移を示したものです。

不動産というものは建築後は価値が劣化していきます。とくに、新築→中古に変わる瞬間から価値は大きく下落するのが一般的です。

一方で、住宅ローンの残債も返済が進むほど小さくなっては行くのですが、住宅ローンの場合、返済初期はローン残高が大きいため、返済額に対する「元本」の割合が小さいです(元利均等返済の場合)。そのため、返済初期のローン残高の減るスピードは小さいです。

頭金が少ないと図の上のパターンのように「残債>住宅価値」となる期間が長くなり結果としてその期間不動産を売却できなくなってしまうわけです。

 

何らかの事情で返済できなくなり、借金が残るリスク

たとえば、何らかの理由で収入が減少してしまったとします。
これにより住宅ローン返済が厳しくなり家を手放そうと思っても、その差額分を差し入れできない場合は「売ることもできない」わけです。

とはいっても、返済は厳しいままですから最終的に返済ができず、差し押さえ→競売となり、手元には借金(ローン)だけが残ったみたいな、洒落にならない状況になるリスクが生まれます。

なお万が一、現在がそれに近い状況に陥っているという方がいらっしゃる場合、できうるだけ早期にアクションを起こすべきです。そうすることで、家を手放すことを防げるかもしれません。

[bloglink url=”https://money-lifehack.com/housingloan/127″]

詳しくは上記の記事で紹介しています。

 

じゃあ、何割の頭金を入れれば安心なの?

安心できる水準としては物件価格の2割程度といわれていますが、特に根拠があるわけではありません。銀行側が通例として2割程度という話をしているわけです。ただ、最低限安心できる水準という意味では、2割程度は用意しておけるとよいはずです。

また、必ずしも頭金としていれるのではなく、預金などの形で自分でキャッシュとして保有していれば頭金を入れたのと同義になります。

 

低金利の住宅ローンでは、必ずしも頭金を入れなくてもいい?

最近は住宅ローン金利も大きく低下しており、変動金利や短い固定期間の場合、ローン金利が1%を切るケースも珍しくありません。

そうした金利状況を考えると、かならずしも頭金として住宅ローンを借りるときに入れないという選択肢も一つになってきます。

 

住宅ローン控除(減税)を考えたら頭金ゼロのほうが有利

一方で、税制面を考えると頭金ゼロというローンもアリとなる場合があります。

これに、「住宅ローン控除(減税)」を加えて考えます。住宅ローン控除ではローン残高の1%分の税額控除が行われます。

借入金利が1%未満の場合、1%分の税額控除(税還付)を考えると実質的にはローンを借りていることでお金が戻ってくるマイナス金利の状態になります。

こうしたローンを組んでいる人は早期に住宅ローン返済をするよりも借りたままにしている方がお得です。

[bloglink url=”https://money-lifehack.com/tax/2511″]

このような場合は合理的に考えて頭金は入れないほうがお得ということになります。

 

資産運用でローン金利以上の成果が出せる場合

たとえば、十分な給与収入がある、あるいは資産があるといったリスクを取ることができる環境にある場合、現在の超低金利で資金調達ができる住宅ローンに頭金を入れる必要性は薄いです。

仮にですが、株式投資などを通じて年間で5%の収益を得られるとしましょう。この利回りで運用できるのであれば、住宅ローンの頭金を入れるよりも、自分自身で運用をして超過収益を得るほうにメリットがあります。

確実に発生する1%の金利負担と、リスクのある運用での5%の投資収益には違いはありますが、十分な資力や収入がある方であれば、あえて頭金を入れない(繰り上げ返済もしない)という選択肢もアリです。

 

結局、頭金は入れるの?入れないの?

結論としては、住宅ローンとして借りる2割~3割にあたる資金(現預金)をすでに保有しているかどうか?という点が重要です。

現在の金利状況を考えると頭金を入れるor入れないという選択肢ではなく、住宅ローン借り入れ後のリスクに対応できるだけの備えがあるかです。

冒頭でも紹介したように、頭金がゼロの状態だと、途中で買った家を売りたいという場合には、残債>時価となるため、手出しが必要になるケースが多いはずです。

途中で家を売らなければならない事情があるというのは、何かしらお金に困ってというケースもあるでしょうから、そうした場合は最悪です。

頭金を入れることはそうした最悪のリスクを回避するための手段です。

一方、十分な預貯金がある、収入があるというのであれば、あえて頭金を入れる必要性は薄くなります。それよりも税控除や運用などで超過収益を狙ったほうが効率的です。

 

そう考えると、あまり家計に余裕ない場合ほど、頭金をしっかりと入れるべきという話になるわけです。