住宅ローン金利は史上最低金利を更新しており、住宅ローン減税によって実質的には住宅ローン金利自体も「マイナス金利状態」となっています。そんな絶好の買い場ともいえる状況にみえるわけですが、本当にマンションや一戸建ての買い時だといえるのでしょうか?
今回はそんな金利や住宅ローンの状況と住宅の買い時について考えていきたいと思います。
住宅ローンも実質マイナス金利となる時代のマイホーム購入
「住宅ローンを借りただけお金がもらえる。金利と減税の逆ざや(実質マイナス金利)を活用」でも記事にしましたが、住宅ローンも実質的にはマイナス金利状態となっています。
住宅ローンの金利は史上最低水準を迎えています。変動金利なら0.5%を下回る水準であり、10年固定金利でも住信SBIネット銀行が0.67%という金利水準を提供しています。
(参考:住宅ローン総合ランキング(2016年5月)
一方で住宅ローン減税は実質的にローン残高の1%を還付(減税)してくれるシステムになっています。
つまりその差分だけ金利が還付されるという住宅ローンのマイナス金利状態が発生しています。
今住宅を買うのが本当にチャンスなのか?
当然ですが、この状況をハウスメーカーや不動産業者としては今がチャンスと煽ります。一方で考えなくてはいけないことが二つあります。
都心部ではマンション価格が急騰している
いくら金利が安くても物件価格自体が上昇していては結局は高い買い物となってしまいます。都心では新築マンションはもちろんですが中古マンションの価格も上昇しています。
特に人気の高い東京3区(中央区、港区、千代田区)においては中古価格(平均平米単価)は2012年と比較して1.5倍程度に上昇。東京都という全体でみても1.3倍ほどとかなりの上昇っぷりです。
いくらローン金利が下がっても、物件価格が高ければその分だけ月々の返済(元本分)も大きくなります。
人口減少時代と空家を考える
特に地方でのマンションや戸建て購入を考えている方は今後の人口減少による不動産需要の減少や空き家が増加しているという現状も知っておくべきです。
東京都であっても将来の人口減少が予想されており、地方はより顕著となっています。現状のままでは不動産需要の減少は避けられないと言えるでしょう。今は不動産価格が堅調に推移していますが、将来にわたってもこれが維持できるかは微妙です。
住宅需要の減少を考えると、資産価値を維持できそうなのは都市部であり、価格上昇が抑えられている郊外エリアに関しては将来的な見通しはあまり良くないと言えます。
以上を考えると、目先の需要については好調な不動産市場ですが、数年、十数年という単位でみると高値掴みとなる可能性・リスクも考慮しておく必要があります。
既に不動産を持っている人は「借り換え」がおすすめ
その一方で確実に得ができる層がいます。
それはすでに住宅を数年以上前に購入していた方たちです。
住宅ローンというのは基本的に契約をしたら返済まで同じところで借り続ける必要があるわけではなく、他に有利な住宅ローンがあれば「借り換え」をすることが可能です。
こうした借り換えについては「マイナス金利でチャンス。住宅ローンを長期固定金利で借り換えて将来の金利リスクを減らす」でも記事にしました。
また、必ずしも借り換えだけではなく、現在の銀行に相談して金利を下げてもらうという金利交渉と言う手もあります。こちらについては「借り換えよりも得?今の銀行の住宅ローン金利引き下げ交渉のやり方」も御覧ください。
現在の状況としては、すでに住宅ローンを組んでいる方にとっては借り換えをする絶好のチャンスであることに間違いないという一方で、これから住宅を購入する予定という方は、購入物件の精査や将来の見通しもじっくりと考える必要があると考えています。
以上、マイナス金利や住宅ローン減税でマンションや戸建ては買い時か?というお話でした。
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