賃貸保証会社(家賃保証会社)というのは建物の賃貸借契約(部屋を借りる契約)をするときに保証人や連帯保証人などを用意できないケースや大家(管理会社)が指定した場合に利用することになる会社です。保証会社は契約者にとっての「連帯保証人」となってくれる代わりに、定められた保証料を支払う必要があります。
今回は、そもそもの賃貸保証会社(家賃保証会社)の役割や特徴と、保証会社を利用するメリット、デメリットをまとめていきます。
そもそも賃貸保証会社(家賃保証会社)とは何か?
賃貸保証会社・家賃保証会社というのは、賃貸住宅を借りる時に必要な「保証人(連帯保証人)」を代行してくれる会社です。お部屋を借りる時には、万が一の場合に備えて、大家さん(管理会社)は連帯保証人を求めることが多いです。
ところが、保証人をどうしても用意できない人という人も少なからずいます。そんな人にとって活用(?)できるサービスが賃貸保証会社です。家賃保証会社と呼ぶこともあります。
こうした賃貸保証会社を利用すれば保証料の支払いをすれば、賃貸住宅の保証人になってくれるというサービスになります。
サービス内容としては住宅ローンやマイカーローンなどで支払う保証料と同じ仕組みです。保証料については「住宅ローンや自動車ローンの保証料とはいったいどんな費用なの?」でもまとめているのでこちらもぜひご一読ください。
賃貸保証会社の保証料はいくらくらい?
家賃の保証会社の保証料(初回保証料)の相場は家賃の30%~100%程度。
契約を更新する場合にも保証料が必要になりますが、その場合は定額1万円、家賃の30%といったように初回よりは割安になるのが一般的です。
賃貸保証会社を使うメリットはなに?
借り手としてのメリットは保証人が要求されるケースでも部屋を借りることができるという点になります。
それを使う管理会社や大家さんにとっては家賃のとりっぱぐれがなくなるといったメリットもありますが、それを使ってお部屋を借りる人にとってはメリットはありません。
あくまでも不動産管理会社が指定するから仕方なく使うという形になりますね。
賃貸保証会社を使うデメリットや注意点はある?
賃貸保証会社を使って部屋を借りるときのデメリットとしては「保証料を支払う必要がある」ということがあげられます。保証人が不要であったり、保証人を立てることができる場合はこうした費用をかけないで済むわけですからデメリットといえるでしょう。
ただし、近年の賃貸市場の傾向としては、連帯保証人を用意できる人であっても、保証会社を通さないと部屋を貸さないという大家さんや管理業者が増えています。万が一の時でも、わざわざ連帯保証人に請求するよりも保証会社に請求するほうが大家サイドとしても手間がかからないというのも背景にあるようです。
そのため、特に都市部では多くの賃貸物件が要保証会社となっています。ただ、保証会社を使う、使わないは大家さん(不動産管理会社)の判断になる為、交渉の余地が全くないわけではありません。
現に保証料は本当に家賃を間違いなく払うのであれば無駄なコストになるわけですので、借り手の信用力によっては賃貸保証会社を使わないという方法もあり得ます。
払った保証料は返ってくるの?
万が一のための保証というのであれば、家賃を毎回しっかりと払っていれば、退去時に返ってくるという性質のものなのでしょうか?
賃貸保証会社に対して支払った保証料というのは、保証を請け負った保証会社に対する保険料のようなものになります。そのため、こうして支払った保証料は返ってきません。
部屋を借りるときの入居審査は保証会社が行う
賃貸保証会社を使って賃貸契約をするとき、その時の入居審査は賃貸保証会社が行います。
この審査について、不安を持っている方も多いようです。
1)過去にクレジットカードやカードローンなどでの延滞(事故歴)がある場合の審査
いわゆる信販系と呼ばれる賃貸保証会社の場合は、個人信用情報機関にアクセスすることができます。その際に、過去のクレジットカードやカードローン等での未払いや事故歴がある場合(いわゆるブラックリストに載っている場合)、入居審査はほぼ絶望的といえます。
参考:クレジット・ローンの事故情報・ブラックリストはいつ消える?確認は?
信販系の賃貸保証会社としては「アプラス」「オリコ(オリエントコーポレーション)」「ジャックス」「セディナ」「セゾン」などが代表的です。こうした信販系の保証会社を使う場合、申込書に「個人信用情報機関への照会を行うことに同意する」という文言が書かれているはずです。
入居審査に通らないという方は事故情報を疑ってみるのも一つの方法です。詳しくは「個人信用情報機関の持つ個人情報の読み方。CICに開示請求してみよう。」もご一読ください。
2)過去に家賃滞納や未払いがある場合の審査
クレジットカードやカードローンの未払いはないけど、家賃を滞納したことがあるという場合の審査への影響はどうでしょうか。こちらについてはケースバイケースとなります。
過去の滞納が上記の信販系の家賃保証会社を使っていた場合、家賃の滞納が個人信用情報機関に自己情報の登録となる可能性が高いです。そのため、次の入居先の審査を信販系の保証会社が行う場合は(1)と同様に絶望的です。
一方で保証会社を利用していない場合や、非信販系の賃貸保証会社を利用していた場合は、あくまでもそうした情報はその大家さん(不動産管理会社)や賃貸保証会社の社内レベルにとどまるでしょう。同じ会社経由では借りれない可能性がありますが、それ以外での情報共有はほぼないといってよいでしょう。
賃貸保証会社における個人データベースもあるのはあるようですが、個人信用情報機関のように足並みのそろった運用はされていません。
家賃を滞納したらどうなる?
賃貸保証会社を使うときの問題として「保証料がかかる」という費用的な問題を抜きにした場合、それ以外のデメリットは特にありません。
あるとすれば、賃貸保証会社を利用して部屋を借りていてその家賃を滞納した場合です。
家賃を滞納すると大家(不動産管理会社)は保証会社に対して、家賃の代位弁済(代わりに払ってもらうこと)を要求します。これに保証会社が応じた場合、未払い家賃(借り手にとっての債務)の請求権が大家さんから保証会社に移ります。
保証会社は早期の立ち退きを迫る
賃貸保証会社は家賃の滞納に対しては相当敏感です。なぜなら未払いとなることで、家賃負担を自社が行わなくてはならないからです。家賃の滞納が起こると督促や退去などはきつめのことが多いといわれています。
法的な手続きはもちろんですが、保証会社によってはかなり強引な方法をとるところもあるようです。
そうした強引な取り立てに対する背景は、消費者金融などと比較して法的な整備が進んでいないこともあるようです。
まとめ。滞納さえしなければ怖くはないが……
核家族化の進行などによって保証人を立てるというのは簡単ではなくなっているという事情もあり、家族親戚であっても保証人になること自体を拒否されるケースも少なくないでしょう。特に、賃貸の場では求められるのは「連帯保証人」と呼ばれる、非常に強力な保証人となることが要求されます。
参考:
そんな場面において賃貸保証会社は、保証人を用意しなくても家を借りることができるという意味で有用なシステムであることは間違いないです。
一方で家賃の滞納に対して、昔ほど寛容ではなくなってきているというのも事実です。
家賃はちょっとくらい遅れても平気!ちょっとくらい遅れてもすぐに追い出されたりはしないという認識でいる方もおおいようです。それはあながち間違いではありませんが、賃貸保証会社を使っている場合、それほど優しくないということも覚えておきましょう。
さらに、信販系の賃貸保証会社を利用している場合、家賃の滞納=信用情報機関に傷(ブラックリスト)というリスクも考えておく必要があります。信用情報に延滞や異動情報が記載されてしまうと、その情報が消えるまでは新たな借り入れやローンを組むこともできなくなってしまいます。
以上、賃貸保証会社を使って家を借りるメリットとデメリットと注意点を紹介してみました。
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