奨学金を一括返済、繰り上げ返済するメリットと注意点。しないほうがよいケースも解説
奨学金の返還中にまとまったお金ができると、一括返済や繰り上げ返済をしたほうがよいのか迷います。
JASSOでは、奨学金を予定より早く返す手続きを「繰上返還」と呼びます。
第二種奨学金のように利息がある奨学金なら、繰上返還によって将来の利息負担を減らせます。
一方で、手元資金を減らしすぎると、失業、病気、引っ越し、結婚、出産などの支出に対応しにくくなります。
この記事では、奨学金の一括返済、繰上返還の仕組み、メリット、注意点、しないほうがよいケースを整理します。
この記事の要点
- JASSOの繰上返還は、全額または一部を予定より早く返す手続きです。
- 一部繰上返還をすると、翌月以降の返還額は通常通りで、返還期間が短くなります。
- 通常の返還と同じ登録口座から振替され、手数料はかかりません。
- 第二種奨学金では、繰上にあたる期間の利子がかからないため、利息削減効果があります。
- 生活防衛資金が少ない人、近い将来に大きな支出がある人、返還が厳しい人は、繰上返還より手元資金の確保を優先します。
奨学金の繰上返還とは
繰上返還は、毎月の返還とは別に、奨学金の残高を予定より早く返す方法です。
JASSOの繰上返還には、残額をすべて返す全額繰上返還と、一部だけを返す一部繰上返還があります。
一部繰上返還では、希望する上限金額または希望する繰上回数を選んで申し込みます。
| 方法 | 内容 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 全額繰上返還 | 残っている返還額をすべて返す | 返還後も十分な生活資金が残る人 |
| 一部繰上返還 | 一部の金額または回数分だけ前倒しで返す | 手元資金を残しながら返還期間を短くしたい人 |
一部繰上返還をしても、翌月以降の毎月返還額は原則として変わりません。
繰り上げた分だけ返還期間が短くなる仕組みです。
住宅ローンの「返済額軽減型」のように、毎月の返還額を下げる目的では使いにくい点に注意します。
JASSOの繰上返還の手続き
JASSOの繰上返還は、スカラネット・パーソナルから申し込むのが基本です。
口座振替に使っている登録口座から振替され、通常の返還と同じく手数料はかかりません。
インターネット手続きは土日祝日も利用できますが、申込スケジュールは振替月によって変わります。
- スカラネット・パーソナルにログインする
- 繰上返還の申込画面を開く
- 全額または一部を選ぶ
- 一部繰上返還なら金額または回数を指定する
- 振替予定日と金額を確認する
- 振替口座に必要資金を準備する
毎月繰上返還をしたい場合でも、自動で継続されるわけではありません。
JASSOでは、その都度申込みが必要とされています。
繰上返還のメリット
繰上返還のメリットは、心理的な負担の軽減と利息負担の削減です。
第一種奨学金は無利子なので、金利面のメリットはありません。
第二種奨学金は有利子なので、返還期間を短くするほど将来支払う利息を減らせます。
- 第二種奨学金の利息を減らせる
- 返還期間が短くなり、家計管理が楽になる
- 将来の住宅ローンや教育費を考える前に負債を減らせる
- 機関保証を使っている場合、返還完了時に保証料の一部が返る場合がある
JASSOの説明では、第二種奨学金の繰上にあたる期間の利子はかかりません。
そのため、同じ金額を返すなら、早く返した分だけ利息削減につながります。
第二種奨学金の利率固定方式と利率見直し方式の違いは、次の記事で整理しています。
繰上返還のデメリット
繰上返還のデメリットは、手元資金が減ることです。
奨学金は、カードローンやリボ払いに比べると金利が低い債務です。
高金利の借入がある人は、奨学金より先にそちらを返すほうが家計改善効果は大きくなります。
- 急な病気、失業、引っ越しに使う資金が減る
- 毎月返還額は下がらないため、毎月の家計負担は軽くなりにくい
- 無利子の第一種奨学金では、金利面の効果がない
- 高金利の借入を残したまま返すと、優先順位を誤る
- 近い将来の結婚、出産、転職、住宅購入の資金が不足しやすくなる
繰上返還は「借金を早くなくす」という意味では前向きな行動です。
しかし、家計全体で見ると、低金利の奨学金を急いで返すより、生活防衛資金を残すほうが合理的な場面があります。
生活防衛資金の目安は、家族構成や働き方で変わります。
繰上返還しないほうがよいケース
次の条件に当てはまる人は、繰上返還を急がないほうがよいです。
- 生活費の3か月から6か月分の預貯金がない
- クレジットカードのリボ払いやカードローンが残っている
- 転職、休職、出産、引っ越しなど収入や支出が変わる予定がある
- 毎月の返還がすでに苦しい
- 第一種奨学金だけを返還している
- NISAや投資に回すお金と混同して判断している
特に、毎月の返還が苦しい人は、繰上返還ではなくJASSOの返還支援制度を先に検討します。
返還できない状態で無理に繰上返還をすると、手元資金が減り、次の返還や生活費に詰まりやすくなります。
返還が難しいときは救済制度を使う
奨学金の返還が難しいときは、延滞する前に減額返還制度や返還期限猶予を検討します。
JASSOでは、返還が難しい事情がある場合に、月々の返還額を少なくする減額返還制度、返還を待ってもらう返還期限猶予を願い出ることができます。
| 制度 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 減額返還制度 | 月々の返還額を少なくして返還を続ける | 返還期間は長くなる |
| 返還期限猶予 | 一定期間、返還期限を先送りする | 元金や利子が免除される制度ではない |
返還期限猶予は、返還を待ってもらう制度であり、返すべき元金や利子がなくなる制度ではありません。
JASSOも、将来への負担を軽くするため、月々の返還額を減らして返還する減額返還制度の利用をすすめています。
親が代わりに一括返済する場合の注意点
親が子どもの奨学金を代わりに返す場合は、贈与の扱いにも注意します。
親が返済資金を出すこと自体は珍しくありません。
ただし、まとまった金額を子どもに渡す形にすると、贈与税の基礎控除を超える可能性があります。
返済資金を誰が負担するのか、いつ、いくら返すのかは、家族内でも記録を残します。
税務上の扱いが気になる金額なら、返済前に贈与税の基本ルールを確認しておくほうが安心です。
繰上返還する前の判断手順
繰上返還をするかどうかは、次の順番で判断します。
- 第一種か第二種かを確認する
- 第二種なら現在の利率と残期間を確認する
- リボ払い、カードローン、消費者金融など高金利の借入がないか確認する
- 生活防衛資金を残せるか確認する
- 近い将来の大きな支出を見積もる
- 返還が苦しい場合は減額返還や返還期限猶予を先に検討する
- 余裕資金の範囲で全額または一部繰上返還を選ぶ
借入返済と投資の優先順位は、金利で比較すると判断しやすくなります。
結論として繰上返還はするべきか
第二種奨学金を返還していて、生活防衛資金を十分に残せる人なら、繰上返還は利息負担を減らす有効な選択肢です。
特に、家計が安定していて、他に高金利の借入がなく、数年以内に大きな支出予定がない人には向いています。
一方で、第一種奨学金だけの人、預貯金が少ない人、返還そのものが厳しい人は、急いで繰上返還する必要はありません。
奨学金は早く返すほどよいとは限りません。
低金利の負債を減らす効果と、手元資金を残す安心を比べて、家計全体で判断します。
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奨学金の利率を確認してから、繰上返還の効果を見積もります。
繰上返還の前に、生活防衛資金をどのくらい残すか確認します。
奨学金以外の借入がある場合は、金利の高い借入から返すのが基本です。
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