日本における代表的な奨学金制度(貸与型奨学金)である日本学生支援機構は平成19年4月以降の奨学金募集より第2種奨学金(有利子タイプ)について二つの金利タイプの選択ができるようになっています。利率固定方式と利率見直し方式です。
これは奨学金に申し込みをするときに決めるもので、保護者の方からの質問も大変多い項目となっています。今回はそんな奨学金の利率固定方式と利率見直し方式について、それぞれのメリット、デメリットを紹介していきます。
日本学生新機構の奨学金金利の算定方式
大きく二つあります。
利率固定方式
いわゆる固定金利によるローンと同じです。返済終了まで同じ利率が適用されます。同じタイミングでの金利を比較すると利率見直し方式よりもやや金利が高くなっています。
利率見直し方式
概ね5年ごとに利率が変動するタイプの奨学金です。低金利のタイミングでは有利ですが、将来金利が上昇すると負担が大きくなる可能性があります。
今の超低金利時代では固定方式がやっぱりいいのかな?と思われるかもしれませんが、単純にそうとは言えない事情もあります。そうした理由をいくつか紹介していきます。
奨学金の返済利率が決まるタイミングはいつ?
まず、利率固定方式か利率見直し方式かを選ぶのは奨学金に申し込みをするときですが、実際の奨学金の返済利率が決まるのは「貸与終了時点」です。つまり、卒業する時ですね。
4年制大学の場合は、4年後の金利に応じて決まるわけです。2016年9月時点の金利市場は史上最低水準ではありますが、これが4年後もそうだとは必ずしも言えません。というか、予測するのは誰にも無理な話でしょう。
返済利率はの算定方式は貸与終了年度に変更可能
これは必ず覚えておいてください。申込の時点で決めた利率タイプは貸与終了年度(4年制大学なら4年制のタイミング)で再度変更することができます。
利率の算定方法は、申込時に選択した後も貸与期間が終了する年度の一定期間まで変更することができます。「第二種奨学金利率の算定方法変更届」(所定の用紙)を学校を通じて提出してください。人的保証の場合は、連帯保証人及び保証人の自署・押印(実印)、「印鑑登録証明書」の提出が必要です。
ちょっと面倒ですが、返済利率の状況を見ながら判断するようにしましょう。ちなみに申し込みの時期は「一定期間まで」というようにかなり濁されており、日本学生新機構に問い合わせたところ、4年生の4月になったら学校に問い合わせてほしいとのことでした。
忘れないようにしましょう。
なお、返済利率については「日本学生新機構ホームページ(利率)」のページで最新の金利情報が載っていますので、こちらで確認をしてください。
今の状況が続くなら「利率固定方式」がお得
最初に「利率固定方式の方が利率見直し方式よりも金利が高い」と書きました。
確かに平成25年3月は固定が0.82%、変動が0.2%というように金利差はかなり大きかったところがあります。
一方で金融緩和の結果長期金利が下がったこともあって、固定利率と見直し方式の利率の差はかなり小さくなっています。平成26年は固定が0.63%、変動が0.1%。平成27年3月は固定が0.16%、変動が0.10%となっています。
ちなみに平成28年4月以降は固定も利率見直しもどちらも0.1%という同水準になっています。
将来の金利変動リスクが見直し方式にはある
利率見直し方式には金利変動リスクがあります。
直近では0.1%の利率ですが、平成20年6月の利率は1.35%もありました。今の歴史的低金利水準がずっと続く保証はありません。将来金利がアップすると利率見直し方式の場合は返済額が増加するリスクが残ることになります。
いずれにしても奨学金の金利の選択は「最終年度の4月に学校に確認を取って、ギリギリのタイミングでの金利状況を見ながら判断する」という選択が最も賢いです。
一方で最初の申し込みのタイミングでは、将来の金利のことなんてわからないからどちらを選んでも構わないということになります。3年後にもう一度悩みましょう。
以上、奨学金の利率固定方式と利率見直し方式はどちらがお得?
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