FX(外国為替証拠金取引)というと非常にリスクフルで恐ろしい取引と思っている方も多いのではないでしょうか?ときどき、FXで大損して借金を抱えてしまったというようなネットでの書き込みなども目にします。
FX取引の怖いところは「レバレッジ取引が可能な取引」だから起こることです。ただ、このレバレッジというものは自分自身でコントロールすることが可能です。レバレッジを1倍以下にして取引をしていれば、実際に発生するリスクは外貨預金のそれと同様です。むしろ取引手数料が安い分だけリスクも小さいといえるでしょう。
今回はそんなFXは怖いと考えている方にFXの本当に怖い面と、知っておけば回避できる問題点について説明していきます。
FXと外貨投資のリスク
FXは怖い怖いといいますが、リスクはしっかりと細分化してとらえる必要があります。
まず、もっとも大きな部分のリスクとしては「為替投資全体のリスク」があります。
そのうえで、外貨投資の手段である「外貨預金」「FX(外国為替証拠金取引)」といった個別の外貨投資商品ごとのリスクが存在します。
これを同一にしていると話がよく分からなくなりますので、分けて考えましょう。
為替投資全体のリスク
為替レートは刻一刻と変化し、ほぼ24時間動いています。日々のレート変動はそう大きなものではありませんが、時として極端な動きをすることもあるのが為替全体にいえるリスクです。
よく「○○ショック」という言葉が使われますが、日銀などの中央銀行の為替介入、経済指標、国際的な大きなイベントが起こったときには数%以上も動くことがあります。うまいこと乗ることができれば大きいですが、失敗したときのダメージは大きいということになります。
FXはハイリスクとかよくいいますが、為替市場は動かないときはそこまで動かないけど、なにかあった時は極端に動くマーケットであるということを理解しておく必要があります。
たとえば、30分あたりのボラティリティ(価格変動率)を2016年6~7月の1ヶ月間の大きさを見てみます。
最大は2016年6月24日の11時30分~12時00分の1.517円の変動です。変動率にすれば1.46%もの変動がわずか30分で起こったわけです。ちなみに過去1カ月の30分足における変動率のトップは6/24に集中しており1位~13位まですべて6/24に起こっています。1日単位で見たら6/24のドル円の為替レートの値幅は7.65円で率にしたら7.09%も動いています。
※2016年6月24日はイギリスの国民投票でEU離脱が過半数を超えた日。
一方で何もない日は高値と安値の差が1円を超えない日も多いです。
FX自体のリスクは実は外貨預金などと同様だけど……
そもそもFXという運用商品によるリスク自体は外貨預金をはじめとした外貨投資と同様です。
たとえば、外貨預金で3%円高になったからといってFXだけ6%円高になるなんてことはありません。「外貨預金をお勧めしない理由」でも書いていますが、間のコストを抜く外貨預金の方がむしろ値幅が大きくなる可能性があります。
それでは、なぜFXはハイリスク取引だといわれるのでしょうか?
その理由は「レバレッジを効かせることができるという点」が挙げられます。
FXでは、証券会社等にあずけた資金の何倍もの為替取引をすることができます。たとえば、100万円預けていれば最大で2500万円分くらの為替取引をすることができるのです。
ちなみに、100万円預けているからといって2500万円分買わないと言わないというわけではありません。買う買わないは投資家が選択します(当たり前ですが)。
為替レートは急に動くのでハイレバ取引をした人が死ぬ
FXはハイレバレッジ取引(ハイレバ)ができるという点と、普段は動かないけど、動いたときはすごいという為替レートの特性が絡み合うことで悲劇を生みだします。
通常の変動であれば問題ないポジションでも、それが何かあった時の変動が起こってしまうとすごいことになってしまうわけです。
普通の日で特に材料も出ていなければ為替レートの変動は1%にも満たないことが多いです。100万円を預けていても値動きは1万円弱といったところです。
仮に最大レバレッジ25倍で2500万円運用しても25万円に過ぎません。決して少なくはないですが、財産失うほどではありませんね。
ところが、こうした「平常時」の値動きになれて投資をして過度なレバレッジをかけてしまったときに「緊急事態」が起きると状況は大きく変わります。
たとえば6/24のイギリスのEU離脱の国民投票の日はドル円の値幅は7%を超えています。仮にレバレッジ25倍で運用していたとしたら値幅は175%です。
仮に反対方向に100万円を投資していたとしたら175万円の損失が発生することになります。全額なくなったうえで75万円の借金が残ってしまうというわけです。一般的には、相場が大きく動いて損失が拡大した場合には「ストップロス注文」や「強制ロスカット注文」が出されてポジションが手じまわれることが多いのですが、本当に急激な相場変動が起きた時には、ロスカット注文が間に合わないこともあります。
ちなみに、今回のイギリスのEU離脱のようなことってめったに起こらないと思っている方も多いですが、為替が大きく動いた事件は結構たくさんあります。
・スイスフランショック
スイス国立銀行が2011年9月から維持してきたスイスフランに対するユーロの下限(ユーロスイス相場)を1.2000として無制限介入を行っていくという為替方針を2015年1月15日に撤廃。ユーロスイス相場は一時41%の急落。
このようなFX取引の高いレバレッジ性と動きた時の値幅の大きさがFXはすごく危険というイメージを与えてしまうわけです。
レバレッジのコントロールさえできればFXのリスクは外貨預金と変わらない
こうした為替レートの急激な変動というものを避けることはできません。
外貨預金をしているという場合でもこうしたリスクとは無縁でいられません。一方でFXが怖いのは過度のレバレッジをとることで、最大リスクが顕在化した時に大きな損失が出てしまうということです。
あくまでも同じ外貨投資である外貨預金と比較するというお話になりますが、レバレッジさえとらなければリスクの大きさは変わりありません。
国内のFX取引の場合、25倍までのレバレッジをかけることができますが、このレバレッジをコントロールするということが重要です。
以上、FXは怖いと考えている方へ。FXと外貨預金のリスクの差をまとめてみました。
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