リーマンショックとは、2008年に発生したアメリカの投資銀行「リーマンブラザーズ」の経営破たん、およびそれがきっかけで発生した世界的な金融危機のことを指します。
少し過去の事となりつつある「リーマンショック」と株式相場について株価の推移などを踏まえ、わかりやすく紹介していきます。
また、消費税増税議論においてリーマンショック級という表現が使われることがありますが、そのリーマンショック級というのはいったいどれほどのものなのかを過去の相場で見ていきたいと思います。
リーマンショックの原因は?サブプライムローンと証券金融化
リーマンショックの大きな原因となったのが「サブプライムローン」という低収入な人向けのローンです。
サブプライムローンは金利が高い代わりに審査が緩いローンと考えて貰ってよいです。こうしたローンが人気だったのでよく売れたわけです。
そして、金融機関はこのローン債権(返済してもらえる権利)を証券化という手法によって、投資信託のような形にして多くの投資家に販売していました。
この「証券化」という手法によってサブプライムローンが多くの金融商品に組み込まれていったわけです。
そして、不景気によってサブプライムローンを返済できない人が増えてきて、「サブプライムローン債権」に損失が発生するようになります。
結果としてリーマンブラザーズ証券が破綻してしまい、その結果、他の金融機関や金融商品にも不安が連鎖していって、世界的な株安・金融危機へとつながっていったわけです。
アメリカの住宅ローン問題が問題の発端で、日本はサブプライムローン関連の金融商品には手を出していなかったため、当初は日本への影響は軽微とされていました。
ところが、リーマンショック後の金融不安、経済の冷え込みによる停滞、米国金融不安によるドル安(円高)による輸出企業へのマイナス要素が広がりました。
結局、“アメリカがクシャミをすると、日本は風邪をひく”という言葉がある通り、日本経済に対しても深刻なダメージを与えることになったわけです。
リーマンショックはいつ発生した?
前述のサブプライムローンの問題が顕在化し始めたのは2007年末ごろです。米国の住宅バブルが崩壊したことで、サブプライムローンでお金を借りて住宅を買っていた人たちが次々と返済できなくなりました。
なので、ショックの発端といえるサブプライム問題が起こったの、この2007年ごろからといえるでしょう。
そのサブプライムローン問題が広がり、大手金融機関は莫大な負債を抱えるようになります。
そして、2008年9月15日(月曜日)ついにリーマンブラザーズが破綻(連邦倒産法第11章の適用を申請)したわけです。政府が救済するとみていたマーケットは驚き、経済不安が広がり、それが世界的な金融危機につながったわけです。
なので、サブプライム問題は2007年末頃から発生し、リーマンショックについては2008年9月15日に発生したといえます。
リーマンショックと株式相場への影響
よく、リーマンショック級という言葉が使われます。2018年現在でも、政府閣僚が2019年の消費税増税については「リーマンショック級の経済危機にならなければ増税する」と発言しています。
じゃあ、リーマンショック級とはどんなものか?ということで実際の株式相場への影響を見ていきましょう。
リーマンショック後の米国の株価(NYダウ)
まずはリーマンショックの震源地でもある米国の株価の推移を、リーマンショック前(2008年9月12日終値)からリーマンショック後のNYダウの月末終値を示したものです。
- 2008年9月12日:11268.92ドル
- 2008年9月末:10,850.66ドル(-3.71%)
- 2008年10月末:9,325.01ドル(-14.06%)
- 2008年11月末:8,829.04ドル(-5.32%)
- 2008年12月末:8,776.39ドル(-0.60%)
ちなみに、一日単位で見たときの下落率では、2008年10月15日が733.08ドル安(7.87%下落)や12月1日の679.95ドル安(7.7%下落)などが大きな下落となりました。
リーマンショック後の日本の株価(日経平均株価)
以下はリーマンショック前(2008年9月12日終値)からリーマンショック後の日経平均株価(日経225)の月末終値を示したものです。
- 2008年9月12日:12214.76円
- 2008年9月末:11259.86円(-7.82%)
- 2008年10月末:8576.98円(-23.83%)
- 2008年11月末:8512.27円(-0.75%)
- 2008年12月末:8859.56円(+4.07%)
と、月次で見るとこんな感じになっています。マイナス幅(下落率)でいうと米国よりも大きいんですね……。
一日単位の下落率だと2008年10月16日の942.4円安(11.41%下落)や10月10日の739.91円安(9.62%下落)、10月24日の741.52円安(9.60%下落)などが大きな下落を記録した日となっています。
今の下落はリーマンショック級なのか?
たとえば、2018年12月25日の日経平均株価は-1,010.45円安という記録的な下落幅を見せました。1010.45円の日経平均の下落というのはリーマンショック後の10月6日の942.4円安を上回る下げ幅です。
値幅だけをみたら、リーマンショック級といえそうです。ただし、割合にすれば、2018年12月25日の下げ幅は5.01%です。これは2000年以降の下落率ランキングだと第21位となります。
ちなみに、1位はリーマンショック時の-11.41%で、2位は東日本大震災の翌営業日となる-10.05%、3位~5位はリーマンショック後の10月10日(-9.62%)、10月24日(-9.6%)となっています。
ただし、2018年12月の月間の下落率は14.3%(11月30日終値~12月25日終値)に達しています。この月間の下落率でみれば、2000年以降では歴代2位の水準に達しています。
現状の暴落がリーマンショック級と呼べるかどうかはについて株価水準的には近い状況にあるとは言えそうです。
少なくとも将来、○○ショックと呼べそうな下落につながっているリスクは大いにくすぶっているといえるでしょう。
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