2017年1月からは企業年金制度があるサラリーマンの方も、個人型確定拠出年金(iDeCo)に任意で加入することができるようになります(2016年中は不可)。企業年金がある会社にお勤めの方が新規でiDeCoに加入するメリット、デメリットをまとめていきたいと思います。
注意したいポイントとしては低い積立上限額と手数料の関係。それと退職時に受け取る一時金とiDeCoの一時金による退職所得の増加といったところが挙げられそうです。
企業年金と個人型確定拠出年金
企業年金というのは会社が従業員のために掛け金を拠出している年金です。サラリーマンの場合は通常「厚生年金」に加入していますが、この厚生年金の上乗せとなる年金で一般的には年金の三階建て部分といわれます。
ちなみに厚生年金が2階に相当し、国民年金が1階に相当します。
この企業年金は「企業年金の3つの種類。厚生年金基金、確定給付年金、確定拠出年金の違いと特徴」でも紹介したように「厚生年金基金」「確定給付型企業年金」「企業型確定拠出年金」の3つがあります。2017年1月以降はこれらの企業年金のさらに上に「個人型確定拠出年金」を上乗せすることができます(掛金は全額個人負担)。
そもそも3階建ての充実した年金があるのにさらに年金必要なの?
その疑問はごもっともです。
ただ、企業年金制度についてはかつてほど充実していないというのが現状です。企業年金制度があってもそれは実質的には退職金という会社も多いです。そうした場合、現役時代の報酬額が一緒なら老後の年金自体は2階建ての厚生年金のみのサラリーマンと同額です。
ちなみに、「平成25年就労条件総合調査結果の概況(厚生労働省)」によると、企業年金と退職金制度のいずれかがあるというのは75.5%ですが、退職金制度と企業年金制度の両方がある企業は全体の17%に過ぎません。
つまり、企業年金がある会社に勤めているからといって退職金も老後の年金もたくさんもらえるというのは、本当に福利厚生の整いまくった上位企業しかないという事になります。
企業年金がある人が加入できるiDeCo(個人型確定拠出年金)
従来はサラリーマンでも企業年金がない人にしか解放されていなかった個人型確定拠出年金が企業年金があるサラリーマンにも開放されたのかという理由を考えると、老後の面倒は国や会社だけじゃ見れないから自助努力で何とかしてね。と投げているように思います。
今後は厚生年金などの公的年金についても受給の引き下げや開始年齢の引き上げなどが議論されるわけでしょうから、現役の内に有利な方法で備えるの必要性は高いと思います。
個人型確定拠出年金(iDeCo)への加入方法と注意点
個人型確定拠出年金への申込は勤務先を通じてではなく、個人で申し込みをすることになります。
なお、個人型確定拠出年金の掛け金の所得控除については利用する金融機関からの控除関係の書類をもとに勤務先を通じて年末調整にて対応可能です。
詳しくは「個人型確定拠出年金の加入方法と手続き、年末調整のやり方などを解説」もご参照ください。
企業年金があるサラリーマンの掛け金上限は小さい
まず、注意しておきたいのは個人型確定拠出年金に企業年金があるサラリーマンが加入する場合は、月々の掛け金の上限があまり大きくないという点があります。
上記のとおり、掛け金の額は年間14.4万円(月額12000円)か24万円(月額20000円)が上限となります。別に掛け金が少ないこと自体は問題ではないのですが、個人型確定拠出年金のデメリットでもある「毎月定額の手数料」と大きく関係してきます。
個人型確定拠出年金は大きく3つの手数料がかかります。
①国民基金連合会への手数料:103円
②事務委託先金融機関(信託銀行手数料):64円
③運営管理機関(証券会社等):0円~475円
合計:167円~642円(月額)
1年分だと2,004円~7,704円になります。
注意点としては、手数料が「定率」ではなく「定額」ということです。そのため、積立金額が少ないうちは残高に占める手数料が相対的に大きくなります。
掛け金残高が少ないうちは手数料率が高い
たとえば、企業型確定拠出年金に加入している方で年間が月額2万円のマックスで運用をしたとしましょう。
初年度掛け金合計は24万円。この時、もっとも手数料が安い「SBI証券」または「楽天証券」で個人型確定拠出年金を始めた場合でも24万円に対して2,004円の手数料がかかります。
手数料率にすると0.835%です。初年度はやや高めです。
もっとも、手数料は「定額」なので2年目は0.4175%、3年目は0.2783%といったように率は下がっていきます。
少額の積立の場合は運用による利益よりもコストの方が大きい逆ザヤとなるリスクも十分に考えられます。これは企業年金ありのサラリーマンと同様に2017年から解禁される「公務員」と同様の話になります。
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企業年金+個人型確定拠出年金ならマックス掛け金で加入しよう
まとめとして、企業年金があるサラリーマンの方でも個人型確定拠出年金への加入は「所得控除」や「老後の年金額増額」といった大きなメリットがあります。
その一方で、掛け金が少ないと手数料率が相対的に高くなるので、せっかく加入するなら個人型の掛け金はマックス(月額20,000円または12,000円)で加入することをお勧めします。
最後に一番大切なのが金融機関選びです。運営管理機関手数料は無料~500円弱(月)と差が大きいです。掛け金が少なくなる企業年金があるサラリーマンの方はこれが無料となる「SBI証券」または「楽天証券」を選択するようにしてください。
確定拠出年金を始める上での証券会社(金融機関)の選び方については「個人型確定拠出年金(iDeCO)のおすすめ証券会社。楽天証券とSBI証券を比較」も参考にしてみてください。
以上、企業年金と個人型確定拠出年金(iDeCo)についてまとめてみました。
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