株の配当金は確定申告した方が得?3つの課税方法と損益通算・保険料の注意点

株の配当金が振り込まれたとき、税金が引かれていても、確定申告で負担を減らせる場合があります。ただし、還付を受けた結果、翌年度の保険料や家族の税金が増えることもあります。
まず確認したいのは、証券会社がすでに損益通算していないかです。そのうえで、他の証券会社の売却損があれば申告分離課税、国内株の配当控除を使いたい場合は総合課税を比較します。税金の還付だけでなく、世帯の負担がいくら変わるかで決めましょう。
この記事は、日本に住む個人が受け取る国内の上場会社の配当金を中心に説明します。大口株主等、非上場株式、海外の金融機関から直接受け取る配当には別の取扱いがあるため、この判断をそのまま当てはめないでください。制度は2026年9月時点で確認しています。
配当金の税金には3つの選び方がある
課税口座で国内上場株式の配当を受け取ると、通常は所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%、合計20.315%が差し引かれます。原則として、その配当は確定申告をしない選択ができます。これを「申告不要制度」といいます。
| 方法 | 主な特徴 | 比較したい場面 |
|---|---|---|
| 申告不要 | 通常20.315%の徴収で完結。配当控除は使わない | 口座内の損益通算で足りる、申告による世帯負担の増加が大きい |
| 申告分離課税 | 税率は通常20.315%。対象となる上場株式等の売却損と通算できる | 別の証券会社の損失や、繰り越した損失がある |
| 総合課税 | 給与などと合わせて税額を計算。対象配当には配当控除がある | 配当控除を使った場合に税額が下がる |
所得税と住民税で別々の課税方式を選ぶことはできません。2023年分の所得に対する2024年度の住民税から統一されています。「所得税は総合課税、住民税だけ申告不要」という組合せは、現在の申告では使えません。
申告する上場株式等の配当については、総合課税と申告分離課税を混在させず、いずれかを選びます。また、源泉徴収口座内の配当は口座単位の選択となるなどのルールがあるため、都合のよい金額だけを切り出して申告するものではありません。
申告書を作る前に、口座内の損益通算を確認する
「特定口座・源泉徴収あり」で、その口座に配当金を受け入れていれば、同じ口座の対象となる売却損と配当を証券会社が自動で通算できます。この範囲で完結するなら、通算のためだけに確定申告をする必要はありません。
- 証券会社の口座情報で「特定口座・源泉徴収あり」になっているかを確認する。
- 国内株の配当受取方法が「株式数比例配分方式」で、配当を特定口座へ受け入れる設定になっているかを確認する。
- 年間取引報告書で、配当金額、譲渡損失、配当から徴収された税金と通算後の結果を確認する。
- ほかの証券会社の損失や前年以前からの繰越損失が残る場合に、確定申告での通算を検討する。
設定を変更しても、すでに受け取った配当までさかのぼって通算されるとは限りません。次の配当の権利確定前に、証券会社が案内する変更期限と適用時期を確認しておきましょう。
口座の区分で迷う場合は、特定口座の「源泉徴収あり・なし」の違いも参考になります。
自分の状況から確認先を選ぶ
同じ口座に配当と売却損
年間取引報告書で自動通算を確認。二重に還付を見込まない。
他社の損失・繰越損失がある
申告分離課税で通算した場合の税額を試算する。
国内株の配当控除を使いたい
総合課税の税額を試算。配当を加えた後の控除も確認する。
申告で税金が減りそう
保険料・医療費負担・家族の控除まで比べてから提出する。
売却損があるとき:申告分離課税でいくら変わる?
たとえば、A証券で配当金30万円、B証券で上場株式の売却損20万円があり、ほかに利益・損失がないとします。口座をまたぐこの損失は、A証券だけでは自動通算できません。
| 比較 | 計算例 |
|---|---|
| 通算しない場合の配当への税金 | 30万円 × 20.315% = 60,945円 |
| 申告して通算した後 | (30万円 − 20万円)× 20.315% = 20,315円 |
| 税負担が減る金額 | 60,945円 − 20,315円 = 40,630円 |
端数処理を省いた例で、所得税等と住民税を合わせた差額です。すべてが同時に一度の振込で返るという意味ではありません。すでに口座内で通算した損失を、もう一度差し引くこともできません。
対象となるのは、制度の要件を満たす上場株式等の実現した譲渡損失です。保有中の含み損や、NISA口座の損失は使えません。給与や銀行預金の利息と自由に相殺できる制度でもありません。
通算しても残った対象の損失は、要件を満たせば翌年以後3年間の繰越控除ができます。繰越しには損失が生じた年の申告に加えて、その後も連続した申告が必要です。株を売買しなかった年も申告を忘れないようにします。
配当控除を使うとき:年収だけで有利・不利を決めない
国内株の配当を総合課税で申告すると、一定の配当控除を税額から差し引けます。一般的な国内会社の配当では、課税総所得金額等が1,000万円以下の範囲について、所得税の控除率は10%、住民税は合計2.8%です。所得が高い場合や配当の種類によって控除率は変わります。
外国法人の配当やJ-REITの分配金には、この配当控除はありません。投資信託の分配金も商品によって扱いが異なるため、「配当・分配金なら一律10%控除」と計算しないようにします。
配当10万円を追加したときの比較例
配当を加える前後で所得控除などが変わらず、増えた課税所得の全額が所得税20%の税率帯に入る人を考えます。国内会社の対象配当10万円に所得税10%・住民税2.8%の配当控除を使え、控除しきれるだけの税額があることが前提です。住民税は標準税率10%、自治体の超過課税や端数処理は省きます。
- 申告不要の税負担:10万円 × 20.315% = 20,315円
- 総合課税で増える所得税等:10万円 ×(20% − 10%)× 1.021 = 10,210円
- 総合課税で増える住民税:10万円 ×(10% − 2.8%)= 7,200円
- 総合課税による税負担の差:20,315円 − 17,410円 = 2,905円の減少
この例では税金が2,905円減ります。しかし、それを上回る保険料の増加などがあれば世帯の手取りは減ります。逆に、ほかの条件が同じでも、増えた所得の全額に23%の所得税率がかかる例では、合計20.473%となり、申告不要の20.315%をわずかに上回ります。
「課税所得695万円以下なら必ず得」とは言い切れません。配当を加えて税率の境界をまたぐ場合、基礎控除などの金額が変わる場合、住宅ローン控除などと重なる場合は、税額全体で比較します。配当控除は算出税額が上限で、使い切れない控除がそのまま追加の給付になるわけではありません。
2026年分は基礎控除なども改正されています。2025年分の試算画面や控除表を、そのまま2026年の申告判断に使わないようにしましょう。申告する年分に対応した計算を使うことが大切です。
還付より大きな負担を増やさないための確認表
申告不要を選んだ対象の配当は、通常、扶養控除などの判定に使う合計所得金額に含めません。一方、申告すると、その判定や住民税、保険料などへ影響する場合があります。
| 自分の状況 | 提出前に確認すること |
|---|---|
| 国民健康保険に加入 | 申告による翌年度の保険料の差。市区町村の担当窓口で試算方法を確認 |
| 高齢者の医療制度・介護保険を利用 | 保険料に加え、医療機関の窓口負担割合などへの影響 |
| 家族が自分を税法上の扶養にしている | 家族の配偶者控除・扶養控除などがどう変わるか。年齢と申告年分も確認 |
| 家族の勤務先の健康保険に入っている | 加入先が配当収入をどう認定するか。税金の申告不要だけでは判断しない |
| 住民税の非課税判定に関係する制度を利用 | 非課税判定や利用している給付・減免の所得条件への影響 |
税法上の所得と健康保険の収入認定は同じではありません。確定申告をしなくても、継続的な配当収入を被扶養者の収入に含める健康保険組合があります。勤務先の家族手当も会社ごとの規定なので、税金と合わせて一つの「扶養の壁」で判断しないでください。
問い合わせるときは、「税引前の配当金」「同じ年の売却損」「前年以前の繰越損失」を分けて伝えると確認しやすくなります。税の控除判定と保険料の計算では、繰越損失などの扱いも同一とは限りません。
実際に比較するときの手順
- 各証券会社の年間取引報告書、給与や年金の源泉徴収票、前年の確定申告書と繰越損失の資料をそろえる。
- 口座内の通算済みの金額と、他社の損失を分けて一覧にする。
- 対象年分の申告書作成画面などで、申告不要・総合課税・申告分離課税のうち自分が選べる方法を試算し、提出前の計算結果を保存する。
- 住民税と保険料、家族の税金の増減を確認する。分からない制度は担当窓口へ、申告前に確認する。
- 世帯の負担と手続きの手間を比べて選び、申告する場合は住民税に関する欄も確認して提出する。
試算を保存するときは、年分と課税方式をファイル名に入れると混同を防げます。国税の還付額だけをメモせず、住民税や保険料の確認結果も同じ場所に残しておきましょう。
いったん選択した申告不要・総合課税・申告分離課税を、後から修正申告や更正の請求で自由に変更することはできません。「まず出してから保険料を確認する」という順番は避け、比較を済ませてから提出します。
配当金の確定申告でよくある疑問
NISAの国内株の配当にも税金がかかる?
非課税で受け取るには、配当受取方法を「株式数比例配分方式」にする必要があります。銀行口座での受取など、ほかの方法では課税されることがあるため、権利確定前に設定を確認してください。NISAで生じた損失は、課税口座の配当との損益通算には使えません。
配当が20万円を超えると必ず申告が必要?
この記事で扱う申告不要制度の対象配当は、金額が20万円を超えることだけを理由に申告が必要になるものではありません。給与所得者の「給与以外の所得20万円以下」という申告省略の条件と、配当の申告不要制度は分けて考えます。株の売却益については、口座の区分などに応じて別に判断します。
医療費控除で申告すると配当も必ず申告する?
申告不要制度を選べる配当は、ほかの理由で確定申告する場合も申告不要を選べます。ただし、源泉徴収口座の譲渡損失を申告するときは、同じ口座の配当も申告する必要があるなど、選択の組合せに制限があります。
制度と手続きの確認先:国税庁「配当金を受け取ったとき」、鎌倉市「株式などの配当所得や譲渡所得等について」、SBI証券「NISAの国内株式の配当受取方法」。保険料の試算は、お住まいの市区町村や加入している保険の窓口で確認できます。
データ使用量に応じて料金が決まり、使いすぎた月でも上限が見えやすいのが強み。申し込み前に、専用ページ経由の特典を確認しておきましょう。
- 毎月のスマホ代を見直したい
- データ利用量が月によって変わる
- 楽天ポイントも活用したい
- 専用ページ経由で申し込む
- キャンペーン条件を確認する
- MNPの手続き期限に注意する
公式ページで条件を確認してから、そのまま申し込みできます。
