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主婦が扶養の範囲内で働くという意味と金額・計算方法。扶養から外れたら負担はどのくらい増える?

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扶養の範囲内で働くというのはよく聞かれる言葉ですね。一般的にはパートをしている主婦や、学生などが配偶者や両親の扶養に入っている人がそれをはずれない範囲内でお金を稼ぐという意味です。

単に扶養といっても大きく「税金(税制)における扶養」と「社会保険制度における扶養」との二種類があり、それぞれで制度が異なっています。そのため、扶養の範囲内で働くという場合は、そのどちらの扶養なのか?ということをはっきりさせておく必要があります。

今回は、主婦が扶養の範囲内で働くということと、その詳しい仕組み、注意点などをまとめていきます。

主婦の扶養は「税法上」と「社会保険上」の二つの扶養がある

扶養は大きく「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の二つがあるということを説明しました。この扶養についてまずは理解しましょう。

税法上の扶養というのは、夫(扶養者)の扶養に入ることができる範囲ということで、妻が不要範囲内であれば夫は配偶者控除(配偶者特別控除)を利用することができます。

続いての社会保険上の扶養というのは夫が会社員(社会保険に加入)している場合に関係してきます。この扶養の範囲を超えた場合には扶養から外れて国民健康保険料や国民年金保険料などの負担が生じることになります。

以下では、それぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。

 

税制上の扶養(税法上の扶養)

税制上の扶養というのは、所得税(住民税)における扶養控除に関するものです。

所得税(住民税)というのは一定の所得に対してかかる税金のことです。この所得税・住民税の計算をするとき、一定の条件を満たした被扶養家族がいある場合に、所得控除(配偶者控除・扶養控除)を受けることができるようになっています。

専業主婦の場合は夫の税金が安くなるというわけですね。

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主婦の扶養は「配偶者控除」という控除で所得税は38万円で、住民税は33万円となります。
ここに税率をかけた分だけ夫の所得税、住民税が安くなります。

仮に所得税率を20%(所得に応じて変動)、住民税率は10%(固定)とすると、専業主婦の妻が税法上の扶養に入っているとき「38万円×0.2+33万円×0.1=10.9万円」だけ夫の税金が安くなるという事になります。

収入と所得の違いについては「額面収入(税込年収・給与)と手取り、所得の違いを理解しよう」でまとめているので詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

 

主婦が扶養の範囲で働くという条件

計算期間は1月1日~12月31日まででその期間に支給された金額となります。

たとえば12月にパートとして働いたお給料が翌年1月1日以降に支給される場合、その給料分は今年の所得の計算には含みません。

この金額が一定額を超えると、夫の配偶者控除/配偶者特別控除が利用できなくなり、税金が増えます。

ただし、配偶者特別控除は以下のように徐々に小さくなるように設計されているので、急に控除が使えなくなり負担が急増するという事はありません。

控除額は妻の収入と夫の収入に応じて以下のテーブルのように変化する設計になります。

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2018年以降の配偶者控除 主な稼ぎ手の年収
1120万円以下 1170万円以下 1220万円以下 1220万円超





150万円以下 38万円 26万円 13万円 0万円
155万円以下 36万円 24万円 12万円 0万円
160万円以下 31万円 21万円 11万円 0万円
167万円以下 26万円 18万円 9万円 0万円
175万円以下 21万円 14万円 7万円 0万円
183万円以下 16万円 11万円 6万円 0万円
190万円以下 11万円 8万円 4万円 0万円
197万円以下 6万円 4万円 2万円 0万円
201万円以下 3万円 2万円 1万円 0万円
201万円超 0万円 0万円 0万円 0万円

以上からわかる通り、税法上は扶養から外れたとしても、夫の税金が急激に高くなったりすることはありません。

 

注意すべきは夫の勤務先の配偶者手当などの手当面

税法上の扶養の影響はさほど大きくないと書きましたが影響が大きいのは夫の勤務先でもうけられている配偶者手当などの手当て面です。

会社の配偶者手当は税法上の扶養かどうか?を基準に支給の可否としている会社があります。こちらは税法上の扶養の範囲を超えたら不支給となることが多いため、注意したいところです。

2015年の職種別民間給与実態調査によると配偶者手当や家族手当などの家族に対する手当があるのは全体の76.5%でそのうちの44.6%の企業が配偶者手当の支給要件を年収103万円以下としています。
引用元:配偶者手当の見直しとは?配偶者手当の仕組みや企業の対応

一方で、政府は配偶者控除の見直しに合わせ企業に対し手配偶者手当についての見直しを求める声明を発表しており、これに合わせてトヨタやホンダなどは配偶者手当を廃止し、その代わりに子ども向けての手当てを増額するなど変化がみられています。

 

社会保険上の扶養(健康保険・年金)

夫がサラリーマンの場合、専業主婦が注意すべきなのは、上記の税制上の扶養ではなく、社会保険上の扶養です。こちらでは、扶養から外れることによってほぼ間違いなく、所得の逆転現象が起こってしまいます。

ただし、この社会保険上の扶養で影響を受ける主婦は夫がサラリーマンまたは公務員のケースだけです。

夫が自営業や無職の方などの場合は社会保険(厚生年金+健康保険)ではなく、国民年金+国民年金に加入することになっており、後者には扶養の概念はありません。

サラリーマンの夫がおり、その妻(主婦)の方などで社会保険上の扶養に入っているというのは下記の「第3号被保険者」を指します。

第1号被保険者 20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、無職の人
第2号被保険者 国民年金加入者のうち、会社員や公務員など厚生年金に加入している人
第3号被保険者 第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の見込みの人)

 

社会保険における扶養の条件は?

上の表にも書いていますが、妻の年収が130万円未満の見込みであることです。

ややこしいのですが、税法の場合は所得が38万円未満(給与収入だと103万円)というように所得がベースなのですが、社会保険は収入(額面)が対象になります。

主婦のパートという場合であれば、交通費を含む額面の収入が年130万円を超えた場合には扶養からはずれます。また、基準は見込みなので月間の収入が10.83万円を連続して超えた場合、扶養から外れてしまいます

何か月連続で扶養から外れるかは夫(第2号被保険者)が加入している健康保険によって対応が異なりますが、一般的には3か月連続としているところが多いようです。

 

扶養を外れたらどうなる?

扶養を外れた場合、第1号被保険者となります。

第3号被保険者は「国民年金保険料が事実上の免除+健康保険料免除」という扱いになっています。これが第1号被保険者になると「国民年金保険料+国民健康保険」の二つの保険料を支払う必要が出てきます。

その負担額は年間で数十万円になります。

上記は第2号被保険者の妻がパートで働いたときの最終的な手取りの収入を示した表です。

ガクンと落ちているのがわかると思いますが、これがいわゆる130万円の壁です。表からもわかる通り、手取りベースで逆転現象が起こっています。

これは、第3号被保険者が恵まれすぎているという批判にもつながっているわけですが、制度のひずみの解消はなかなか難しいようです。

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パート先によっては扶養の範囲内でも第2号被保険者となることもある

また、年収130万円が第2号被保険者の扶養に入る条件ですが、妻が勤務先の社会保険加入の条件を満たした場合は、妻自身が第2号被保険者となる場合があります。

第2号被保険者となる条件を満たした場合は、収入にかかわらず第3号被保険者から第2号被保険者となりますので、こちらも注意しておく必要があります。第2号被保険者となると、夫の扶養から外れて、「厚生年金+健康保険料」の支払いが必要になります。

第2号保険者の年金保険料や健康保険料は会社が半額負担しているので上記のグラフほどの急激な手取りの減少とはなりませんが、それでも逆転現象は起こります。

社会保険への加入条件は会社の規模によって異なり下記のとおりです。

従業員501名以上の企業 1)週の労働時間が20時間以上
2)賃金月額が月8.8万円(年106万円以上)
3)1年以上の使用されることが見込まれる
上記以外の会社 通常の社員の3/4以上の労働時間、3/4以上の労働日数があること

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上記の表からもわかりますが、大企業でパートとして働く場合は年収130万円の基準の前に、社会保険加入の条件を満たしてしまうことになります。

 

社会保険への加入は必ずしも悪いことばかりではない

妻が社会保険に加入することは保険料負担というデメリットはあるものの、マイナスだけではありません。

  • 傷病手当金(病気や怪我で仕事ができないときの給料補償)
  • 厚生年金加入により、将来の受け取り年金額がアップ
  • 産休・育児休暇等の際に収入が保証される

といったようにプラスの面もあります。できることならバリバリ稼ぎたいというのであれば、社会保険への加入もプラスになる場合がります。

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以上、主婦が扶養の範囲内で働くという意味と金額・計算方法。扶養から外れたら負担はどのくらい増えるのかということを紹介しました。

ABOUT ME
ふかちゃん
マネーライフハックの編集長 兼 管理人です。節約やマネー術などについての情報発信を2004年から続けています。
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