優待クロス取引(つなぎ売り)のやり方とコスト!楽天・松井証券の便利サービスも徹底解説
最近では多くの企業が株主に対しての還元策、個人投資家を増やす為の施策として「株主優待」という制度を設けています。株主に対して自社の商品やサービス券などをプレゼントするもので、各社とも様々なサービスを用意しています。
そうした株主優待を、株価下落のリスクを抑えながら取得する「優待クロス取引(つなぎ売り)」という手法があります。この方法は非常に有効ですが、手数料や配当落調整金の実質コスト、そして「逆日歩」などのリスクをしっかりと理解しておかないと思わぬ損をすることにもなります。最新の証券会社のサポートサービスと併せて、やり方や注意点を詳しく解説します。
株主優待の基本と権利取得のタイミング
株主優待はある特定の日に株主でいる人に対して配られることになります。この日のことを「権利確定日」といい、企業ごとに異なります。
権利確定日の時点で株を持っていれば(株主名簿に名前があれば)、たった1日だけの株主であっても株主優待を受け取ることができるようになります。各企業の権利確定日についてはYahoo!ファイナンスなどで確認することができます。また、SBI証券やmoomoo証券などの証券会社では「株主優待から探す」という機能があり、各優待企業の権利付き最終日も確認可能です。
一般的には、3月決算の企業であれば3月末日が「権利確定日」となりますが、一部の企業では15日や20日といった変則的な日付を採用しているケースもあるのでご注意ください。
株主優待の基本については以下の記事でまとめています。
実際に購入する日は「権利付最終日」
株式の受け渡し(名簿に名前が載るまで)には2営業日かかります。そのため、権利確定日の時点で株主名簿に名前が載るには、その2営業日前である「権利付最終日」までに株を買っておく必要があります。
たとえば、3月31日が権利確定日の場合は、土日祝日を除いた2営業日前の日に株を買う必要があります。そしてその翌営業日(権利落ち日)以降なら、株を売っても株主優待を受け取る権利は残ります。
なお、いつまでに買えばいいのか?ということについては「株主優待受取カレンダー」で毎年まとめていますので、こちらも参考にしていただければと思います。
権利落ちによる株価下落リスク
たった1日だけ株主になれば優待がもらえるなら、権利だけもらって翌日にすぐ売ればいいのでは?と考えるかもしれません。確かにそれで権利は取得できます。
しかし、1日の違いで株主優待や配当金が受け取れなくなるため、権利付最終日の翌日(権利落ち日)には、もらえる配当や優待の価値に相当する分だけ株価が下落するのが一般的です。
カゴメの例(過去の相場変動イメージ)
- 権利付最終日の終値:2,115円
- 権利落ち日の始値:2,100円(-15円)
※実際の株価や日付は年によって変動します。あくまでイメージとして捉えてください。
上記のように、市場は「優待や配当が受け取れなくなること」を織り込んでスタートします。これを「権利落ち」と呼びます。普通に株を買って翌日売るだけでは、優待をもらえても株価の下落でトータルマイナスになるリスクがあります。
株価下落リスクを回避する「優待クロス取引(つなぎ売り)」
株価下落のリスクをゼロにして優待を取得する手法が「株式を買っておいて、同時に信用取引で空売りをする」という優待クロス取引(つなぎ売り)です。
信用取引の「空売り」とは、証券会社から株を借りて市場で高く売り、後で買い戻して株を返すことで差額を得る取引です。株価が下がれば利益が出ます。
たとえば、ある銘柄を100株「現物買い」し、同時に同じ銘柄を100株「信用売り(空売り)」します。
翌日の権利落ちで株価が下落した場合、買った現物株では損失が出ますが、空売りした信用建玉では同額の利益が出るため、損益をプラスマイナスゼロに相殺できます。
注意:配当落調整金による実質コスト
クロス取引をすると、現物株で配当金を受け取れる一方で、空売りしている信用建玉の方では「配当落調整金」を支払う義務が生じます。プラスマイナスゼロに思えますが、実はここに税金分の差額コストが発生します。
現物で受け取る配当金からは約20.315%の税金が引かれますが、支払う配当落調整金は100%全額を支払わなければなりません。つまり、配当金の約20.315%分が実質的なマイナスコストとして発生する点に注意が必要です。
優待クロス取引のやり方と貸株料コスト
優待クロス取引を行うには、証券会社に口座があり、審査を経て「信用取引口座」を開設していることが条件となります(信用取引口座には投資経験や金融資産などの審査があります)。
- 権利付最終日までに、対象銘柄の「現物買い」と「一般信用の新規売り」を同じ株数で、同じ価格になるよう発注する(通常は市場が開く前に「成行」で同時発注)。
- 注文が同値で成立(約定)していることを確認する。
- 翌営業日(権利落ち日)に「現渡し(げんわたし)」を使って決済する。
「現渡し」とは、自分が持っている現物株を証券会社に引き渡すことで、空売りを清算する方法です。市場で買い戻すわけではないため、売買手数料を節約できます。
貸株料のコスト計算例
信用取引で株を借りるため、借りている日数分の「貸株料」という利息コストが発生します。計算式は以下の通りです。
貸株料 = 投資金額 × 年率(証券会社による) ÷ 365日 × 借入日数
【計算例】
株価2,000円の銘柄を100株(投資金額20万円)、年率3.9%で7日間借りた場合
200,000円 × 3.9% ÷ 365日 × 7日 = 約149円の貸株料
優待品の価値がこの貸株料や各種手数料、配当落調整金の合計コストを上回っていれば、お得に優待をゲットできたことになります。
超便利!楽天証券と松井証券の優待クロスサポートサービス
優待クロス取引は発注の手間やタイミングが複雑ですが、現在では証券会社が専用のワンストップサービスを提供しており、初心者でも非常に簡単に行えるようになっています。代表的な2社のサービスを比較・解説します。
松井証券「優待クロス注文」
2021年1月に業界に先駆けて提供開始された松井証券のサービスです。
通常のクロス取引で必要な「市場が開く前に成行注文を出して同値で約定させる」というタイミング合わせが不要で、ToSTNet市場(立会外取引)を利用して取引時間中でも安全に同値で約定させることができます。清算(現渡し)の自動セットも可能です。
また、松井証券は「1日の合計約定代金が50万円以内なら売買手数料無料」という枠組みがあるため、小額の優待銘柄であれば貸株料と配当調整額のみでクロスが可能です。
楽天証券「らくらく優待取引™」
2025年12月にリリースされた楽天証券のサービスです。権利落ち日の2カ月前から対象銘柄を検索し、「現物買い・信用売り・現渡し(決済)」の3つの注文を1回の操作でまとめて予約できるのが最大の特徴です。NISA口座では利用できません。
【要注意】制度信用の誤選択リスク
らくらく優待取引では、一般信用在庫がない場合に「制度信用取引」を画面上で簡単に選択できてしまいます。制度信用でクロス取引を行うと、後述する高額な「逆日歩」の支払い義務が生じるリスクがあるため、注文時には必ず「一般信用」が選択されているか確認が必要です。
楽天証券と松井証券のサービス比較表
| 項目 | 楽天証券(らくらく優待取引™) | 松井証券(優待クロス注文) |
|---|---|---|
| 一括注文の範囲 | 買い + 売り + 決済(現渡し) | 買い + 売り + 決済(自動返済) |
| 逆日歩リスク | 制度信用選択時に発生 | 発生しない(短期信用を利用) |
| 売買手数料 | 残高やコースに依存(ゼロコース等あり) | 1日50万円以内なら無料 |
| 発注のタイミング | 前場寄付前、または後場寄付前に予約 | 取引時間中いつでも同値約定が可能 |
「逆日歩」で大損!制度信用リスクと回避策
理屈の上では優待を少額コストでゲットできるクロス取引ですが、「逆日歩(ぎゃくひぶ)」という追加コストが発生する例外があります。
逆日歩とは、証券取引所のルールに基づく「制度信用取引」で空売りが急増し、貸し出す株が不足した際に、外部から株を調達するための費用のことです。この費用は空売りをしている投資家全員が負担しなければなりません。数千円の優待をもらうために、数万円の逆日歩を支払って大赤字になるケースが頻発しています。
過去の高額逆日歩の事案(一部)
- ホットランド(2017年12月):1,500円相当の優待に対し13,500円の逆日歩
- 伊藤ハム(2016年3月):5,000円相当の優待に対し36,000円の逆日歩
- 日本研紙(2015年12月):お米3kgの優待に対し40,000円の逆日歩
- 音通(2012年9月):3,000円分の優待に対し90,000円の逆日歩
休日や祝日が絡んで借入日数が長くなる連休前などは特に危険です。高額逆日歩の仕組みや詳細事例については以下の記事で解説しています。
回避策は「一般信用取引」の活用
逆日歩を回避する唯一にして絶対の方法は、証券会社が独自のルールで貸し出す「一般信用取引」を利用して空売りをすることです。一般信用取引であれば、仕組み上逆日歩は絶対に発生しません。
現在はSBI証券、楽天証券、松井証券、auカブコム証券、マネックス証券など、多数のネット証券が一般信用取引での空売りに対応しています。
一般信用は「在庫争奪戦」になる点に注意
一般信用取引は、証券会社が保有している株の在庫分しか空売りができません。そのため、人気の優待銘柄は権利付最終日の前日や当日にはすでに「在庫切れ(売り切れ)」となっており、注文できないことがほとんどです。
確実に取得するためには、権利月の1〜2カ月前など早い段階から貸株料コストを許容して在庫を確保(クロス取引を開始)する戦略が必要です。
その他の注意点(長期保有条件と優待廃止リスク)
優待クロス取引が広く認知されたことで、企業側も対策に乗り出しています。
- 長期保有条件の追加
「権利確定日に株主名簿に記載されていること」だけでなく、「1年以上継続して保有(同一株主番号であること)」といった縛りを設ける企業が増えています。単発のクロス取引では優待がもらえない銘柄も多いため、優待条件を事前によく確認しましょう。 - 突然の優待廃止リスク
一般信用の在庫を早期に確保してクロス取引を完成させた後、企業が「株主優待の廃止」を発表するリスクもゼロではありません。この場合、優待はもらえないのに貸株料などのコストだけが発生してしまいます。業績が極端に悪化している銘柄などには注意が必要です。
以上、株主優待のタダ取り(クロス取引・つなぎ売り)の仕組みと、最新の証券会社サービス、そして注意点について解説しました。リスクとコストを正確に把握し、便利なツールを使いこなしてお得な優待生活を始めましょう。
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