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人気の株主優待銘柄で発生する高額逆日歩の理由と事例

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逆日歩というのは、「信用買い残高<信用売り(空売り)残高」となることで、証券金融会社が不足している空売りのための株を調達する際にかかるコストです。

特に株不足が大きくなると調達コスト(入札金額)が跳ね上がり、時に高額な逆日歩が発生することがあります。

今回はそんな株主優待銘柄で逆日歩が発生する理由と対策について紹介していきます。

株主優待銘柄で空売りが急増する理由

これは単純です。いわゆる株主優待クロス取引というものが行われるからです。

株主優待銘柄を権利確定日の時点で保有していると(権利付き最終日に持ち越すと)、優待を得る権利が得られます。

一方でその翌日(権利落ち日)には権利落ちに伴う株価下落があります。この権利落ちの内、配当金については調整がされますが、株主優待の権利落ちの調整はありません。

それを利用(?)して、「現物買い」+「信用売り(空売り)」をすれば以下のようになります。現物買い+信用売りを同数で行えば、それ以降の株価に対しては中立となります(変動しても1円も損益が発生しない)。

その状況における権利関係は以下のようになります。

<現物買い>
+配当金を受け取る権利
+株主優待を受け取る権利

<信用売り>
▲配当金相当の調整額

配当金分はプラマイゼロとなりますが、株主優待を受け取る権利だけが残ります。翌日株価が下がっても、現物買い+信用売りをしているので株価の影響はゼロです。

現渡(現物株で信用売りの返済をする)をすれば、それで取引は完了します。これが株主優待クロス取引と呼ばれるものです。

一部では、株の売買手数料はかかりますが、株主優待のタダ取りなどということもありますね。

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高額な逆日歩が発生する理由

もう、理由はお分かりかもしれませんが、このように「現物買い+空売り(信用売り)」がセットで行われるという事は、信用売りが増えやすいわけです。

特に、個人投資家に人気の株主優待銘柄(優待利回りが高い銘柄)に人気が集中しやすくなります。

一定のレベルであれば、逆日歩が発生したとしても、そう大きな金額にはなりませんが、株主優待銘柄に対しては「権利付き最終日にまとまって空売りが行われる」ことになります。

そのため、急激に株不足となる可能性があるわけです。

そして急増した空売りによって極端な株不足が生じることがあるわけです。

株不足が生じた場合、証券金融会社は入札を行って、機関投資家などから株を借ります。この時の株不足が顕著な場合には逆日歩の金額が高額となる場合があるわけです。

 

特に気を付けたい4月末と12月末の優待銘柄

逆日歩は「受渡日」をベースに発生します。株主優待の権利取りのクロス取引の場合、購入日の翌営業日に売る(ないしは現渡)をして処分するはずです。

ただし、逆日歩は「受渡日」をベースに計算します。

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その結果、逆日歩日数(品貸日数)が長期化することがあります。

たとえば、2018年12月25日(権利付き最終日)の受渡日は12月28日です。そして翌営業日の12月26日(権利落ち日)に売却(現渡)した場合の受渡日は2019年1月4日になります。

逆日歩が発生する、品貸日数は2018年12月28日~2019年1月4日までの「7日間」となります。逆日歩が発生した場合「逆日歩金額×7日」となり高額化しやすいです。

そのため4月末と12月末はゴールデンウィークや年末年始を挟むため逆日歩日数が長期化しやすい傾向があります。

※その他の月でも土日を挟むことで3日程度の逆日歩がかかることがあるのでご注意ください。

※2019年4月末はGWが天皇陛下の退位や皇太子さまの即位で10連休となる可能性が高く、この場合の品貸日数は11日となります。

 

過去の高額逆日歩の事例

過去に株主優待関連で高額な逆日歩が発生した事例の一部を紹介していきます。

数数えきれないほどの逆日歩案件があるわけですが、中でも個人的にインパクトの強かったものを紹介していきます。

 

音通の高額逆日歩 投資額の120%を失う

歴代の株主優待クロス取引の逆日歩の中でも伝説的な案件です。2012年9月末優待銘柄だった音通(株価15円)です。5000株で3000円相当の蕎麦がもらえるという優待銘柄です。

これに対して、逆日歩は1株あたり6円(×3日分)でした。つまり1株あたり18円もの逆日歩が発生したことになります。

5000株(75,000円相当)の空売りに対して逆日歩90,000円を支払う羽目になったわけです。

3000円相当の蕎麦を手に入れるための逆日歩が9万円という、ショッキングな高額逆日歩事案でした。

 

日本研紙の高額逆日歩 おこめ券1320円分に対して4万円逆日歩

2015年12月末に発生しました。日本研紙は「おこめ券」を株主優待として提供していました。1000株で3枚相当(1320円相当)でした。

これに対しする逆日歩は8円(1日あたり)です。12月末という事で、年始の休業を挟み、逆日歩日数は5日間となり、1株あたり40円の高額逆日歩となりました。

1000株分なので4万円の高額逆日歩が発生しました。1320円相当のお米を4万円で手に入れる羽目になったわけです。

 

逆日歩常連、湖池屋の高級ポテチ

湖池屋は100株保有で2500円相当の自社商品(ポテチ)がもらえます。ちなみに、湖池屋は高額逆日歩の常連といえる銘柄です。

2018年12月末は83.2円の逆日歩が付きました。品貸日数が7日間であるため総額は58,240円となりました。どんな高級ポテチだよ?ってなりますね。

ちなみに逆日歩常連と書いているように高額逆日歩の名門銘柄です。

  • 2014年12月:14400円相当の逆日歩
  • 2015年12月:25600円相当の逆日歩
  • 2016年12月:32000円相当の逆日歩
  • 2017年12月:逆日歩なし
  • 2018年12月:58240円相当の逆日歩

2017年に逆日歩が発生しなかったことで甘く見たクロス投資家がやられてしまった格好です。

 

高額逆日歩をあえて狙って“信用買い”する戦略も

なお、こうした優待銘柄の高額逆日歩銘柄について、あえて信用買いするという戦略もあります。

逆日歩は発生した場合、入札に応じた機関投資家と信用買いをしている投資家に付与されます。

たとえば、前述の湖池屋の株を2018年12月25日(終値:5,120円)で100株信用買いしたとしましょう。

翌営業日の2018年12月26日の始値(5,000円)で売却した場合、100株の投資で12,000円の損失が発生しますが、逆日歩で58,240円を受け取れますので差引で46,240円の儲けとなります。

512,000円に対して46,240円の利益(9.03%)はかなり美味しかったですね。

もちろん、逆日歩が発生する/しないは後(翌営業日のお昼ごろ)にならないとわかりませんので不確実性は伴います。