明治安田生命じぶんの積立のメリット、デメリット。税効果が高い個人向けの節税保険
明治安田生命が販売している積立型の保険に「じぶんの積立」があります。この保険の最大の特徴は、一般的な貯蓄型保険の常識を覆す、払込保険料の累計額と同額以上の解約返戻金が常に確保される設計になっている点です。つまり、いつ解約しても元本割れをしないという極めて珍しい特徴を持っています。
本来、保険を使った積立や貯蓄に対してはコストの不透明さから積極的になりにくいものですが、この商品に限っては、まだ生命保険料控除の枠を使っていない人であれば、最優先で検討に値する優秀な金融ツールに化けます。
今回は、金利上昇や最新の税制改正を踏まえたじぶんの積立のメリット、デメリット、そして最も効率の良い活用方法を詳しく紹介します。
- 解約返戻金が払込保険料の累計額を下回らないため、いつでもノーリスクで解約できる
- 2026年分の所得税から適用される改正により、子育て世帯はさらに節税額が増加
- 節税メリットを除いた商品自体の純粋な利回りは、現在の定期預金金利と比較するとかなり低い
- 第一生命「ステップジャンプ」などの個人年金保険とは控除枠が異なるため併用が可能
明治安田生命のじぶんの積立とは?基本スペックの確認
じぶんの積立は、手堅い減税効果を狙う層から非常に高い支持を得ている商品です。保険という名前がついているものの、その実態は「一般生命保険料控除が丸々使える、いつでも解約可能な積立貯金」のような設計になっています。
基本となる商品スペックは以下の通りです。
- 保険料の払込期間は5年、満期は10年
- 掛金は1口5,000円単位で、月額最大2万円(4口)まで設定可能
- 10年の満期まで保持すると、一律103%の満期保険金が戻る(確定利回り)
- 5年以内の積立途中や払込終了後に解約しても、解約返戻率は常に100%以上を維持
- 加入時の医師による診査や健康状態の告知が不要、持病や既往歴があっても加入できる
- 払込期間中に死亡した場合は既払込保険料相当額の死亡保険金(災害死亡は1.1倍)、5年以降は死亡日の積立金相当額を支給
保険としての保障内容は万が一の際に払い込んだお金が返ってくる程度であり、死亡リスクに対する備えはほとんどありません。また、運用商品として見ると、10年預けてトータル3%(単利換算で年0.3%)というリターンは非常に地味なスペックです。
確率統計の観点から考えると、一般的な保険というものは手数料などの影響で加入者が損をしやすい構造になっているため、不必要な補償にお金を払うべきではないというのが原則です。
したがって、もしもこの保険に税制上のメリットが備わっていなければ、わざわざ選ぶ価値のない商品ということになります。しかし、税法上の所得控除の仕組みと組み合わせることで、人によっては実質的な利回りが跳ね上がる仕組みになっています。
じぶんの積立の最大のメリット:生命保険料控除による税効果
この商品の価値は、いつでもリスクなしに引き出せる状態を維持しながら、国の「生命保険料控除」をフルに活用できる点にあります。いわば、個人向けに最適化された合法的な節税保険です。
毎月の掛金を支払い、年末調整や確定申告で証明書を提出することで、支払った金額に応じた所得控除が適用され、所得税と住民税が直接安くなります。
生命保険料控除の基本ルール
現行の制度において、新しく加入する生命保険の年間支払額に応じた控除額の計算式は以下のようになっています。
| 所得税の控除額(年間支払保険料) | 住民税の控除額(年間支払保険料) |
|---|---|
| 2万円以下:全額控除 2万超4万円以下:支払額×1/2 + 1万円 4万超8万円以下:支払額×1/4 + 20額円 8万円超:一律 4万円(上限) |
1.2万円以下:全額控除 1.2万超3.2万円以下:支払額×1/2 + 6,000円 3.2万超5.6万円以下:支払額×1/4 + 1.4万円 5.6万円超:一律 2.8万円(上限) |
【2026年最新】税制改正に伴う子育て世帯の節税額変化
2026年(令和8年)分以降の所得税計算から適用される税制改正により、23歳未満の扶養親族がいる子育て世帯に限り、一般生命保険料控除の所得税上限額が従来の4万円から6万円へと拡充されました(※住民税の上限額2.8万円、および3区分合計の所得税上限12万円・住民税上限7万円の枠に変更はありません)。
じぶんの積立は、特約のない養老保険の性質を持つため「一般生命保険料控除」の枠に分類されます。そのため、この改正の恩恵を直接受けることができます。
例えば、毎月1万円(年間12万円)をこの保険に積み立てた場合、世帯の区分と所得水準(年収約600万円の会社員、所得税率20%・住民税率10%を想定)によって、毎年の還付・軽減額は以下のように変わります。
- 一般世帯(子育て世帯以外):
所得税控除4万円×20% + 住民税控除2.8万円×10% = 年間 10,800円の節税(支払額に対する実質利回り:約9.0%) - 子育て世帯(2026年分以降):
所得税控除6万円×20% + 住民税控除2.8万円×10% = 年間 14,800円の節税(支払額に対する実質利回り:約12.3%)
いつでも元本と同額以上で解約できる安全な資産の置き場所でありながら、一般の世帯で約9.0%、減税枠が拡大された子育て世帯であれば約12.3%という高い実質利回りを生み出すことができるため、非常に魅力的な資産防衛手段となります。
じぶんの積立は最大4口(月2万円)まで加入できますが、税制上の控除額は年間8万円(月約6,667円)を支払った時点で上限に達して頭打ちになります。そのため、最も節税効率を高く維持できる設計は、2口(月1万円、年間12万円)での加入となります。
知っておくべき約款のルールと最適な加入年数
実質利回りが非常に高いことから、「毎年加入と解約を繰り返せば、常に最高効率のリターンを得られるのではないか」というアイデアが浮かびますが、生命保険会社側も対策を行っています。
現在の保険約款のルールにより、じぶんの積立を一度中途解約した場合、同一の契約者は失効した日から3年間は同じ保険に再加入することができないという制限(ペナルティ期間)が設けられています。
そのため、最も効率よくこの保険のメリットを受け取るための実務的な戦略は、保険料の払込期間である5年間しっかりと継続し、5年分の生命保険料控除の還付を毎年受け取った段階で解約するルートです。5年経過時に解約すれば、増減なしの100%の状態で手元に資金が戻り、次の加入が可能になるまでの3年間のインターバルを経て、再加入を検討するというサイクルが最も合理的です。
逆に、生命保険料控除を考慮しない場合、満期まで10年間据え置いてもトータルの利回りは0.3%(単利)しかありません。近年の金利上昇局面において、一部のネット銀行の定期預金金利が年0.5%〜1.0%を超える水準を提示し始めている状況を考えると、節税効果を使えない状態のままこの商品に資金を長期固定するメリットは極めて低いです。じぶんの積立は、あくまでも生命保険料控除の枠を活用するための商品であるという割り切りが必要です。
じぶんの積立のデメリットと注意点
加入する前に押さえておくべきデメリットや制約も存在します。
1. ネット完結の加入がしにくい(面談の手間)
この商品は、明治安田生命の営業職員(保険営業マン)を介して、対面または対面形式に準じる形での面談手続きが必要となるケースが多いです。生命保険会社側にとっては利益の出にくいドアノック商品(他の利益率の高い保障型保険を提案するためのきっかけ商品)という位置づけであるため、面談の際に別の医療保険や死亡保険の勧誘を受ける可能性があります。不要な保険の提案はきっぱりと断り、じぶんの積立のみに加入するという意志を持つことが求められます。
2. すでに生命保険に加入している人には利用価値がない
すでに民間の掛け捨ての死亡保険や定期保険などに加入しており、自身の一般生命保険料控除の枠(所得税4万円〜6万円、住民税2.8万円)をすでに満額使い切っているという場合、この商品を上乗せしても追加の減税効果は1円も発生しません。その場合は、他の資産運用手段や新NISAへの拠出を優先するべきです。
3. 所得(納税額)がない人は効果が得られない
生命保険料控除は、支払っている所得税や住民税から一定額を差し引く所得控除の仕組みです。そのため、自身の収入が扶養内であり、そもそも所得税や住民税を納めていないという状況であれば、引くべき税金がないため減税効果は一切得られません。
第一生命「ステップジャンプ」など、他枠の節税保険との使い分け
家族全体の減税効果を最大化させたい場合、生命保険料控除の「3つの枠」の存在を意識することが大切です。控除枠には、一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除の3区分が用意されています。
近年、じぶんの積立と同様に元本確保型の節税手段として人気があるのが、第一生命の「ステップジャンプ(指数連動型個人年金保険)」です。
ステップジャンプは、所定の要件を満たすことで個人年金保険料控除の枠を適用できる商品です。一方、じぶんの積立は一般生命保険料控除の枠を使います。
税制上の区分が完全に異なるため、もし自身の個人年金枠と一般生命保険枠のどちらも空いているという高所得者であれば、じぶんの積立(月1万円)とステップジャンプ(月7,000円前後)を同時に保有することで、両方の枠からダブルで減税還付を受けるという強力な併用戦略も成り立ちます。
まとめ:控除枠が空いているなら活用すべき優秀な減税ツール
明治安田生命の「じぶんの積立」は、純粋な資産運用の道具としては利回りが低いため物足りませんが、一般生命保険料控除の枠をまだ使っていない現役の納税者にとっては、実質的な利回りを確実に底上げできる非常に手堅い減税ツールとなります。
特に2026年分以降、子育て世帯においては所得税側の控除上限が6万円に引き上げられたため、該当する世帯での利用価値はさらに高まりました。
新NISAやiDeCoのような本格的なリスク資産運用とは別に、いつでも引き出せる安全な円建ての現金を確保しつつ、確実な節税メリットを手に入れたいという方は、自身の保険の加入状況を確認した上で、賢く活用してみてください。
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