106万円の壁は撤廃済み|社会保険の加入条件と企業規模の変更時期

いわゆる「106万円の壁」の基になっていた、短時間労働者の月額賃金8.8万円以上という要件は、2026年10月1日に撤廃されました。今は「106万円未満に抑えれば、勤務先の社会保険には入らない」とは判断できません。
ただし、同時にすべての企業規模へ適用されたわけではありません。現在の加入条件と、2027年以降に変わる企業規模の条件を分けることが必要です。この記事は2026年10月28日に確認した公式情報に基づきます。[日本年金機構の撤廃案内]
なくなった賃金要件と、残っている加入条件
まず、適用事業所で、週の所定労働時間と月の所定労働日数が、通常の労働者の両方とも4分の3以上なら、原則として加入対象です。この基準を満たさない人について、短時間労働者の条件を確認します。
| 短時間労働者で確認すること | 2026年10月時点 |
|---|---|
| 週の所定労働時間 | 20時間以上 |
| 雇用期間 | 2か月を超える雇用の見込み。短期契約でも更新見込みなどを確認 |
| 学生かどうか | 原則として学生ではない。休学・定時制・通信制などは例外あり |
| 企業等の規模 | 厚生年金の加入対象者が常時51人以上。任意の適用拡大等もある |
| 月額8.8万円以上 | 賃金要件は撤廃済み。ただし特定減額特例対象者には別の取り扱い |
特定減額特例対象者とは、最低賃金の減額特例許可を受け、所定内賃金が月額8.8万円未満となる人です。短時間労働者としては原則加入対象外ですが、事業主を通じた申出で加入できます。単に給与が少ない人全般を指すものではありません。[現在の資格取得要件]

企業規模の変更は、2027年10月から段階的に進む
| 時期 | 短時間労働者への適用対象となる企業等の規模 |
|---|---|
| 2026年10月現在 | 常時51人以上。すでに適用 |
| 2027年10月 | 36人以上へ拡大 |
| 2029年10月 | 21人以上へ拡大 |
| 2032年10月 | 11人以上へ拡大 |
| 2035年10月 | 10人以下の企業等にも適用。企業規模要件を撤廃 |
人数は、単なる店舗の在籍者数ではなく、フルタイムと4分の3基準を満たす人などの厚生年金の加入対象者を基に見ます。法人は原則として法人全体で判断します。勤務先へ、適用事業所の区分と人数の数え方を確認してください。[厚生労働省の適用拡大特設サイト]
50人以下でも、労使合意で任意の適用拡大を行っている場合などがあります。「小さい会社なら週20時間以上でも絶対に加入しない」という判断もできません。
週20時間未満なら、いつでも扶養に残れる?
週20時間は重要ですが、それだけで結論を出さないようにします。4分の3基準に該当するか、契約と勤務実態が一致しているか、扶養認定の収入条件を満たすかは別の確認です。
厚生労働省のQ&Aでは、所定労働時間が週20時間未満でも、実際の労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、その後も続くと見込まれる場合は、3か月目から加入対象としています。一時的な残業だけを指すものではありません。[所定労働時間と実際の勤務のQ&A]
130万円の扶養基準、税金、家族手当は別に確認
106万円の賃金要件は、勤務先の社会保険に自分が加入する条件の話でした。一方、配偶者の健康保険の被扶養者でいられるかは、原則として年間収入見込み130万円未満などの扶養認定の話です。勤務先の加入要件を満たせば、130万円未満でも自分の保険に加入します。
税金の配偶者控除・配偶者特別控除と、会社独自の配偶者手当にも別の条件があります。社会保険の説明を、そのまま税金や会社の手当に当てはめないようにしましょう。
2026年4月以降の、労働契約内容を基にした扶養認定にも、給与収入のみであることなどの条件があります。残業代がある人は必ず扶養内、という一律の制度ではありません。[契約内容による扶養認定の公式案内]
保険料の軽減は、加入した人全員へ自動適用ではない
保険料調整制度は、勤務先の利用状況と本人の条件を一緒に確認する制度です。日本年金機構は、短時間労働者で標準報酬月額が126,000円以下などの対象条件を示しています。事業所単位で決まり、対象となる人の一部だけを選んで適用することはできません。[保険料調整制度の対象者]
対象事業所や適用期間などの確認は、保険料調整制度の解説へ。加入するだけで自動的に一定額の負担軽減があると考えず、勤務先へ制度を利用するか確認します。
働き方を考えるときは、この順で確認する
- 雇用契約・勤務実態と勤務先の適用状況を確認する。
- 自分の加入の可否と資格取得時期を確認する。
- 保険料、税金、家族手当を分けて、世帯の手取りを試算する。
- 増やせる勤務時間と、年金や休業時の保障も含めて考える。
加入を避けるための金額探しから始めるより、自分がどの条件に当たるかを先に決めると、会社や家族との相談が具体的になります。会社へ見せる記録はパートの社会保険の加入確認、手取りと保障の比較はメリット・デメリットの記事で確認できます。
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