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NHKから未契約者が過去の受信料を請求されたとき時効を主張できるのか?

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NHKの受信料契約をめぐり2017年12月6日に最高裁判決がありました。この判決で重要な点は二つです。一つは“受信料契約はユーザーが合意しなくても裁判されれば締結しなければならない”ということ、もう一つは“受信料契約が発生するのは判決日ではなく、テレビを設置した日”ということの2点です。

たとえば、何年も何年も受信料契約を放置していた人については、10年、20年分の受信料を請求される可能性もあるということです。

その一方で民法上の受信料支払い義務の時効です。5年とされる時効については有効になるのでしょうか?長期未契約者に対して時効がどのように扱われるのかについてまとめます。

最高裁判決で過去に訴求し請求される人が増える?

NHKとの受信料契約について最高裁判決がでたことにより未契約者に対してはNHK側は受信料契約の締結を求めてくると思われます。

特に“NHKに受信設備があることを伝えたうえで、契約を拒否し続けていた人”については注意が必要かもしれません。

なぜなら、今回の判決では“NHKとの契約日は裁判によって契約が成立した日からではなく、テレビなどを設置したときまでさかのぼってNHK受信料の支払い義務が生じる”という判断も行っています。

なので、理論上は30年間NHKとの契約が未契約であれば、受信料30年分を請求されることもあるわけです。ちなみにそのまま裁判されると負けは確定です。

 

NHKの受信料の時効(消滅時効)は5年間

NHK受信料の時効は5年間となっています。
これは以前裁判となったことがあり、NHK側は当初10年と主張していましたが、裁判により5年であると判断されており、以降はNHK側も消滅時効は5年として対応しています。

 

ただし、NHK側は基本的には全額請求をする

NHK側は時効に達していたとしても、方針としては全額請求をするとしています。
そのうえで、利用者側が時効の申し出をした場合のみ、5年間の消滅時効として取り扱いをするとしています。

なお、この対応はNHKのQ&Aにもご丁寧に記載されています。

 

時効は相手に対して意思を伝える必要がある“時効の援用”

時効というのは勝手に成立するものではありません。こちら側が時効が発生していることを相手に伝える必要があります。これを“時効の援用”と呼びます。

前述のようにNHK側が全額請求することはボッタクリでも何でもありません。その権利はあります。
ただし、契約者(NHK利用者側)は5年を超えた受信料の請求についてはすでに時効が成立しているとうことを伝えて時効の援用を行う必要があります。

たとえば、NHKの受信料について長期未払いのような状況であれば、“5年で時効なので超えた分は支払わない”ということを伝えれば超えた分の支払いをする必要はありません。

一方で払ってしまった場合にはあとから時効が成立していることを訴えてもダメです。過去には事項を超えてNHK料金を“過払い”していた人が裁判をして負けています。

 

超長期未契約者は5年の時効を援用できるのか?

さて、今回の最高裁判決において、“未契約者にとっての時効”がどの程度有効になるのかを考えたいと思います。

NHKの受信料については民法の5年で時効を迎えて消滅するとしました。
その一方で民法166条1項には“消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する”という規定があります。

NHKが受信料を求めることができる権利は契約締結からはじめて発生することになります。そのため、未契約者に関しては受信料債権が時効消滅しないという判断をしています。

どういうことかっていうと、

  1. NHKと契約しているけど15年払ってない(滞納)→5年分のみでよい
  2. NHKと15年未契約状態→時効成立せず、15年分の支払い義務

ということになります。ということで10年とか20年とか“受信設備を設置していながら契約していない人”については裁判(判決)によって契約締結となると10年分、20年分の支払いが必要になります。

 

未契約者世帯にはNHKからの猛烈コールがあるかも?

そんなわけで、NHKからすれば、ある意味のお墨付きを頂いた形になります。

10年、20年と長期未契約者(世帯)があるのであれば、裁判さえすれば10年分、20年分のNHK受信料を請求できるからです。

ただ論点はあります。それは受信設備を導入した日がいつなのか?ってことですね。
訴えられた側にそれを説明する義務はないので、証明はNHK側が行う必要があります。

  • いつテレビ(受信設備)を導入したのか?
  • そもそも受信設備を設置しているのかどうか?

これを証明するのは難しいといえそうです。

未契約者世帯からすれば、上記について口を割らなければ何十年分も請求されることはないといえそうです。一方で上記について口を滑らせてしまった場合には長期分を請求されるという可能性もあります。

NHKとの受信料契約がそもそも必要かどうかについては以下の記事もご参照ください。

[bloglink url=”https://money-lifehack.com/law/11749″]

 

以上、NHKから未契約者が過去の受信料を請求されたとき時効を主張できるのか?という点を開設してみました。