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タワマン節税の基本。資産価値と課税評価の乖離。2018年改正のポイント。

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タワマン節税という言葉を聞いたことがあるでしょうか。主に富裕層がとっている不動産投資(購入)を利用した節税方法の一つです。

現状のタワーマンションは分譲価格が高層階になるほど高くなるというのが一般的です。眺望などのプレミアムがついていると考えるわけです。一方で税制面ではタワマンの資産価値についているプレミアムを考慮しません。

そのため、分譲価格の高いタワーマンションの高層階は富裕層の節税に活用されているのです。これについては2018年から一部が是正されるようになっています。

今回はそんあタワマン節税の基本を確認していきましょう。

なぜタワーマンション高層階が富裕層に人気なのか?

一番大きなポイントは「相続税」です。
2015年(平成27年)の相続税増税に関する変更点とそのポイントのまとめ」でも紹介しましたが、2015年に相続税が改正され相続税の課税対象者が大幅に増加しました。控除額が下がったことで相続税負担が大きくなる富裕層もたくさん出ることなりました。

そうした富裕層の相続財産圧縮に活用されていたのがタワーマンションの高層階を買うというものです。

 

タワーマンションの相続税評価額は安い

区分所有マンションの場合、相続税の評価はマンションの土地部分と建物部分に分けて計算をします。

 

土地部分

全敷地の評価額に対してマンションの部屋ごとの持ち分割合(専有面積の比)で計算します。タワーマンションは敷地に対しての戸数が多いため、1戸あたりの土地も珍は小さくなるため、評価額も小さくなります。

 

建物部分

居住用建物の評価額は、固定資産税評価額と同額となります。固定資産税評価額はマンションの場合、上層階、下層階の区別をしません。

 

タワーマンションを使った相続税対策が大流行した理由

タワマン節税のスキームはこの「建物部分の評価額」を利用しています。

従来から固定資産税評価額は建物の上層階、下層階はもちろん、角部屋、南向きといった一般的なマンションにおける販売価格が変わる要素を考慮していません。

一般的にマンションは高層階ほど高いですし、角部屋の方が、南向きの方が高いです。特にタワーマンションの場合は眺望というプレミアムが付く高層階と下層階との間では金額の差が大きいのが現実でした。

その差を利用して相続財産を圧縮して相続税を節税しようとしたわけです。

 

タワマン節税でどれくらい節税できるのか?

たとえば、同じ専有面積のタワマンで2階は5000万円、40階なら1億円の実売価格というケースがあるわけです。ただし、2階も40階も固定資産税評価額(相続財産としての評価額)は同じです。

仮に固定資産税評価額が2500万円とすると、40階の部屋を買っていれば7500万円もの相続財産を圧縮することができるというわけです。

相続税の税率は10%~55%と差がありますが、仮に税率が40%の人であれば7500万円×40%=3000万円もの相続税を節税できたという事になります。

さらに、タワマンを貸家にしたり、実際に住むなどすれば相続税評価額をさらに引き下げることも可能です。

その上で、相続が完了した後に相続した子がその部屋を実売価格である1億円で売れば諸経費は別として1億円を手にすることができるわけです。
なお、不動産の売却益(譲渡所得)については、相続した財産であっても、被相続人(死亡した人)が取得した価格を取得代金とできるため、同額なら譲渡所得税もかかりません。

 

これに注目した富裕層が競って、高層階のタワーマンションを購入したというわけです。

 

国税庁も対応

明らかに課税逃れというケースについては国税庁も対応をしていました。

否認事例として被相続人に購入意思がなかったケースなどがあったようです。死亡直前にタワマンを購入して相続、その後にすぐ売却とかそんな感じの案件です。

一方でこのような明らかに課税逃れというケースを除けば合法的である、というのがタワマン節税のポイントです。

 

2018年以降はタワーマンションの固定資産税評価の計算方法が変更

タワマン節税が横行している一方で、それを否認できる積極的な材料もないため、法改正によって対応されることになりました。

20階を超えるマンションをタワーマンションとして、2017年1月2日以降に完成したマンションが対象となります。マンション全体(一棟)に対する税額は変更せず、上層階にプラス補正、下層階にマイナス補正がかけられます。

中間階をゼロとして固定資産税は1階上がるごとに0.26%増税、1階下がるごとに0.26%減税となります。仮に40階建てのタワーマンションの場合、最上階と1階の固定資産税は10%差が出る計算となります。
適用されるのは2018年度の固定資産税からとなります。

 

現時点では相続税への変更はない

今回の改正は相続税評価額への変更ではないため、相続税への影響はありませんが、今後の改正で相続税評価額への変更が行われる可能性は決して低くないと思います。

 

2017年以降完成のタワマンの扱い

上層階:固定資産税の増税となる
下層階:旧物件に対する税制面のメリットが出る

2017年1月2日以降に完成したマンションは上記のようになります。固定資産税評価額の変更によって下層階については従来物件よりも評価額が安くなります。その分だけ毎年の固定資産税(都市計画税)は安くなりますし、相続財産としての評価額も小さくなります。

 

2016年までに完成したタワマンの扱い

上層階:新物件に対する税制面のメリットが出る
下層階:新物件に対して事実上の増税となる

2017年1月1日までに完成したマンションは従来通りの扱いとなります。今回の改正で一番割を食うことになるのは、下層階の方々になりそうです。新物件では下層階の固定資産税が安くなるのに、旧物件はそのままになるからです。

低層物件ほど新物件に対しての税制面のランニングコストが高いという事になるため、売却価格にも影響が出ることになりそうです……。