葬儀(お葬式)についての考え方は時代と共に変わってきました。昔ながらのお葬式のスタイル(いわゆる一般葬)という選択だけでなく、通夜を行わない、一日葬、身内だけで行い葬儀費用も抑えた家族葬。葬儀らしい葬儀は行わない直葬(火葬式)といった、色々な葬儀の形があります。
こうしたお葬式については家族に対して、“自分はどうしてほしいのか?”ということを明らかにしておくことも重要です。
終活や生前整理の一つとして考えておくべき、自分が死んだあとのお葬式のスタイルと費用、メリット、デメリットなどをわかりやすくまとめていきます。
お葬式の種類と特徴
お葬式というと、オーソドックスな一般葬を考える方が多いかと思います。ただ、近年ではお葬式のスタイルも多様化しています。まずはそれぞれの特徴をみていきましょう。
オーソドックスな一般葬(一般葬儀)
多くの方が“お葬式”といわれて連想するのがこの一般葬だと思います。一方で従来型のお葬式というように、一般葬に対してネガティブな感想を持つ方も増えています。
通夜と告別式を行います。親戚はもちろん、友人、仕事関係、近所の方といったように故人と関係のあったいろいろな人たちをお呼びするタイプです。
その分、お葬式の規模としては大規模になります。費用としては最も高額になります。日本消費者協会第11回『葬儀についてのアンケート調査』報告書(n=294)によると、葬儀費用の平均は以下のようになっております。
- 通夜からの飲食接待費:30.6万円
- 寺院への費用:47.3万円
- 葬儀一式費用:121.4万円
- 合計費用(その他含む):195.7万円
このように金額的な負担はかなり大きくなっています。あくまでも平均であること、さらにいえば、お葬式はお金をかける人はかけるので、極端な人によって平均が引き上げられている可能性は十分に考えられます(参考:「平均」を信用してはいけない。平均値の罠を知ろう)
また、身内だけでなく、遺族からすれば面識がない方も参列いただくことが多いため、お葬式としても、よりおもてなしなどが重視されます。
式典は行うが身内だけ参加の家族葬
一般葬と家族葬の違いはお葬式としての内容は同じです。通夜・告別式の両方を行います。
違うのはお呼びする範囲です。家族葬は家族や親せきといった故人とごくごく身近な方だけで行うお葬式となります。葬儀社によってはあくまでも参列する人数だけの違いというケースもあります。
身内だけということもあり、自由度も高く、時間にゆとりも持てます。
また、一般葬の場合と比較して、会場や食事の手配、香典返しなどの準備の手間を減らすことができるのもメリットです。
一方で、故人と仲の良かった人などをお呼びできない場合もあります。そのため、そういった方から不満の声が出てくる可能性もあります。
また、葬儀費用面から、一般葬と比較して大幅に節約できるかは、微妙なところがあります。
家族葬の場合は通夜や告別式は行います。そのため、会場費や祭壇費用などは当然に掛かってしまうからです。
“入り”の部分で考えると、家族葬は必然的に会葬者が減ることで香典収入が減ります。葬儀費用は一般葬よりは抑えられるものの、香典収入が減ることによるマイナスも考えられます。
通夜を省いた一日葬
一日葬というのは、家族葬同様に親しい方のみで行うお葬式になります。通夜、告別式のうち、通夜を省略し、告別式と火葬を同時に行います。通常2日かけて行うお葬式を1日で終わらせてしまうわけです。
その分、会場費用や人件費なども抑えることができるので、葬儀費用や諸経費を抑えることもできます。
火葬(直葬)のみでは忍びない、あるいは周囲の理解を得られい。
また、お別れの時間は作りたいけど、資金的な都合がつかないという方に近年選ばれているプランです。
通夜・告別式を省略した直葬(火葬式)
直葬というのは、通夜や告別式を行わず、火葬のみを行う葬儀の形態です。祭壇を飾らず、会葬者も招かないため、葬儀費用を大幅に抑えることができます。基本的には身内だけなので、参列者対応も不要になります。
宗教的要素を完全に省くこともできますし、別途手配することで炉前で読経や祈祷を行うこともできます。
最大のメリットともいえるのが費用です。
全く費用が掛からないというわけではありませんが、総費用で15万円程度の予算で済むというのは経済的なメリットがあります。
一方のデメリットとしては親族や参列を希望する方への理解や配慮が必要になるということ。また、宗教的儀礼を省いた直葬を行った場合、菩提寺への納骨時にトラブルとなることもあります。
自分の死後の扱い(葬儀)について話し合っておく
よく、“自分は無宗教だし、葬式とかにお金をかけるのは無駄。死後は直葬でいいし、お墓も要らないので遺骨は散骨してもらっていい。”そんな話をされているかたもよくいらっしゃいます。
もちろん、自分はそれでもいいと思っているかもしれませんが、自分自身が故人となった場合、遺族はそう簡単には実行できないでしょう。
- そういった意思があることを遺族が知らない
- 親戚や親族から立派な葬儀をするように横やりを入れられる
そのため、あなた自身は立派な葬式は希望していないのに、遺族や親族によって結果的に立派なお葬式が挙げられるということは多々あります。
なお、その逆のケースも考えられます。自分の死後は立派なお葬式を挙げてほしいと思っていても、遺族が簡易的な葬儀で済ませてしまうということもあるでしょう。
生前整理や終活の一環として、自分の意志を示しておくのも手
自分の人生の終わりのことを考えておくというのは高齢化社会においては必要度が上がってきています。最近では“生前整理”や“終活”という言葉がよく利用されるようになりました。
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このような一環として、自分の死後の扱いについても示しておくと良いかもしれません。
この章の冒頭で書いたように、「死後は直葬でいいし、お墓も要らないので遺骨は散骨でいい」と思っているのであれば、家族にはそういうことを伝えておく、あるいは遺言書などにそうしたことを記載しておくのも一つの手でしょう。
そうなれば遺族が親族などから横やりを入れられたとしてもこうするのが故人の遺志ですので……ということができます。
逆に、立派なお葬式を挙げてほしいと考えているのであれば、そうした希望も生前から話しておくべきでしょう。
以上、葬儀の3つのスタイルと費用、一般葬、家族葬、一日葬、直葬の違いとそれぞれの料金・費用についてまとめました。
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