節税効果が高いからという理由でiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)に加入したのはいいけど、投資がうまくいかない、資金拠出が経済的に厳しくなってきた、といったような理由で途中解約・脱退を考えている方もいらっしゃるかもしれません。
まず、原則としてiDeCoは途中で解約することはできません。この部分は「個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)のメリット・デメリット」でも紹介していた通り、iDeCoの最大のデメリットです。ただし、一定の条件を満たしている場合は例外的に「脱退一時金」として途中で解約が可能です。また、解約せずとも掛け金の引き下げや一時休止などによる対応も可能となっています。
今回はそんな、iDeCoを何らかの理由で解約や休止したいかたのために情報をまとめていきます。
例外的なiDeCoの解約「脱退一時金」
iDeCo(イデコ)は一度掛け金の拠出を始めると途中で解約・引き出しはできませんが、以下の“すべての”要件を満たす場合、解約して脱退一時金としてこれまでの掛け金の払い戻しを受けることができます。
- 国民年金の第1号被保険者であり、掛け金の免除/猶予を受けている
- 確定拠出根金の障害給付受給権者ではない
- 通算の拠出期間が3年以下、または個人別管理資産が25万円以下
- 企業型/個人型確定拠出年金の加入者資格を喪失した日から2年以内である
- 企業型確定拠出年金で脱退一時金を受け取っていない
というものです。
これらの条件を満たせるというのでれば、iDeCoを解約して、これまでの掛け金(時価相当)から手数料などを差し引いた金額が脱退一時金として受け取ることができます。いつ受け取れるかといいうと、概ね3か月程度かかります。
iDeCoを解約するための条件としては(1)が厳しいですね。サラリーマンの場合は第2号被保険者ですし、専業主婦(夫)の場合は第3号被保険者なので、他の条件を満たしていてもiDeCoの解約はできないということになります。
iDeCoを解約するために会社を辞めたり、配偶者の扶養から外れるとかいうのは現実的ではないですよね……。iDeCoを解約することができるのは個人事業主やフリーランスなどの方ということになりますね。
なお、iDeCoを脱退した場合であっても、再加入することは可能です。
iDeCoを継続するのが金銭的に厳しい時の2つの対応
iDeCoに加入したはいいものの、様々な事情で継続が難しくなることはあると思います。
イデコの解約(脱退一時金の受取)は2017年1月以降で厳しくなっており、多くの方は利用できません。つまり、老後(最短60歳)までは払い込み済みの掛け金は引き出せないわけです。
じゃあ、どうすればいいのか?というお話になりますが、
- 掛け金を減額する
- 掛け金の拠出を完全にストップする
という2つの方法があります。それぞれの方法でメリット、デメリットがありますので状況に応じて選択することをお勧めします。
掛け金減額 | 運用指図者となる | |
---|---|---|
手続き方法 | 加入者掛金額変更届を金融機関に提出する | 加入者資格喪失届を金融機関に提出する |
掛け金どうなる? | 掛け金を1000円単位で変更可能。最低5000円(月額) | 掛け金の拠出をストップすることができる |
運用はどうなる? | 従来通り継続する | すでに払い込みしている掛け金分は引き続き運用することができる |
手数料はどうなる? | ・国民年金基金連合会手数料 ・事務委託金融機関手数料 ・運営管理機関手数料 最低月額167円 |
・事務委託金融機関手数料 ・運営管理機関手数料 最低月額64円 |
勤続年数扱いに? | カウントされる | カウントされない |
再開時はどうすればいい? | 再度、加入者掛金額変更届を金融機関に提出する | 加入手続きをやり直す必要がある |
掛け金を減額する
一つ目はiDeCoの掛け金を減額するという方法があります。イデコでは、年に1回(4月~翌年3月)までの間で1回だけ「加入者掛金額変更届」をiDeCoを利用している金融機関(銀行・証券会社)に提出すれば、掛け金を変更することができます。
変更は1,000円単位で、最低の掛け金は5,000円(月額)となっています。節税効果が高いからといって、掛け金を満額で掛けていたような場合で、掛け金拠出が厳しくなった場合、この掛け金減額が第1歩となるでしょう。
掛け金減額のでメリットは「手数料」です。減額の場合、引き続き加入者として「国民年金基金連合会手数料」として月額106円(税込)を支払う必要がありますので、運用指図者となる場合よりも月額の維持コストが高くつきます。
加入者資格喪失届を提出してiDeCoの運用指図者となる
いや、月額5,000円の掛け金も厳しいという場合は、iDeCoの「加入者」ではなく、もう一つは掛け金の拠出を完全にストップして「運用指図者」となる方法があります。
この手続きをすれば、毎月の掛け金はゼロにすることができます。ただし、すでに拠出した掛け金は運用され続ける形となります。方法としてはiDeCoを利用している金融機関に「加入者資格喪失届」を提出します。書類は各金融機関から取り寄せてください。
メリットとしては、減額の場合よりも月額の手数料を抑えることができるという点にあります。
一方のデメリットは、iDeCoを再開したい(加入者となりたい)時には、加入手続きをする必要があり、掛け金変更の手続きよりも手続き内容が面倒になるということです。
また、注意したいのが「加入者期間」の扱いです。
iDeCoは60歳以降に年金を受け取る際、加入期間に応じて退職所得として扱うことができます。加入期間が長いほど、非課税枠も大きくなります。しかしながら、加入者資格喪失届を提出して運用指図者となっている期間はカウントされません。
すでにまとまった運用が行われているような場合は、老後の非課税枠を考えると少額でも積立をするほうが税メリットは大きくなるわけです。
コストはかかるがiDeCoの支払いが厳しい時は早めに対応を
様々な事情により、当初契約したiDeCoが重荷となることあるでしょう。
もしも、iDeCoの掛け金の支払いが厳しいというのであれば、多少のコスト(事務手数料の存在)などはあったとしても掛け金減額の手続きや加入者資格喪失届を出して運用指図者となりましょう。
これらのコストはもったいないですが、iDeCoというのは基本的に「老後」というずいぶん先のためのものです。解約(脱退一時金の受取)が厳しい以上、「今」が厳しいのであれば今を優先するべきです。
以上、iDeCoを解約するには?脱退条件と、掛金引き下げ、一時休止のやり方についてまとめました。
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