国民年金は日本における老後や高度障害などを保障するための公的保険制度の一つです。日本に住む20歳以上の方が加入する基礎年金です。この国民年金を未納している場合、将来の年金額の減額だけでなく、場合によっては年金が支給されない・障害を負った場合に障害年金がおりないという事態もありえます。
今回は国民年金の未納分や猶予分を後から納付・後納・追納する方法と、それぞれの違いと納付する必要性に関してまとめていきます。
国民年金の基本的制度
国民年金というと老後の年金というイメージがありますが、それ以外も障害を負った時の年金、自分に万が一のことがあった時の遺族に対する年金という3つの機能があります。
年金が未納状態だとこの3つのいずれの保障も受けることができなくなります。特に、万が一の高度障害となった時、国からの障害年金は大きな生活の糧となります。
老齢年金の受給資格
65歳以上で受給できる年金。通算で25年以上の納付が必要。満額を受け取るには40年の納付が必要となります。
→こちら2017年8月1日より制度が変更され、老齢年金の受給資格は10年へと短縮されています。これによって、未納によって納付期間が短い人でも後納によって受給資格を得られる可能性が出てきました。
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障害年金・遺族年金の受給資格
障害年金・遺族年金の受給資格は保険料納付済期間 が原則として被保険者期間の3分の2以上を納付していることが要件となっています。
つまり、国民年金は一定の納付期間がないと年金をもらえないことになります。
老齢年金(老齢基礎年金)の話は知っている方も多いかと思いますが、障害年金の保険期間における受給資格という件は知らない方も多いようです。ちなみに、年金の猶予や免除を受けていた期間については結果的に年金を支払っていなかったとしても保険料納付期間に含まれます。
なので、払えないから放置ではなく、払えないのであれば免除や猶予制度が利用できないかを検討するべきです。詳しくは「国民年金が払えないときは免除や猶予の申請をしよう」をご覧ください。
年金の未納期間がある方への救済策、納付・後納・追納
たとえば老齢基礎年金の場合、納付期間が10年以上が受給条件です。そのため、10年未満しか保険料を払わなかった場合は、その期間に払った保険料は完全にパーとなってしまいます。
また、今30歳の方でこれまで3年間しか年金を払ってこなかったという人がいきなり事故などで障害を負った場合の障害年金(障害基礎年金)、家族を残して死亡した場合の遺族年金(遺族基礎年金)はおりません。
そういう方のための救済策もいくつか用意されています。これまで国民年金保険料を納付してこなかった人はどのような形で対応できるでしょうか。
2年以内の未払い分なら年金事務所で納付が可能
まず、2年以内に支払っていない国民年金保険料に関しては年金事務所で「納付」が可能です。この時、特にペナルティは無く支払っていなかった分を納付することができます。
2年間というのは年金の時効に関係してきます。2019年8月の年金保険料は2019年9月末が納付期限となっています。さらにその2年後である2021年9月末日を経過すると時効になって、それ以降は保険料の納付ができません。
国民年金保険料の後納と追納の違い。後納制度は終了済み!
- 後納(国民年金保険料の未払いのケース)
- 追納(国民年金を猶予や免除などで払っていなかったケース)
国民年金には後納と追納というものがあります。
国民年金保険料の後納
後納は時効となった国民年金保険料を特例によって後から納付することができる制度です。無条件に可能ではなく、申請を行い、承認が必要となります。
※後納は平成27年10月1日から3年間、過去5年分までの納付漏れ(未納付)の国民年金保険料を支払うことができる制度です。ただ、こちら平成30年9月末(2018年9月)をもって終了となりました。
国民年金保険料の追納
追納というのは文字通り「追加の納付」です。これは保険料の未払いではなく、免除や猶予を受けていた人が対象となります。この免除期間、猶予期間は保険料が一部(全部免除)されていましたが、納付期間には算入されています。
追納をすることで将来の年金額を増額することができます。なお、追納は申請が必要で、承認された場合、過去10年までの保険料の追納が可能です。
なお、後納、追納とも2年を超える過去の年金の支払いについては加算金(利子)がプラスされるため支払額は大きくなります。
国民年金の追納はしたほうがいいの?デメリットはある?
最初に書いた通り猶予、免除を受けていた人は、仮に年金を後から払わなくても年金の受給資格を得るための期間には算入されています。
具体的に追納をするメリットは以下の通りです。
- 将来受け取れる年金額が増える
- 払った保険料は社会保険料控除で節税になる
将来受け取れる年金額が増える
国民年金保険料は半分は税金で賄われています。つまり、全額免除をされていたという人でも半分は納付していたことになります。免除額に応じて、残りを追納することで、以下の通り将来受け取れる年金額を増やすことが可能になります。
- 全額免除:50%増額
- 3/4免除:37.5%増額
- 半額免除:25%増額
- 1/4免除:12.5%増額
免除されていた金額分を支払えばその差分についても将来の年金として受け取ることができます。
払った保険料は社会保険料控除で節税になる
追納した保険料は、所得税(住民税)の社会保険料控除として所得控除されます。結果として納付した年の所得税や翌年の住民税の節税効果が生じることになります。
ある時は苦労して国民年金も払えなかったけど、今はなんとか復活できた!という人は追納をすることによって将来の年金額を増やせるだけでなく、節税効果も生じることになります。
まとめ。年金は重要なセーフティーネット。払えない時は免除・猶予の申請を忘れずに
年金の未納付があったときの「後納制度」は終了してしまったため、払い忘れがあった時も2年を超えた分は後から支払うことはできなくなりました。
老齢年金の受給資格期間は25年から10年に短縮されましたが、障害年金や遺族年金は2/3の加入が必要です。期間が足りない方は、2年以内なら「納付」ができますのでまずはそれをしておきましょう。
期間不足で人生の万が一の際に年金がアテにならないというのは大変怖いことです。
そのため、今年金がどうしても払えないというのであれば、納付期間には算入される「免除」や「猶予」の申請は必ずしておきましょう。
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以上、国民年金の免除や猶予、未納における納付・後納・追納まずと必要性を分析してみました。
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