子供の将来の教育費や学費のために小さいうちから学資保険にしっかりと入って教育費の積み立てをしていきたいという方も多いかと思います。
今回は学資保険と国債や定期預金といった比較的安定的に運用可能な商品を比較しながら、学資保険に加入する際に知っておきたい3大リスク、「信用リスク(倒産リスク)」「インフレリスク」「途中解約リスク」について分析、紹介していきます。
学資保険は子どもの教育資金を積み立てる目的でよく利用される金融商品(保険商品)ですが、この二つのリスクを過小評価している人も少なくありません。
今回は、学資保険に加入する際に知っておきたい、学資保険のインフレリスク、途中解約リスクの二つについてどんな問題、リスクがあるのかを紹介していきます。
学資保険とはどんな保険?
そもそも、学資保険という保険自体がどんな保険かよくわからないという方もいらっしゃるかと思いますので簡単に紹介します。
学資保険は、子どもの進学時期に備えて保険料を積み立てていく貯蓄型の保険です。もちろん保険なので契約者(両親)に万が一のことがあった時は以後の保険料免除といったような保障機能もあります。
ただ、万が一に備えるというよりは、必要な時期のために積み立てるという意味合いが強い保険となっています。詳しい保険の仕組みについては以下の記事でまとめていますので、こちらの記事も是非ご一読ください。
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子どものための学資保険、加入前に知っておきたい3つのリスク
前述のように、比較的安全な国債投資や定期預金などと比較したら、学資保険はそれよりは高い利回りで運用できます。ただし、学資保険を契約するときには、インフレリスクと途中解約リスクの二つを考えておく必要があります。
信用リスク (倒産リスク) |
信用リスクは、学資保険に加入する保険会社の倒産してしまうリスクです。保険会社が倒産した場合でも保険は「生命保険契約者保護機構」によって一定の保護がありますが、補償されるのは責任準備金の90%までとなっています。 |
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インフレリスク | インフレ(インフレーション)は物価上昇を指します。インフレリスクというのは運用商品が物価上昇に連動できないリスクを指します。固定利回りでの運用時はインフレリスクがあります。 |
途中解約リスク | 途中解約リスクは、その名の通り契約中に解約できない、ないしは解約時に損失を被るリスクです。売りたくても売れない、あるいは売ると損をするリスクです。 |
以下では、それぞれのリスク項目について詳しく紹介していきます。
保険会社がつぶれたしまったら契約はどうなる?倒産リスク
生命保険の契約は生命保険契約者保護機構によって一定の保護があります。
補償されるのは責任準備金の最低90%までとなっています。残りの10%部分は破綻した保険会社の状況(破たん状況)によって変わりますが、最低でも9割は保証されるという事になります。
責任準備金というのは、将来支払う保険金の支払いの財源とするため、保険会社が保険料の中から積み立てているお金の部分です。
責任準備金はいわゆる貯蓄部分にあたるので、貯蓄型の保険である学資保険は大きなダメージを受けることになります。そのため、学資保険に加入をする際には特に、その保険会社の健全性を確認する必要があります。
学資保険は固定利率のため、インフレに弱い
まず、学資保険は基本的に「契約時の利率(予定利率)」で運用されることになります。
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保険契約の利回りはその時期の金利水準によって大きく変わります。その目安となるのが金融庁が決める標準利率です。市場金利等の下落(デフレ)によって以下のように年々金利は下がっています。
- 1993年4月~1994年3月:4.75%
- 1994年4月~1996年3月:3.75%
- 1996年4月~1999年3月:2.75%
- 1999年4月~2001年3月:2.0%
- 2001年4月~2013年3月:1.5%
- 2013年4月~2017年3月:1.0%
- 2017年4月~:0.25%
一方で、このように金利(利率)が下落しているタイミングでは過去の契約は高い利率で固定されることになります。こうした保険は「お宝保険」と呼ばれます。現状の水準からみれば2013年3月以前の保険でも十分にお宝保険でしょう。
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なので、こうした保険を契約しているのであれば、解約したり乗り換えたりはせずに維持するべきです。
少し話が逸れましたが、“これから”契約する方は現在の予定利率で固定されて運用されることになります。現在の標準利率は0.25%と低いことで予定利率も相当抑えられています。
今後も利率が低いまま、あるいはもっと下がるというのであれば、話は別ですが、今後上昇したときには市場平均よりも低い利率でしか運用されない、お宝保険の逆のゴミ保険となってしまう可能性があるわけです。
学資保険は通常、10年、15年といったように長期的に運用しなければならない商品ですので、経済状況の変化によるインフレリスクを負います。
なお、インフレ対策に有効な運用商品については以下の記事でも紹介しています。学資保険のようなインフレに弱い資産を持つのであれば、インフレに強い資産も併せて保有することで分散投資効果が働きます。
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学資保険は途中解約ができない(しくにい)リスクがある
これまで払った保険料に対して解約時や満期時に受け取れる保険金の金額を割合にしたものを『返戻率(へんれいりつ)』と呼びます。学資保険のような貯蓄性の保険でよく使われる言葉です。
たとえば、総額100万円の保険料を払って110万円の満期保険金が受け取れるなら返戻率は110%になります。学資保険を始めとした貯蓄性の保険は途中解約をすると、解約返戻金といってそれまでの保険契約でたまっている契約者の財産分を返してくれます。
しかしながら、この途中解約時にもらえる解約返戻金は返戻率が100%を割ることが多いです。特に、契約してからの年数がまだ経過していない場合などは解約返戻金はゼロというケースもあります。これは中途解約の場合、契約にかかったコストなどが差し引かれてしまうためです。
また、年数が経過していても、返戻率は60%~80%くらいにしかならないこともあります。
最近では学資保険ではなくよりリターンが高い「低解約返戻型の保険」を使って備える方も多いですが。そういった保険はさらに途中での解約返戻金が小さくなるので事実上途中解約できなくなっています。(すると大損します)
このリスクは「保険料が払えなくなった」という場合に最も大きく顕在化します。
経済的に困った時、保険料が払えずに保険が強制的に解約されてしまう……。そんなときは低い返戻率による解約返戻金しかもらえないわけで、せっかく頑張って積み立ててきた教育資金が大幅に目減りしてしまうわけです。
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解約できず、インフレリスクに弱いというのは考え物
学資保険による教育費の運用(積立)に関しては、この二つのリスクがあることを忘れてはいけません。
少し怖い統計があります。それは保険の継続率です。生命保険の解約率はだいたい3.5%くらいあります。小さいように見えるかもしれませんが、20年間継続という話になると、解約率は約50%に達します。
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上記はあくまでも統計ですが、学資保険への加入をこれから考えるのであれば、安易に考えるのはリスキーだといえるでしょう。
- 余裕をもって毎月払える保険料であること
- インフレリスクを考慮して、(インフレに強い)別の手段でも運用や貯蓄をすること
この二点は少なくとも考えておくべき、学資保険を使っていくうえで取るべきリスク対策だといえます。
学資保険で教育費準備はダメなの?
否定的な内容の記事に見えるかもしれませんが、学資保険は絶対にダメという事ではありません。
上記記事でも比較しているように、預金と投資(株・投資信託)の中間的な商品として利用できる点は高く評価しています。個人的には自分で運用できるのであれば運用をしたほうがいいという考えもありますが、みんながみんな投資に向いているわけではありませんし、興味がない方も少なくないと思います。
そういう方にとっては学資保険というのは、あれこれ考えずに貯蓄ができて、預金金利よりは利率もいいです。要は使い分けだと思います。なお、学資保険をするのであれば、圧倒的にソニー生命の学資保険をおすすめします。
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